宮崎駿の映画初監督作品であり、国民的アニメ「ルパン三世」の劇場映画第2作目である【ルパン三世 カリオストロの城】。ルパンを教えるのならこれがいちばん手っ取り早いのでは?というほどの認知度を誇る不朽にして王道の名作、まだご覧になったことのない方は是非。
【ルパン三世 カリオストロの城】声の出演
<ルパン三世> 山田康雄
<次元大輔> 小林清志
<石川五右衛門> 井上真樹夫
<峰不二子> 増山江威子
<銭形警部> 納谷悟朗
<クラリス> 島本須美
<カリオストロ伯爵> 石田太郎
<ジョドー> 永井一郎
【ルパン三世 カリオストロの城】のあらすじ
時は1968年。
モナコ国営カジノの金庫から大金を盗み出したルパンとその相棒・次元。
無事成功し、喜びながら愛車であるフィアット500を高速で走らせるも、ルパンは盗み出した札束が本物そっくりの偽札であることに気づき、その出処であると言われているヨーロッパ・カリオストロ公国へと向かうことに。
変装して難なく入国したルパンと次元は、シトロエンを運転するウエディング姿の少女が追われているシーンに出くわす。
カーチェイスの果てに少女を助けることに成功するも崖から落ちてしまい、気絶したルパンは次なる追手に少女を攫われれしまう。
しかし、彼女が残した手袋の中にあった指輪を見て、過去を思い出したようで……。
【ルパン三世 カリオストロの城】の見どころとネタバレ
「史上最高の冒険活劇のひとつ」と評される名作!
国民的キャラクターである、ルパン三世を生み出したモンキー・パンチが亡くなって早1年(2020年11月現在)
ルパン三世を多くの人々に知らしめた作品のひとつとも言える名作が【ルパン三世 カリオストロの城】。
かのスティーヴン・スピルバーグ監督が「史上最高の冒険活劇のひとつ」と評し、初代ルパン三世を演じていた声優、山田康雄は「こういうのを映画の神髄と言うんだ」と語っていました。
原作とは異なるルパン像であるものの「僕には描けない、優しさに包まれた作品だ」と、モンキー・パンチ自身も認める作品。
本作のファンであった元皇族の紀宮清子さまは、結婚式の際に着用するウエディングドレスにヒロインであるクラリスのドレスをモチーフに挙げたといいます。
コメディあり、シリアスあり、愛あり、バトルありと完ぺきなストーリー構成を是非楽しんでください。
アクションシーンに痺れろ!
本作では数々のアクションシーンがありますが、特に有名なのがカーチェイスシーン。
スピルバーグ監督が「映画史上最も完ぺきなカーチェイス」と評したとも噂されるそのシーンは、凄腕アニメーター・友永和秀による手描き。
息を飲むほど圧巻のシーンにぜひ酔いしれてください。
ちなみに、このシーンで使われる「ルパン三世のテーマ’80」は、皆さまおなじみの「ルパン三世のテーマ’78」よりジャジーにアレンジされていますが、こちらも耳馴染みのルパンBGM。
続いて、アニメーター・田中敦子さんによる、北側の塔に幽閉されるクラリスに会うため、いろいろな偶然が重なって実現した(?)驚異の大ジャンプシーン。
城の大屋根の頂上から小型花火ロケットで塔に狙いを定めますが、うっかり落としてしまい拾うために降りようとする際に、そのまま屋根を加速しながら走り下りていくシーンは現実では到底不可能だと頭ではわかっていてもできるかもしれない!? と、不思議と思えてくるとんでもないシーンです。
他にもルパン追っかけウン十年、とっつぁんこと銭形警部との城の地下牢獄からの脱出シーンや、ラストの時計塔でのカリオストロ伯爵とのバトルなどなど、見どころ満載です!
カリオストロ公国のモデルは?
ヨーロッパに存在するというちいさなカリオストロ公国ですが、モデルはいくつかあるそうです。
公国のモデルは精巧な印刷技術を持つ、スイスの近くの国リヒテンシュタイン。
カリオストロの城はリヒテンシュタインにあるファドゥーツ城とも言われていますが、イタリアのサン・レーオ城のようです。
しかし、指輪の謎解明後に湖の水が引いて現れる古代ローマ遺跡が見えてくるシーンは、フランスの修道院モン・サン・ミッシェルのようにも見えます。
クラリスは修道院に長らくいたそうなので、もしかするとモチーフとして入っているかもしれません。
ちなみにその城下町が、ルパンと次元が取り合うことで有名な「ミートボールパスタ」を食べていた市街地のモデルのようです。
近くに旅行に行った際は是非 思い出しながら観光してみてください。
BGMに耳を傾けて
先程も述べましたが、「ルパン三世のテーマ」はいろいろなシーンでおなじみの曲となっているほど有名です。
他にもルパンで有名な楽曲は多数あるのですが、そんななか本作ではじめて使われたのが「サンバ・テンペラード」。
屈指の人気を誇るこちらは、ルパンと銭形警部の脱出シーンで用いられている曲。
他にもオープニングで流れる「炎のたからもの」や燃えるオートジャイロを追うシーンでの「非常線突破」、古代ローマ遺跡を歩くルパンとクラリスシーンで流れる「ミステリアス・ジャーニー」など、アニメ版・劇場版第1弾【ルパン三世VS複製人間】(1978)からBGMをアレンジして用いるなど多く使われています。
本作で使用されている楽曲は、その後のルパンBGMにも欠かせないものが多いので、気になった方は検索を!
ラストシーンに惚れろ!
さてラストシーンは、遺跡を見たのち丘に出るシーン。
伯爵から助け出してくれたルパンに対し「一緒に行きたい」と告げるクラリス。
ルパンは思わず抱きしめようとするもののぐっとこらえて肩に手を置いて、表情とは裏腹に連れてはいけないことを告げるシーンは胸が痛いです。
クラリスの愛犬・カールが登場した隙に、困ったような顔をしながら駆けて行くルパンの紳士的対応に惚れた方も多いことでしょう。
その後すぐさま銭形警部が現れ、有名なセリフである「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」とクラリスに言った後、パトカーにてルパンを追いました。
大きくウインクしたチャーミングなとっつぁんに惚れます。
ちなみに銭形警部らのパトカーはナンバープレートが「さいたま」になっているのもご注目。(銭形警部は埼玉警察署に在籍したままICPOに従事しているため。
【ルパン三世 カリオストロの城】解説とまとめ
カリオストロ公国を舞台に、世界史や謎を絡ませてコミカルかつ飽きさせないストーリー展開でまとめられている屈指の作品【ルパン三世 カリオストロの城】。
その人気は約40年経った今でも映画館でたびたび上映されるほど。
老若男女から愛されるルパン三世と、本作をまだ見たことない方は是非この機会に観て頂きたいと思います。
「困ったことがあったら地球の裏側からだってすぐ飛んでくる」と言っていたルパンですが、実は後日談として日本にやってきたクラリスと再会するルパンのサウンドドラマ、その後を描いたゲームが発売されています。
また、アニメ「ルパン三世第5シリーズ」の23話終盤にて、古代ローマ遺跡や時計塔の残骸があるカリオストロ城地下が登場しています!
ちなみに「カリオストロ」の名前はルパンの生みの親であるモーリス・ルブラン原作「アルセーヌ・ルパン」の「カリオストロ伯爵夫人」から。
クラリスはルパンの恋人の名前です。
さらに豆知識として、人気のジブリ作品のひとつ【天空の城 ラピュタ】(1986)に出てくるロボット兵は、実はアニメルパン三世2ndシリーズの最終話「さらば愛しきルパンよ」にて大変似たロボットがすでに登場しています。
宮崎駿は、本作を手掛ける前からアニメルパンをいくつか担当していたんですね。
オフィシャルサイト
原作:モンキー・パンチ ©TMS