映画【ダンケルク】ネタバレと感想。
【インターステラー】(2014)、【ダークナイト】シリーズなど数多くの作品を手掛けている名監督、クリストファー・ノーラン。
リアルを追求するため、CGに頼らない撮影をすることで有名ですが、今回もとんでもない作品を作り上げました。
イギリス軍からスピットファイア3機を借りて実際に飛ばす、博物館にあったフランス海軍駆逐艦「マイレ=プレゼ」を借りるなど、登場する戦闘機や船はもちろんパイロットが耳にするすべての音までしっかりとマイクで録音しているいるのです。
そんなリアルさにもぜひご注目して頂きたいと思います。
【ダンケルク】あらすじ
時は第二次世界大戦、1940年5月24日~6月4日。
連合国軍はフランス、ダンケルクの海岸にてドイツ軍に包囲されてしまい、「ダイナモ作戦」による撤退を余儀なくされてしまいました。
イギリス陸軍であるトミー二等兵は、命からがらなんとか海岸までたどり着きますが、そこには本国イギリスに帰るために待つたくさんの兵士の列があったのです。
ギブソンという兵士に出会いつつ空爆を避けながらイギリスを目指しました。
一方で、イギリス・ドーセット。
民間船徴用の話を聞いたドーソンは息子であるピーター、ピーターの友達であるジョージを連れて、兵士を助けにいくためにムーンストーン号で港を出発します。
途中で転覆したボートに生き残った兵士を見つけ助けますが……。
またその頃、イギリス空軍(RAF)のフォーティス隊は撤退作戦を阻害するドイツ空軍を阻止するために現地にスピットファイアで行くことに。
ところが途中でリーダー機が敵機に撃たれてしまったのです。
(※本作は「陸の1週間」「海の1日」「空の1時間」と3部構成で、最終的に時間がクロスしていくストーリー構成になっています。)
【ダンケルク】の見どころ・ネタバレ
新鋭の若手俳優たちのキャスティングとベテラン俳優たち
第二次世界大戦中、どの国もが人手を欲していました。
そうして戦地に向かうのはいつだって若者たち――。
その事実をしっかりと描きたかったというノーラン監督はまだあまり知られていない若手俳優たちを多くキャスティングしています。
陸の主人公であるトミー演じるフィン・ホワイトヘッド、海で兵士を助けるピーターを演じるトム・グリン=カーニー。
【聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア】(2017)では新たな一面を見せてくれているバリー・コーガンはもちろん、BBCドラマ【戦争と平和】(2016)に出演しているジャック・ロウデンやアナイリン・バーナード。
世界的グループ「ワン・ダイレクション」のメンバーであるハリー・スタイルズなど多くの若手英国俳優たちが出演しているのがわかります。
それだけではなく、その俳優勢の周りを囲むように大物英国俳優たちも多く出演しているのがこの作品のまた素晴らしいところでしょう。
他にも【オリエント急行殺人事件】(2017)のケネス・ブラナー、アカデミー賞受賞者であるマーク・ライランスなどなど。
また、ノーラン監督作品に多く出演しているトム・ハーディももちろん参加しています。
撮影中はコックピットの中で過ごしたため、あまり他の俳優陣たちに姿を見せなかったみたいですが…。
そしてスペシャルサンクスにはもうひとりの常連、Sirの称号を持つマイケル・ケインの名前が!
セリフは少なく。戦争映画というよりかはサスペンス映画
陸・海・空と3つの視点で描かれる【ダンケルク】にはセリフを話す人間は少なく、多くのシーンはディテールのみで語られています。
この作品のためノーラン監督は、サイレント映画を研究したといいます。
ギリギリまでそぎ落としたセリフの代わりに目立ってくるのは多くの交戦、浜辺からの撤退、救出のシーン。
話している暇などなく必死に生きようともがく姿に、ひとりでも多くの仲間を助けるその姿に、その場にいないスクリーンの外側の自分たちまでもが、あの戦場に吸い込まれるように映画に引き込まれるのは、これが理由のひとつなのかもしれません。
アナログ手法による「リアルさ」
先ほど述べたように、ノーラン監督は「本物」にこだわる監督のひとり。
デジタルやCGはずっと進化し続けており、【ロード・オブ・ザ・リング】シリーズ(2001~)のスメアゴル / ゴラムのモーションキャプチャーに比べて【ホビット】シリーズ(2012~)の方がはるかに美しく滑らかに表現されているのがわかるかと思います。
しかし、あえてデジタル世界に逆行するように35ミリフィルムなどでの撮影を行うノーラン監督だからこそ、不自由だけれど説得力とリアリティがある世界観が撮れるのではないのでしょうか。
それはCGならば必要ない巨大な模型や実物大セットなどをいちから作ったり壊したりと、興行収入がもし芳しくなかった場合を考えれば、どれもリスキーな選択でもあるのではないかと思いますが、きっとノーラン監督の努力と、映画に対する覚悟なのではないかと思います。
【ダンケルク】まとめ
2020年3月現在、池袋の映画館「グランドシネマサンシャイン」の前夜祭でも上映されていたようにまだまだ人気高く、映画館で観るべき作品であると言える【ダンケルク】。
内容としては撤退作戦という、勝ち負けで言えば負けているともいえると思います。
ラストの燃えるスピットファイアからのトミーの目と新聞紙の音。
彼は、当時の首相であるウィンストン・チャーチルの歴史的有名なあの演説を読んで理解して、一体何を思ったのか。
この撤退作戦でどれだけの人間が協力し、どれだけの人間が命を落とし、どれだけの人間が救われたのか。
そういったことを考えてみたり調べてみたりするのもいいかもしれません。
ちなみに、声での出演(フォーティス・リーダー)のマイケル・ケインですが、【空軍大戦略】(1969)という映画でキャンフィールド少佐というパイロットを演じています。
本作では彼が以前演じたキャラクターを意識しているということなので、気になった方はぜひ。
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