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【ドント・ブリーズ2】あの邪悪な盲目老人が今度はダークなヒーローに!?

映画【ドント・ブリーズ2】は、前作の成功に支えられて製作された続編で前作から8年後のストーリーになっています。全世界で1億5,780万ドルの興行収入をあげた【ドント・プリーズ】(2016)から5年。新しい物語となって戻って来た本作では、ネイビーシールズ出身の盲目ノーマンの家に、侵入者が入ったことからノーマンの内面にあった闇の力が再び目覚めます。

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あらすじ

© 2021 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

盲目の老人ノーマン(スティーヴン・ラング)は、残酷な事件が起こったその日以降、秘密の過去を持つ少女フェニックス(マデリン・グレイス)と共に、世の中と断絶した日常を送っていました。

ある夜、ノーマンの家に侵入した何者かによってフェニックスが拉致されてしまいます。

フェニックスを取り戻そうとした時、眠っていたノーマンの狂気が再び目覚め……。

彼は、少女の守護者なのか、それとも怪物なのか。

そして今、闇の中の真実が明らかになるのです。

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本作の見所

【ドント・プリーズ2】は、恐怖というより息の詰まるような緊張感を抱かせるスリラー映画です。

盲目の老人が闇の中で見せる驚くべき技術はスリル溢れる緊張感と快感を抱かせ、少女の登場によって前作よりもストーリーを拡張させていました。

序盤、フェニックスが侵入者から逃れるため、見つかるか見つからないかという僅かな差で移動しながら侵入者を避けていく様子は、前作に劣らない緊張感があります。

また、盲目とは言えノーマンはネイビーシールズ出身。

フェニックスにサバイバル戦闘術を身につけさせたり、悪党への残忍さも”ならでは”の場面で、これらは伏線として、物語の流れを理解するに一役買ってくれるシーンでした。

作中では、フェニックスの出生の秘密が重要なポイントとして描かれているため、少女の為に戦う老人を応援したくなる物語です。

【ドント・プリーズ2】の原題は”Don’t breathe 2”で、意味は”息をしないで”ですが、そのタイトル通り息をするのを忘れるほどの没入感、緊張感が堪能できます。

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監督と出演者

 ロド・サヤゲス

【ドント・プリーズ2】の監督を務めたのは、ウルグアイ出身のプロデューサーであり脚本家のロド・サヤゲス。

1作目の監督を務めたフェデ・アルバレスは、本作では脚本と製作のみの参加。

短編映画を書いたのち、長編映画デビュー作である1981年の映画のリメイク版【死霊のはらわた】(2013)を担当しました。

2018年11月、ロド・サヤゲス監督とフェデ・アルバレス監督で【死霊のはらわた】(2013)の続編を共同脚本し、2019年9月には【悪魔のいけにえ】(1974)の新作映画を共同制作すると言われています。

そして今回【ドント・ブリーズ2】の監督に起用され、初監督デビューを飾りました。

スティーヴン・ラング

主人公ノーマン役を演じたスティーヴン・ラングは、米国ニューヨーク市で著名な実業家で慈善家のユージン・ラングとテレサ・ボルマーの間に生まれました。

ハンガリー系ユダヤ人、ドイツ人、ユダヤ人(父親)とアイルランド系ドイツ人カトリック教徒(母親)の子孫に当たります。

スティーヴン・ラングは数多くの受賞歴のある俳優で、ジェームズ・キャメロン監督の【アバター】(2009)で名を馳せ、演劇界でキャリアを積み重ねました。

ブロードウェイでトニー賞ノミネートされ、彼自身の戯曲<Beyond Glory>で多くの称賛を受け、2010年にはアメリカ軍の為の演劇と慈善活動を称え、名誉勲章協会から愛国者賞を受賞した歴もあります。

映画界では、【ニューヨーク・ヤング自警団】(1981)で初デビューを果たし、【トゥームストーン】(1983)や【ゴッド&ジェネラル/伝説の猛将】(2003)、テレビシリーズでは、【クライム・ストーリー】(1986-1988)、【逃亡者】(2000-2001)で、圧倒的存在感を発揮しました。

聴覚に頼って生きていかねばならない人の特徴を捉えた表現はもとより、自分の過ちを悔いるノーマンの姿は本当の盲目の老人かと思わせるほど最高の演技です。

マデリン・グレース

マデリン・グレースは、2008年12月17日にアメリカ合衆国で生まれた子役です。

【ドント・ブリーズ2】を始め、【グレイズ・アナトミー 恋の解剖学】(2005)、【Bunk’d】(2015)など、多くの人気映画とテレビシリーズでの活躍し、短編映画【Z Nation】(2016)では初主演を果たしました。

本作では中盤から、フェニックスを中心としたストーリーになりますが、後半での重要な場面でも大活躍するなど素晴らしい演技を見せています。

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前作と本作の共通と差異

2016年に公開された【ドント・プリーズ】は、ネイビーシールズ出身の盲目の老人が泥棒達に立ち向かって戦うという、やや斬新な設定と共に、加害者が被害者になったり限られた空間での高密度の演出など、多様なスリラー的要素が複合され世界中で大ヒットとなりました。

被害者だと思った人物が加害者になり、加害者になると思った人物が被害者になる。

そして、映画の中の盲目の老人は、不気味で恐ろしい存在になりました。

前作では、廃屋になった屋内での密室スリラーに対し、今回はストーリーの流れによって背景も変わっていくのでスケールも大きくなっていますが、泥棒がガラスの天井の上に横たわっている場面も登場するなど、前作のオマージュ発見の楽しさもあります。

また、前作で泥棒たちを最後まで威嚇したワンちゃんも出演していますが、今回は更にもう1匹のワンちゃんが出て来ます。

実は、そのワンちゃんこそ新たな続編に繋がる鍵となるのです。

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盲目老人ノーマンのキャラクター

この映画は、ホラーと言うよりはスリラー要素が強い作品で、悪役が主人公の映画に他ならず、彼の目的とキャラクター性がはっきりしています

殺人犯に拉致犯に強姦犯だったノーマンが、今回は少女を一人で育てる老人になっており、彼の子供や子孫に対する思いをそのまま投影したシンプルな設定になっています。

まるで、【ターミネーター】(1984)と【ターミネーター2】(1991)のように、同一キャラクターでも別人であるのと同じで、本作でのノーマンは悪のイメージが薄少されており、た少女を取り返すべく復讐を敢行する老人となっています。

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ダークヒーローのアクションと前作より高まった暴力性

前作が、被害者と加害者が大きく変わる意外な反転を通じた奇抜さと恐怖感を与えたとすれば、今回は悪党と老人の血が飛び散るアクションが中心で、老人が悪戦苦闘をしつつ、多くの悪党を相手に見せてくれる戦闘力にスポットを当てたアクションスリラーです。

前作では、光のない闇の中の空間という公平な状況だとすれば、今回は、老人が厳しい状況で窮地に追い込まれるというもの。

負けざるを得ない闘いにも関わらず、彼は誰にも劣らない能力で全ての悪党を倒します。

そのような防御と復讐の快感は、本作を見る価値として十分にあります。

また、ノーマンが波の波動で相手の位置を把握し正確に発砲するシーンや、赤い煙幕の中で逆立ちする演出など、暗くて狭い環境の構造と細い光一本で怪奇な雰囲気を作り出すカメラワークも見事でした。

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育ての親と少女の親子愛

前作では、自分の子供を欲しがっていた老人の欲望が描かれていましたが、今回は少女を登場させ新しいストーリーを作り上げました。

子供を求めていたにも関わらず自分が怪物である事を認識していたノーマンは、少女との関係を断絶しようとしましたが、少女は孤独で頼れるのはノーマンしかいませんでした。

作中で、少女がノーマンを「パパ」と呼ぶ場面がありますが、この意味は映画の後半に明らかになります。

この映画は、ホラースリラーアクションながらも親子愛や絆を描いた作品でもあります。

血の繋がりがあろうがなかろうが関係ありません。

ノーマンからは、生みの親に負けないほど娘に向けた深い愛情が感じられました。

そして映画のラスト。

生みの親に対して少女が感じたのは、「幽霊より人が怖い」という言葉そのものでした。

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