映画【白鯨との闘い】ネタバレと見どころ。
小説『白鯨』の誕生秘話。
捕鯨船エセックス号で生き残った男が語った衝撃の航海記。
隠され続けてきた秘密が明らかとなった時、人々はどう感じるのか…。
映画【白鯨との闘い】ネタバレ考察と見どころ、感想をお伝えします。
【白鯨との闘い】あらすじ
1850年、作家ハーマン・メルヴィルは、トーマスという男を訪ねました。
トーマスは、捕鯨船エセックス号の乗組員として巨大な白鯨と闘い、生き残っているただひとりの男でした。
ハーマンは、彼らの航海記を新しい作品にしたいと思い、全財産を持ってトーマスに話を聞きにきたのです。
渋りながらもトーマスは、当時の事を話し始めました。
1819年、捕鯨船エセックス号は、出向の準備に追われていました。
そこにベテラン一等航海士チェイスも呼ばれます。
今までも捕鯨に貢献してきたチェイスは、今回は自分が船長になれると思っていました。
しかし選ばれたのは未経験者のポラード。
彼は、島の名家の生まれであり、父親は、船の出資者でもあります。
ポラードは”家柄”だけで選ばれた船長だったのです。
不満を抱えつつも生活のために船に乗ることを決めたチェイス。
船には14歳で孤児のトーマスも一緒に乗り組むことになりました。
太平洋を目指して出港したエセックス号でしたが、船長の経験不足による判断ミスなどからトラブルが続出します。
やがて、鯨の群れと遭遇したエセックス号。
乗組員たちは、このチャンスを逃すまいとボートを漕いで捕獲に向かいます。
しかし、その中のリーダー格である巨大な白いマッコウクジラによって船は大破させられてしまいます。
今まで取った鯨油も海に流され、命からがら3艘のボートに分乗した乗組員たちは、わずかな水と食料のみで漂流生活を送ることに。
その漂流生活により、彼らは更なる試練と向き合わうこととなるのでした。
【白鯨との闘い】見どころと考察
息をのむ巨大白鯨との闘い
捕鯨と聞くと、簡単な仕事ではないという事は誰もが想像つくかと思いますが、本作では臨場感あふれる壮大なスケールで、鯨との闘いがどれほど大変なことかを実感できるほど詳細に描いています。
船ほどの巨大な鯨を一頭仕留めるだけでも命がけです。
何も収穫のない日が続いていいたある日、鯨の潮を見つけた見張りの乗組員の合図で、船内は一気に活気あふれる空気が流れ始めます。
次々とボートに乗り込み鯨へ向かっていく男たち。
そして、鯨に近づくと力強く銛を打ち込みます。
鯨は哺乳類の為、深い海に沈んでも息を吸うために海上に上がってこなければなりません。
男たちは銛を打ち込み、徐々に鯨を弱らせていくのですが、銛につながったロープが短ければ、船もろとも海に引きずり込まれてしまいます。
ロープが足りなくなれば、ロープを切って獲物を諦めなければいけません。
それは、大きな損失を意味することなります。
このギリギリの駆け引きは本当にドキドキする場面のひとつでした。
そして、捕獲した鯨を解体し、油を搾取する場面までをも丁寧に描いています。
一番小さなトーマスが、鯨の体内に入れられて上質な頭部の油をとるシーンは、匂いまで感じられるほどリアルでした。
極限状態に置かれた人間たち
この映画のひとつの見どころはもちろん鯨との闘いですが、そこだけが物語の焦点ではありません。
白鯨によって叩き壊されたエセックス号。
命からがらボートに乗り移った乗組員たちの漂流生活。
この後半部分が、更なるこの映画の見どころでもあるのです。
わずかな食料と水だけで大海原を生き延びていくには、肉体的にも精神的にも大きな負担となっていきます。
自分が生き残るために、他人を蹴落とすなどという精神は彼らの中にはありません。
船が最初に出向するときに、チェイスがトーマスに言った「俺たちは家族だ」という言葉通り、乗組員たちはお互いに励まし合い、平等に食料を分けて飢えをしのいでいきます。
しかし、肉体のダメージの進行は皆同じではありませんでした。
苦楽を共にしてきた仲間の命が尽きた時、その体を海に葬ろうとしていた乗組員に向けて、チェイスは涙を流しながら、
「船乗りは貴重なものを捨てたりはしない」
と言います。
人が人肉を口にするという恐怖、そしてそのような行為に踏み切ってしまった後の罪悪感と後悔は想像を絶します。
生きるために下した究極の決断。
これこそが、乗組員たちが誰も語らなかった真実だったのです。
魅力的なキャスト
【アベンジャーズ】に出演したクリス・ヘムズワースをはじめとする、豪華なキャストを揃えている【白鯨との闘い】。
若き日のトーマス役は【新スパイダーマン】の主演トム・ホランドが演じています。
トムはこの映画に取り組むにあたり、撮影前に航海の仕方や、知識を学んで、船乗りとしてのトレーニングを積んだそう。
他のキャスト達も、真の船乗りのような気迫あふれる演技でした。
チェイスとポラードは両極端のようなキャラクターであり、度々意見がぶつかり合います。
生き延びて帰港したその後の彼らは、過酷な状況を乗り越えてきた同志だからこその結びつきがあるという感じがして、じーんとなりました。
【白鯨との闘い】感想
巨大な伝説の鯨を仕留める事がメインの映画と思っていたら、全然違いました。
物語の半ばで船が大破し、リベンジして白鯨を捕まえるのか?ではなく、後半はシリアスなサバイバルストーリーです。
”闘い”とは単に鯨との闘いだけではなかったのだと、見終わった後に感じます。
トーマスが話したがらなかったわけだと納得。
ずっとひとりで罪の意識を背負って生きてきたのでしょう。
ようやく真実を話すことが出来てホッとしているのではないかなと思いました。
そして、その衝撃な話を聞いても軽蔑することなくトーマスを受け入れる妻も立派!
究極のサバイバルストーリー【白鯨との闘い】は、色々なことを深く考えさせられる映画でした。
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