【500ページの夢の束】ネタバレと見どころ。
映画【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)】にも出演したダコタ・ファニングが好演。
自閉症について大量のリサーチをしつつも、彼女なりの解釈を盛り込んで演じたという作品。
この記事では、映画【500ページの夢の束】のネタバレと見どころをお伝えします。
映画【500ページの夢の束】あらすじ
大好きな『スター・トレック』の脚本コンテストのためにハリウッドを目指す、自閉症のウェンディ。初めての一人旅には、誰にも明かしていないホントの目的が秘められていた―
自閉症だけれど並外れたスタートレック知識を持つ女の子・ウェンディ。
姉・オードリーと離れて施設で暮らす彼女はなんでもきっちり。
曜日で色が決まっているセーター、渡ってはいけないと言われた交差点は渡らない。
アルバイトもこなし始めた彼女は誰にも負けないくらいの知識量を持つほどの「スター・トレック」の大ファン。
ある日オリジナルの「スター・トレック」の脚本コンテストがあると知り、自ら500ページもの壮大な脚本を執筆するもソーシャルワーカーのスコッティに見せているうちに郵送ではコンテストの締め切りに間に合わないことに……。
せっかく書いた脚本、どうしても参加したいウェンディは街からも出たこともないのハリウッドまでの数百キロの道のりをひとり移動することを決意し……。
【500ページの夢の束】の見どころ・ネタバレ
【スター・トレック】が見たくなる!
この映画のキーワードとなる【スター・トレック】というのは、舞台が近未来でありながらも、その時その時の社会問題などを取り入れたドラマであることからもヒットし、【スター・ウォーズ】(1977)シリーズと肩を並べるほどの世界的SFドラマ。
その影響力はとても大きく、【スター・トレック】をきっかけに宇宙飛行士になった方もいるほどです。
近年では、クリス・パインが出演しているJ・J・エイブラムス監督のリブート作品【スター・トレック(2009)】で知った方も多いのではないでしょうか?
作中では、”クリンゴン語”を話せる警官などが登場したり【スター・トレック】の主なキャラクターであるカーク船長、スポックなどの名前も登場します。
もちろん知識がなくても楽しめる作品ではありますが、知っていた方がもっと楽しめるのは間違いないので、ぜひ本作を観る前に一度【スター・トレック】シリーズに触れてみてはいかがでしょうか?
旅は、経験は、彼女を強くする。
今まで見知った環境でしか生活してこなかった彼女にとって、初の大冒険となるハリウッド・パラマウント社までの道のり。
お金も大してない状態だけれど、長距離バスで目的地へ向かうはずが、うっかりついてきてしまった愛犬・ピートを連れていたことから途中で降ろされてしまいます。
助けてくれると思った人からは裏切られ、貴重品などを盗られてしまいどん底に陥ってしまいました。
しかし、そんな中でもやはり優しく助けてくれる人というものはいるわけで。
たまたま巡り合った人と一緒に行動してみるなど、「脚本コンテストに参加するため」にウェンディは飛び出してきたために「今まで通りの生活」を、見知った街でしているだけなら決して起こらなかったであろうたくさんの出来事を、身を持って経験していきます。
何かあってパニックになりそうなとき、彼女が呪文のように呟いていた「Please Stand By(お待ち下さい)」の言葉は「スター・トレック」TVシリーズ放送時の、休憩画面に出ていたそうですが、これは彼女にとって心を落ち着かせる重要なキーワード。
どんなにつらくても、彼女には常に大好きな「スター・トレック」が傍にいることがわかるシーンが数多くあるので、興味深いと思います。
「好きなものがある人生」はきっとたのしい。
好きなものに突き動かされて、思わぬ生活の転機を迎えたウェンディ。
それは本作終盤にも描かれています。
無事パラマウント社に着くも、受付は終了したからと話を聞いてくれない無愛想な男性職員に突っかかり、半ば無理やり脚本をねじ込む強気な姿勢は、きっと長い道のりで多くを経験したからこそできた行動。
最終的に選外になってしまいますが、彼女の表情はどこかスッキリしているように見えました。
心から夢中になって大好きだからこそ、ここまで行動できるということはとても素敵なことだと思います。
「好きこそものの上手なれ」という言葉がある通り、人というものは好きなことに全力で向かっていける生き物なのかもしれません。
【500ページの夢の束】まとめ
自閉症の方が感じているであろう「誰からも理解されない」という感覚が、「スター・トレック」シリーズを観ていると共感できるそう。
おそらくそれは、登場人物にエイリアン(=種族が異なる)が多いことや、社会問題などに目を向け、それらを盛り込んで作り上げている革命的な作品だからではないかと思います。
ウェンディも、それを共感をしながらも素敵な物語に心を惹かれ、トレッキー(=「スター・トレック」のファンを指す言葉)になったのでしょう。
脚本の一部を失っても、捨てられていた裏紙を使い失った部分を埋めるために手書きで書いていくほどの情熱、きっと大人の方は子どものころに描いていた夢を、ふと思い出すきっかけになるのではないでしょうか。
もしダメだったとしてもこれからだって挑戦していけばいい、好きなものはずっと好きなんだ、そんなやわらかい気持ちを大切にしてくれている作品だと思います。
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