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【サバハ / 娑婆訶】ネタバレ解説と考察。信じるものは本当に救われるのか⁉︎

【サバハ】ネタバレと解説。韓国のゴールデングローブ賞と呼び声の高い”百想芸術大賞”にて、作品賞と監督賞にノミネートされ、新人女優賞も受賞した話題作【サバハ】(2019)。豪華キャスト陣が送る宗教オカルトミステリー。新興宗教の研究を行う牧師が見つけた新たな宗教団体には、大きな秘密が隠されていました。相次ぐ失踪・殺人事件は全て繋がっており、その裏には衝撃の人物の存在が……。

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【サバハ】あらすじ

1999年、江原道カンウォンド寧越ヨンウォルで双子の女の子が生まれました。

10分先に生まれた姉はお腹の中で妹の足を食べて生きていたため、妹は足を怪我して生まれてきます。

足こそ怪我していたものの、無事に生まれた妹はグムファ(イ・ジェイン)と名付けられ、足を食べた姉は悪鬼として隠されることに。

姉は瀕死状態で生まれており、医師からも間もなく死ぬだろうと診断されていたにも関わらず、2014年現在も生き続けていました。

娘たちを産んだ1週間後に母は亡くなり、父は自殺。

度重なる不幸から、姉の異常性に気付いた祖父母は彼女の出生届も出さず、離れの小屋に監禁して言葉も教えないどころか、接触もせずに暮らしてきました。

新興宗教を調査しているパク牧師(イ・ジョンジェ)は、怪しい団体を見つけては自ら徹底的に調査して暴露記事を書いていました。

パク牧師が次に目をつけたのは、”鹿野苑”という宗教団体。

部下のヨセフ(イ・デビット)に潜入調査をさせて真相を探りますが、献金がいらない以外に特に怪しい点はありませんでした。

その頃、交通事故のあった陸橋の橋脚からミイラ化した女子中学生の遺体が発見されます。

遺体は橋脚に埋め込められており、事故の衝撃で壁が崩れたため偶然発見されました。

司法解剖の結果、遺体の食道からは大量の小豆とお札のようなものが発見され、以前にも似たような遺体があったと担当刑事に報告が上がります。

その一方で、パク牧師は長年の経験から鹿野苑に違和感を感じており、執念の調査によって鹿野苑の経典に秘密が隠されていることを突き止めます。

それは、鹿野苑の者たちは悪鬼を捕まえていること。

パク牧師は鹿野苑のさらなる真相に迫るべく、経典を書いたキム・プンサという法名の人物を探し出すことにしたのです。

1999年生まれの悪鬼となった双子の姉、寧越ヨンウォルで相次ぐ同世代の女の子の失踪・殺人事件、鹿野苑の秘密、これらは全て複雑に絡み合い……。

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【サバハ】解説と感想

衝撃の冒頭

全身を毛に覆われ、胎内で隣にいるグムファの足を食べて生きていた”それ”の出産シーンから始まる【サバハ】(2019)。

ところが、”それ” ことグムファの姉が生まれて以来、彼女の両親が亡くなるなど不幸が続きます。

特に自殺を選んだ父の死に際に見せた安堵の表情は、まるで全てから解放されて喜びを感じているかのようでとても印象的でした。

瀕死状態で生まれて間もなく死ぬとされていたにも関わらず、その後も生き続ける姉に怯えながら生きるグムファと祖父母。

毎日熱心に神に祈りを捧げる祖母の姿には狂気すら感じましたが、グムファの姉に対し言葉も教えず外から鍵を掛けた小屋で動物のように過ごさせている時点で、すでに正気の沙汰ではなかったのかもしれません。

祖父はグムファの姉が夜な夜な赤子のような声で泣き続けるのが怖いと話していますが、彼女が泣き続けているのは愛情も受けれずにぞんざいな扱いを受けているからではないか?と。

相次ぐ両親の死から悪鬼とされ、存在を隠されてきたグムファの姉も、きちんと愛情もって育てられていればこうはならなかったかもしれません。

しかし、結果として救世主となったグムファの姉にはこの生い立ちが必須だった可能性が高く、彼女は劣悪な環境で育ったからこそ悟りの境地に達することができ、その結果人々を救うことになったとも考えられるのです。

全ては繋がっていた

【サバハ】(2019)では主に3つの出来事があり、一見するとバラバラに見える出来事が宗教によって繋がっていきます。

  • 悪鬼とされるグムファの双子の姉
  • 鹿野苑の経典に隠された秘密
  • 女子中学生殺人事件(1999年寧越生まれの女の子の失踪・殺人事件の多さ)

なぜグムファの姉は悪鬼とされたのか、なぜ寧越では1999年生まれの女の子の失踪・殺人事件が相次いだのか。

これらの謎は全て”鹿野苑”の経典に隠された秘密と関係していることが、パク牧師の”鹿野苑”に対する執念の調査によって明らかになっていきます。

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【サバハ】感想

宗教オカルトミステリーというあまり馴染みのないジャンルではあったものの、非常に質の高いミステリー映画で面白かったです。

宗教には詳しくなくても、【サバハ】(2019)では説明を挟みながらストーリーが進んでいくため、とてもわかりやすくきちんと理解しながら観ることができました。

また、宗教によって異なる価値観から”何が善で何が悪なのか”、そんな本質的な部分について考えさせられる作品でした。

そして、表向きには全く関係のないように見える3つの出来事が実は全てしっかりと繋がっていて、それらが1つずつ繋がっていくのは見ていて爽快感を覚えます。

さらに【サバハ】(2019)はキャスト陣も豪華で、ユ・ジテや田中泯などのベテラン俳優に加え、パク牧師の部下には【梨泰院クラス】(2020)でセロイの友人を演じたイ・デビットなどの若手俳優も名を連ねています。

そんな中でも、グムファ役を演じたイ・ジェインは若干16歳ながらもベテラン俳優顔負けの演技力を見せつけ、百想芸術大賞にて新人女優賞を受賞しました。

主人公のパク牧師の推理力の高さはまるで名探偵のようでもあり、謎解きや推理ものが好きな方には是非おすすめしたい作品です。

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