2018年に公開された映画【未来のミライ】は、【バケモノの子】(2015)に続く細田守監督の5作目となる長編オリジナル作品です。本作は第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされるなど、国内外で高い評価を受けました。キャッチコピーは「ボクは未来に出会った。」を、ぜひ。
【未来のミライ】あらすじ
主人公くんちゃん(上白石萌歌)は電車が好きな4歳の男の子。
今までお父さん(星野源)とお母さん(麻生久美子)からの愛を独り占めして過ごしていたところ、出産を終えたお母さんが妹のミライちゃんを連れて帰ってきます。
その日からくんちゃんはかまってほしくてワガママを言ったり、いじけてみたり、ミライちゃんのお世話で忙しくなったお父さんとお母さんの気を引こうと必死にアピールするようになりました。
ある日、家の中庭にある大きな木の近くで、くんちゃんは奇妙な男と出会います。
その男は飼い犬ゆっこの人間になった姿で、くんちゃんは犬の姿になり元気いっぱい中庭を走り回ります。
またミライちゃんの顔にいたずらした日には、セーラー服を着た未来のミライちゃん(黒木華)が現れ、一緒にひな人形を片付けました。
中庭の大きな木に近付くと不思議な出来事が起き、くんちゃんは家族にまつわる時空の旅に出るようになります。
キャスト情報
くんちゃん/上白石萌歌
甘えん坊の4歳の男の子で、本作の主人公です。
電車のおもちゃを多く持っていて、いつもお母さんから片付けるように言われています。
くんちゃんの声を務めたのは、【羊と鋼の森】(2018)、【3D彼女 リアルガール】(2018)、【劇場版ポケットモンスター ココ】(2020)の作品に出演する女優の上白石萌歌です。
実は上白石萌歌がミライちゃん役、黒木華がくんちゃん役でオーディションを受けていましたが、上白石萌歌のくんちゃんの泣き声や犬の鳴き声がイメージに合っていたことからこのようなキャスティングになりました。
ミライちゃん/黒木華・本渡楓
くんちゃんの生まれたばかりの妹で、右の手のひらにアザがあります。
未来から来たミライちゃんは、ある日突然現れ、くんちゃんを時をこえる冒険に導きます。
未来のミライちゃんの声を務めたのは、【幕が上がる】(2015)、【日日是好日】(2018)、【舟を編む】(2013)などの作品に出演する女優の黒木華です。
黒木華は、細田守作品において【おおかみこどもの雨と雪】(2012)の雪役で声優に初挑戦し、【バケモノの子】の一郎彦役(2015)に続き3度目の出演となりました。
【未来のミライ】見どころと解説
リアルに描かれる子育ての大変さ
本作は、退院したお母さんがミライちゃんと一緒に自宅に戻るシーンから始まります。
お母さんはすぐに仕事に復帰し、家事と育児は在宅で仕事をするお父さんがメインで行うことになりました。
くんちゃんが生まれたときは仕事に逃げていたお父さんでしたが、今回初めて子育てに真正面から向き合い、子どもたちの自由奔放な様子に思うように育児ができないことを知ります。
本作では、全体を通してミライちゃんに嫉妬するくんちゃんや、慣れない育児に奮闘するお父さんの姿がとてもリアルに描かれています。
また、お母さんとおばあちゃんがケーキを食べながら子育てについて語り合うシーンも印象的でした。
くんちゃんの成長
くんちゃんは時を超える冒険で、様々な時代、様々な場所で多くの体験をします。
ある時は幼い頃の母親に会って一緒に部屋中散らかしたり、またある時は若い頃のひいおじいちゃんとバイクに乗ったりします。
「くんちゃんは、ミライちゃんのお兄ちゃん!」
迷子になった東京駅で自分が何者か証明するシーンでは、両親を独り占めして嫉妬の対象だったミライちゃんのお兄ちゃんと名乗ることで、ミライちゃんを家族だと認識し、ミライちゃんの兄であることを自覚する印象的なシーンとなりました。
これらの冒険は、くんちゃんが家族について考えるきっかけを与え、くんちゃん自身を大きく成長させました。
【未来のミライ】感想
映画【未来のミライ】の1番の魅力は、ころころ変わる無邪気な表情と、のびのびとした声が可愛らしい、くんちゃんと言うキャラクターです。
本作は、そんなくんちゃんが一人っ子からおにいちゃんになるまでの心の成長を描いた心温まるストーリーとなっています。
主題歌の【ミライのテーマ/うたのきしゃ】を歌う山下達郎は、【サマーウォーズ】(2009)以来、2度目のタッグを組んでおり、本作でも山下達郎の爽やかな歌声が、生き生きとしたキャラクターたちとマッチし、映画を盛り上げています。
ぜひ、ご覧下さい。
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