1989年に公開された映画【魔女の宅急便】は、【となりのトトロ】(1988)に続くスタジオジブリの4作目の長編アニメーション作品で、スタジオジブリの知名度を一挙に押し上げた作品です。本作は角野栄子の児童書「魔女の宅急便」が原作となっており、1985年に始まった原作の「魔女の宅急便」シリーズは24年の時を経て2009年に完結しました。キャッチコピーは、「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」を、ぜひ。
【魔女の宅急便】あらすじ
「今夜に決めたわ!出発よ!」
田舎町に住むキキ(高山みなみ)は、ラジオから流れる天気予報を聞いて、今夜 魔女になるための修行に旅立つことを決意します。
キキは友達や家族が見守る中、キキの小さなほうきでは、長旅に耐えられないと母親のほうきを持たされ、黒猫のジジ(佐久間レイ)と一緒に元気いっぱいに出発しました。
慣れないほうきに乗って、憧れの海沿いの街 コリコに降り立ち、そこでキキはパン屋のオソノ(戸田恵子)と出会います。
キキは、彼女のお店に居候させてもらうことになり、宅急便の仕事を通して絵描きのウルスラや孫想いのおばあさん、空を飛ぶことに憧れる少年 トンボ(山口勝平)と出会います。
キャスト情報
《キキ/高山みなみ》
本作の主人公で、魔女と人間の間に生まれた13歳の女の子です。
魔女の家には「13歳になったら魔女になる修行のため家を出る」というしきたりがあり、黒猫のジジと一緒に旅をしています。
キキの声を演じたのは、【名探偵コナン】シリーズ(1996)の江戸川コナン役、【忍たま乱太郎】(1995)の乱太郎役など数多くの作品で主演を務める声優の高山みなみです。
高山みなみは、本作で森の中で絵を描く少女 ウルスラの声も担当しています。
《トンボ/山口勝平》
ボーダー服にメガネ姿が印象的な、飛行クラブに所属する13歳の少年です。
「トンボ」はニックネームで本名は「コポリ」と言い、空を飛ぶキキに興味深く話しかけます。
トンボの声を演じたのは、【名探偵コナン】シリーズ(1996)の工藤新一役、【ONE PIECE】シリーズ(2000)のウソップ役などの作品に出演する声優の山口勝平です。
本作は、高山みなみと山口勝平の共演作ということで、テレビ放映時はコナンファンの間でも大きな話題となります。
キキの奮闘に注目
宅急便のお仕事
キキは、空を飛ぶ特技を活かしてオソノのパン屋「グーチョキパン店」で宅急便の仕事を始めました。
宅急便の仕事は楽しい場面だけではなく、届け先の客に冷たくされたり、土砂降りの雨の中配達したり、お届け物のぬいぐるみを探したり、働くことの大変さも多く描かれています。
元気が取り柄のキキも、時には落ち込むこともあり、オソノやウルスラに支えられながら懸命に仕事に取り組みます。
本作を大人になって改めて見ると、13歳の少女が自分のスキルで仕事を始め、一生懸命荷物を届けようと働く姿は、立派な社会人のようで本当に感心します。
飛行船の衝突事故
キキが客先のおばあさんの家にいるとき、テレビで飛行船「自由の冒険号」が離陸する生中継を目にします。
突風で飛行船は煽られ、その場でロープをつかんでいたトンボが飛行船にぶら下がった状態になってしまい、キキはその場にあったデッキブラシで空を飛び、助けに行きました。
見事トンボの救出に成功し、中継を見ていたおばあさんやオソノは笑顔で喜びます。
トンボを救出できたことは、魔法の力が弱くなって、空が飛べないと落ち込んでいたキキにとっても、再び仕事ができる自信を取り戻す出来事となりました。
ちなみにキキが気に入った海辺の街「コリコ」は、スウェーデンのストックホルムとゴットランド島のヴィスビューがモデルになっており、飛行船が衝突する時計台やキキが住み込みで働いたパン屋があります。
何度も見たくなるジブリ作品
いきなり修行に行くことを決めたキキでしたが、たどり着いたコリコの街でいろんな人と出会い、恋をしたり、落ち込んだりと懸命に生きる姿がとても印象に残っています。
ラストシーンに登場する「落ち込むこともあるけれど、私この町が好きです」という両親にあてた手紙は、本作を代表する名言だと言えます。
荒井由実が歌う本作の主題歌「ルージュの伝言」、「やさしさに包まれたなら」も物語の雰囲気にマッチして、穏やかな気持ちにしてくれます。
また「魔女の宅急便」の物語は、1993年から現在まで舞台化されたり、2014年には実写映画化されたり、様々なコンテンツで楽しむことができます。
ぜひ、ご覧下さい。
©1989 角野栄子・Studio Ghibli・N