【ホテル・ムンバイ】あらすじと見所。
2008年、インドの巨大都市ムンバイで起こった史上最悪とも言える“ムンバイ同時多発テロ”を描いたノンフィクション映画。
五つ星ホテルの従業員が、プロとしての誇りを胸に500人以上の宿泊客を救おうとした奇跡と感動の物語です。
この記事では、奇跡の実話【ホテル・ムンバイ】の作品情報やあらすじ、見所をご紹介します!
【ホテル・ムンバイ】あらすじ
2008年11月26日。ボートに乗った若い男たちがムンバイに上陸。
彼らはタクシーに分乗し、ムンバイ市内へと姿を消しました。
同じ日、主人公アルジュン(デーヴ・パテル)は幼い娘を妻に預け、五つ星ホテルであるタージマタル・ホテルへと向かいます。
ホテルではVIP客を迎える準備で大忙し。
その日は、アメリカ人のデイヴィット(アーミー・ハマー)と名家の娘ザーラ(ナザニン・ボニアディ)夫妻が、出産したばかりの娘キャメロンと、ベビーシッター役のサリー(ティルダ・コブハム=ハーヴェイ)と共に宿泊する日だったのです。
ちょうどその頃、CST駅ではカバンから銃を取り出した男たちが、無作為に人々に銃を向けて発砲していました。
ここから、パキスタンのイスラム系テロ組織の行動が開始されたのです。
テロ組織が次に襲撃をしたのは、外国人観光客に人気のカフェでした。
たちまち街中は混乱に陥り、襲撃から逃れた人々は非難するため、タージマタル・ホテルへと向かいます。
しかし、ロビーに紛れ込んだ人々に紛れテロ集団がホテルに流れ込み、テロリストによってホテルは占拠され、たちまち襲撃が開始されました。
500人以上の従業員と宿泊客が中にいるにも関わらず、地元にはテロ殲滅部隊がなく、インドの首都ニューデリーから部隊が到着するのに数日かかるという悲報が届きます。
従業員たちは「ここが私の家です。」と言ってホテルに残り、“お客様は神様”という精神の元、命がけで宿泊客を守ることを誓ったのです。
一方、ホテルのレストランで食事をしていたデイヴィット夫妻は、生まれたばかりの娘・キャメロンを部屋に置いてきてしまっており……。
そして、ホテルの従業員と宿泊客の命懸けの戦いが今始まったのです。
【ホテル・ムンバイ】のここがすごい!
監督自らの企画とリサーチ
【ホテル・ムンバイ】は、アンソニー・マラス監督が世界中にこの事件を伝えるため、自らが企画した作品です。
マラスは、2011年公開の短編映画【THE PLACE (原題)】で20もの国際映画賞を獲得しました。
【THE PLACE】は1974年に起こったキプロス紛争を題材にした映画ですが、自身も戦争により難民として家族と逃れた過去があり、そういった事実を多くの人に伝えるために【THE PLACE】を製作しました。
その想いが、【ホテル・ムンバイ】のテーマにつながったのではないでしょうか。
マラスは“ムンバイ同時多発テロ”を1年かけて調査したそうで、何名もの生存者に話を聞き、テロの実行犯と首謀者の通話記録を徹底的に調べ、裁判記録や新聞記事をたくさん読みました。
マラスはタージマタル・ホテル襲撃のニュースを知ったときのことを以下のように話しています。
500人以上もの人々が巻き込き込まれながら、32人しか死者が出なかったという奇跡に驚いた。しかも、犠牲者の半数は、宿泊客を守るために残った従業員だった。彼らの驚くほど勇敢で機転が利き、自らに犠牲にしようとした行動に心を動かされ、映画で伝えようと決心した。
出典:映画【ホテル・ムンバイ】公式サイトより引用
実際の映像を交えたリアルな臨場感
実話をリアルに再現することに成功した【ホテル・ムンバイ】。
最大の課題は、タージマタル・ホテルをどのようにしてスクリーンに映し出すかでした。
実際のホテルは現在も営業中のため、ホテル内部のシーンは監督・マラスの故郷であるオーストラリアのアデレードで撮影されました。
そして、当時の状況をリアルに再現した銃撃シーンが、【ホテル・ムンバイ】の最大の見せ場です。
テロリストに見つからないよう息を殺して隠れているシーンの静けさは緊張感が最大限に高まり、突如として始まる襲撃戦の迫力は、あまりにも恐ろしくて鳥肌が立つほど。
マラスはリアティをとことん追求するため、現場に巨大なスピーカーを置き銃撃音がなるよう設定していました。
このマラスの独特の演出方法に、現場は緊張感と恐怖で溢れていたそうです。
主演を務めたデーヴ・パテルは、当時の撮影現場の様子について以下のように語っています。
地獄だよ、それは。僕らはいつも不意打ちを食わされた。それによってどんなに緊張感がもたらされたか想像がつくだろう。僕は、『俳優としてではなく、偽りのない恐怖心で演技の望むんだ』といつも自分に言い聞かせていたよ。
出典:映画【ホテル・ムンバイ】公式サイトより引用
【ホテル・ムンバイ】の感想
途中で涙が出るくらい、心が痛い作品でした。
こんなにも理不尽に多くの人々が命を落とし、最愛の人を亡くしてしまう現実が実際にそう遠くない過去に起こったと思うと、恐ろしくてたまりません。
しかし、こういった胸を打たれるような衝撃的な作品は世界中で公開され、多くの人に観てもらうべきだと思います。
日本はこの“ムンバイ同時多発テロ”を大きく取り上げていなかったせいか、この事件をよく知らない人が多いようです。
ただ、決して他人事にできる事件ではありません。
世界でどんなことが起きたのか、この状況で自分だったらどうするか、本当に恐ろしいのは人間であることなど、こういった作品を観ることで改めて考える機会になります。
また、テロの被害者だけでなく、家族のため、神のためと戦ったテロ集団の少年たちにも胸が痛くなりました。
少年たちはそこまでしてでも行動するしかなかった、その現実に涙が止まりません。
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