1995年に公開された映画【耳をすませば】は、【平成狸合戦ぽんぽこ】(1994)に続くスタジオジブリの8作目の長編アニメーション作品です。本作は柊あおい原作の少女漫画「耳をすませば」を、スタジオジブリによってアニメ映画化した作品となっています。キャッチコピーは、「好きなひとが、できました」を、ぜひ。
【耳をすませば】あらすじ
ある日、読書が好きな主人公・月島雫(本名陽子)は、図書館で借りる本の貸出カードに「天沢聖司」の名前が多く書いてあることに気が付きます。
雫はどんな人物か分からない「天沢聖司」に、きっと素敵な人だと想像し、次第に憧れを抱くようになります。
夏休みに雫の親友の夕子(佳山麻衣子)と「カントリーロード」の替え歌をして遊んでいたところ、「コンクリートロードはやめたほうがいいと思うよ」と言って去っていく男子生徒がいました。
後にその人物が天沢聖司(高橋一生)であることを知り、ショックを受ける雫でしたが、雑貨屋「地球屋」でバイオリンを弾く姿を見たり、演奏に合わせて歌ったり2人は次第に仲良くなっていきます。
キャスト情報
《月島 雫(つきしま しずく)/本名 陽子》
本作の主人公で、本を読むことも書くことも好きな中学3年生の女の子です。
2002年に公開されたジブリ作品【猫の恩返し】は、雫が書いた物語という設定だそうです。
月島雫の声を演じたのは、【おもひでぽろぽろ】(1991)、【猫の恩返し】(2002)、【ふたりはプリキュア】シリーズ(2004)など数多くの作品に出演する声優の本名陽子です。
本名陽子は本作の主題歌「カントリー・ロード」も担当しており、この曲は作中でも登場し、聖司のバイオリンの演奏で、照れながら歌う雫の表情がとても印象的でした。
《天沢 聖司(あまさわ せいじ)/高橋 一生》
雫と同じく、読書が好きな中学3年生の男の子で、以前から図書館で見かける雫のことが気になっていたようです。
バイオリンの演奏が得意で、バイオリン職人になりたいという夢を持っています。
天沢聖司の声を演じたのは、【億男】(2018)、【九月の恋と出会うまで】(2019)、【ロマンスドール】(2020)などの作品に出演する俳優の高橋一生で、本作は14歳の時に出演しています。
まさに青春。
中学3年生の恋愛事情
夕子は他のクラスの男子からラブレターをもらったことを雫に相談しました。
夕子は野球部の杉村のことが好きと言い、夕子の気持ちを応援しようと杉村に話しかけた雫はその杉村から告白されてしまいます。
本作は雫や夕子、聖司や杉村、さまざまな登場人物が恋愛について、悩んだり、落ち込んだりする姿が描かれており、中学生という純粋でまっすぐな年頃だからこそ伝えられる想いや行動には、見る側も純粋な気持ちにさせられます。
本作のエンドロールで、夕子と杉村が一緒に下校している姿を見て、意外な展開に驚いた方もいたのではないでしょうか。
夢に向かって頑張る姿
「自分よりずっとがんばってるやつにがんばれなんて言えないもん」
「そうか、簡単なことなんだ。私もやればいいんだ。」
聖司はバイオリン職人になるための修行をするためにイタリアへ旅立ち、雫は夢を追って行動する聖司の姿を近くで見て、自分も将来の夢に向けて頑張りたいと小説を書き始めます。
受験勉強との両立や家族への説得に苦労しながら、雫はようやくバロンという猫を主人公にした物語を書き上げました。
「私、背伸びしてよかった。自分のこと前より少しわかったから。」
物語の執筆に至るまでの雫の言葉や、懸命に物語を書き上げる姿は、どれも見る人の心に響く名言・名シーンばかりで、自分もなにかに一生懸命取り組もうと思わせてくれます。
友情と恋愛と夢。
本作は、初対面で聖司からいじわるなことを言われ「やなやつ!」と連呼するほどの出会いから、ラストシーンでは「俺と結婚してくれないか」と早すぎるプロポーズまで、心ときめくストーリー展開が見どころとなっています。
本作は公開から25年以上経ちますが、何度見ても色あせることはなく、見るたび心ときめき昔を思い出す、懐かしい気持ちになります。
本作のモデルとなった雑貨屋「地球屋」は現在ありませんが、東京都多摩市の聖蹟桜ヶ丘駅周辺や洋菓子店「ノア」は、聖地として今でも多くのファンが訪れています。
ちまみに本作は、清野菜名と松坂桃李ダブル主演でオリジナルストーリーのその後を描いた実写映画化の制作が発表されており、こちらも公開が楽しみです。
ぜひ、ご覧下さい。
©1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH