アニメ映画【言の葉の庭】。
“愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり――雨の日の庭園で出会った2人。
夢を追いかける少年と、歩けなくなってしまった女性の出会い。
「鳴る神の 少しとよみて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めん」雨と歌が紡ぐ、2人の行方は?
アニメ映画【言の葉の庭】あらすじ
雨の日は電車を乗り換えずに降りて庭園へ……。
靴職人を目指すタカオは、雨が降るといつも高校をサボって庭園に向かい、四阿で靴のデザインのスケッチをしていました。
ある雨の朝、四阿へ向かうと先客の女性が……。
何故か女性に見覚えがあったタカオは、「どこかで会いましたか?」と尋ねますが、彼女は「いいえ」と否定します。
しかし、しばらくすると女性は何かに気づいたようにハッとし、「鳴る神の……」と、何かの短歌を呟いて去りました。
また次の雨の日、2人は同じように四阿で再会します。
しばらく話をした後、タカオはあまり授業をサボるのもいけないから、と四阿を出ていこうとしました。
「じゃあ、また会うかもね。もしかしたら……雨が降ったら」
その日はちょうど梅雨入りでした。
日に日に距離が縮まっていく2人。
タカオは、靴職人になりたいと初めて女性に打ち明けたり、ビールとチョコレートばかり食べている女性のために、お弁当を作って持って行ったり、明日雨が降っていればいいのに……と思ったり、段々と女性に心を寄せていきます。
何日か経ったある日。
女性はタカオにお弁当のお礼にと、タカオが欲しがっていた靴づくりの本をプレゼントしました。
そこでタカオは女性に、「女性ものの靴を作っているが、なかなか上手くいかない……」と話します。
タカオは女性に手伝ってもらい、採寸や足型をとらせてもらはいました。
「私ね、上手く歩けなくなっちゃったの。いつの間にか」
女性の悩みや仕事、年齢や名前すらも知らないのに、タカオは女性に惹かれていってしまいます。
そうして、女性のための靴を作ることにしたタカオ。
しかし、梅雨が明け雨の日の朝が来なくなり、タカオと女性は会わないまま、夏休みが終わってしまいます。
2人の関係はこのまま終わってしまうのでしょうか……?
タカオと女性の2人だけの世界。物語の舞台や見どころを紹介
タカオと女性の2人の出会いの場所でもある新宿御苑は、入場料が必要ですが、新宿駅から歩いて数分のところにある自然豊かな公園。
広さは58ヘクタールもあり、中には茶屋やレストラン、天皇や皇族の休憩所として使われていた旧洋館御休所などの歴史的建造物もあり、季節の草花もたくさん見ることができます。
映画内では青々としたモミジや藤棚が印象的ですが、新宿御苑には、春はウメやサクラ、夏はアジサイやサルスベリ、秋はキンモクセイやヒガンバナ、冬はスイセンやフクジュソウなど様々な花を楽しむことができます。
映画の女性も、そんな自然豊かな新宿御苑で心を癒されていたのかもしれませんね。
また、桜の季節や秋の菊花壇展などのイベント開催中には特別開園期間が設けられ、通常月曜休園のところを休まずに開園しています。
そのほかにも、写真教室、フォトコンテスト、花や野菜の市場などのイベントも行われています。
しかし、園内では映画にも看板に書かれていたように、アルコール類の持ち込みは禁止なので注意してください。
また、普通の公園と違ってボール遊びやジョギングも禁止されていますので、植物を愛で、映画のシーンを思い出したりしながらゆっくり歩くのがおすすめです。
美しい映像に圧倒され、2人の切ない関係に涙してしまう……「言の葉の庭」感想
ある雨の日の出会いから、タカオはどんどん女性に惹かれていきます。
ただ、女性から見れば自分はただのガキだと揶揄したり、女性の名前すらも知らないということに悩んだり、好きだという気持ちを抑え込み、女性に悟られないように普通に接していようとしているのが見ていて切なくなってしまいます。
女性もタカオからあえて一歩引いたような態度をとっておきながら、本当は梅雨が明けて欲しくなかった……とひとりで呟くシーンもあり、お互いがお互いを思っているのに、あえて距離を縮めずに置いているような、煮え切らない2人にやきもきしてしまうところもありました。
また、個人的ではありますが【言の葉の庭】で特に好きなのは、雨粒や濡れた地面などの水の表現。
特に冒頭のシーンは、水面に映りこんだ木の影が波紋で揺れ、遠くではきらきらと光が反射して光っている様子が本当に綺麗です。
やはり、雨の日は2人が会える日ということもあって、雨のシーンや表現には特に力を入れている感じがしました。
【言の葉の庭】は、実はたった46分のアニメーション映画。
エンディングで流れる秦基博のカバー曲「rain」は、ゆったり落ち着いた声と曲調が作品の余韻にどっぷり浸ることが出来ますので、是非、雨の日に家でゆっくりと鑑賞してみてください。
オフィシャルサイト
©Makoto Shinkai / CoMix Wave Films