【101匹わんちゃん】(1962)のヴィランでおなじみ、グレン・クローズが【101】(1997)にて主役を演じたこともあるクルエラ・デ・ヴィル。そんなクルエラを【ラ・ラ・ランド】(2017)などのエマ・ストーンが熱演。彼女は如何にして悪女と化したのか?
【クルエラ】あらすじ
1968年、エステラ(エマ・ストーン)は母・キャサリン(エミリー・ビーチャム)とふたりで楽しく暮らしていました。
しかし、エステラは自己主張が強くふっかけられたケンカは買うタイプ。
小学校に進学するにあたり「クルエラ(困った子)は出しちゃダメよ」と言われていましたが、案の定問題ばかりで校長室に呼ばれてしまう毎日。
エステラの友だちはいじめられっ子のアニータ(カービー・ハウエル=バプティスト)と犬のバディだけでした。
ある日、ついに退学を告げられてしまったエステラに対してキャサリンは、ファッションデザイナーを夢見るエステラの個性を大切にしたい気持ちもあってロンドンに向かうことに。
その途中、ヘルマン・ホールで行われていたファッション・ショーに寄ったキャサリンと、車の中でおとなしくしていると約束したにも関わらず外に出てしまったエステラ。
会場に潜り込んだせいで大騒ぎとなってしまい、3匹のダルメシアンに追われながら慌てて外に出てきた彼女は、崖のそばでキャサリンが誰かと話している姿を目撃します。
ダルメシアンは、なぜかエステラを無視して走り去るとキャサリンを崖から突き落とし――!?
ディズニー史上最高に「ゴシック・パンク・ロック」な映画
舞台が1970年頃のロンドンということで、びっくりするほどのファッショナブルさを全面に押し出している本作。
泥棒業を行っているときの赤髪のエステラがまず最高にキュートです。
また、潜入のために製作するファッションも見ものですが、やはりカリスマデザイナーであるバロネス・フォン・ヘルマンに拾われてからのエステラ、その後のクルエラが作り出すヴィヴィアン・ウエストウッドのような、大胆かつド派手なパンクファッションはどれも目を見張るものがあります。
もちろんバロネスのドレスたちは美しく洗練されたものばかり。
トルソーや布小物などがたくさんあるバロネスのオフィスは、まさしく高級ブランドが生み出される場所そのものです。
ファッション・ショーのシーンも多く、ファッション業界の裏側を覗き込めた気分になります。
そんな本作のファッションデザインを手掛けているのは【眺めのいい部屋】(1987)【マッドマックス 怒りのデス・ロード】(2015)でアカデミー衣装デザイン賞を受賞しているジェニー・ビーヴァン。
さすがです…
かっこいい音楽にも注目!
ファッションやクルエラへの変貌と復讐劇に注目しつつ、BGMや劇中歌にもぜひ耳を傾けてみてください。
音楽も時代に合わせてあるので70~80sが中心として選曲されています。
QUEENやTHE ROLLING STONESなどイギリスロックバンドはもちろん、アメリカロックやジャズなども混じって実におしゃれでそれぞれのシーンに良くあっているものが流れているかと思います。
ナンシー・シナトラの「These Boots Are Made For Walkin’」は、メットガラでド派手に宝石を盗む女性たちを描いた【オーシャンズ8】(2018)の予告で。
ディープ・パープルの「Hush」はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの夢の共演で話題を呼んだ【ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド】(2019)。
他作品でも聴いたことのあるものがいくつもありそうなので、頭の片隅で思い出しながら観るのもオツなものかもしれません。
豪華俳優陣の演技力
主人公であるエステラ/クルエラを演じるエマ・ストーンがすばらしく役にぴったりなのはもちろんですが、「ハリー・ポッター」シリーズのシビル役で知られるエマ・トンプソン(バロネス役)や、スーツの着こなしが最高なバロネスの執事ジョン役のマーク・ストロングなど、豪華俳優陣たちをがっつり観ることができます。
エステラを助けたふたり組、ジャスパー役のジョエル・フライとホーレス役のポール・ウォルター・ハウザーも役にぴったりといった印象。
特にホーレスの後半、クルエラファッションに身を包んでいる姿はとってもキュートですのでお見逃しなく。
本作の監督はクレイグ・ガレスピー。
【アイ、トーニャ/史上最大のスキャンダル】(2018)では、主人公トーニャが如何にして悪女と化していくのかをユーモアと共に描いている作品なので、気になった方はぜひご覧あれ(ちなみにホーレス役のポール・ウォルター・ハウザーも出演しています)。
【クルエラ】評価と感想
Rotten Tomatoes評価
72% 97%
TOMATOMETER AUDIENCE SCORE
わんこ好きな方がいちばん気になることといえば、「本作で犬がひどい目に遭ったり死んでしまったりするシーンがあるのか?」という部分だと思いますが、それは大丈夫なので安心してご覧ください!
ただ、そうなるとどうしてその後彼女はダルメシアンの毛皮にあそこまで執着することになったのか?という疑問は正直残ります。
この後、彼女の身になにか起きるのか…ラスト、子犬を弁護士のロジャーと記者のアニータに贈っていましたが、そのシーンの意味とは果たして?
【101】ではロジャーはゲームデザイナーですし、別次元と捉えるべきか難しいところです。
エンドロールでは保護犬についての啓発文が書かれているほど、わんこに配慮された作品であるかと思います。
また、クルエラがタバコを吸わない理由としては、2007年頃より作品に喫煙描写を入れることが禁止されているそう。
現代にアップデートされているということですね。
©Disney