Netflix映画「オールドガード2」に登場する“ディスコード”は、シリーズに不穏な空気をもたらす謎多きヴィラン。彼女は一体、何者なのか? その正体や目的、原作との違い、そして今後のシリーズへの影響を探っていきます。
作品情報
- 制作年/制作国/時間
- 原題:The Old Guard 2
- 配信:Netflix
- リリース:2025/7/2
- オフィシャルサイト
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2020年に配信されてから5年ぶり2作目が配信された「オールドガード2」。不死の肉体を持つ戦士たちが現代を生き抜くアクション×ドラマ作品。
長い時を超えて生き続けてきた彼らは、歴史の裏で戦い続けてきた、不死の傭兵たち。しかし、ある任務をきっかけにその正体がバレてしまい、彼らの存在を狙う大企業や政府の陰謀に巻き込まれていく――。
時代を越えて戦ってきた者たちの孤独と絆、そして“死ねない”という苦悩を描きながら、激しいアクションとヒューマンドラマが交錯するストーリーが展開します。主演のシャーリーズ・セロンが不死者のリーダーとして、カリスマ性と強さ、そして心の奥に抱える痛みを圧巻の演技で魅せています。
ディスコードについて
ディスコードは何者?

「オールドガード2」で登場する新たな強敵――その名も“ディスコード”。彼女は長きにわたって孤独に生きてきた、不死の戦士たちの中でも“最古”の存在のひとりで、「キル・ビル」で伝説的な剣士を演じたユマ・サーマンが演じています。
シャーリーズ・セロン演じるアンディたちの前に現れた彼女は、敵とも味方ともつかない謎めいた存在。その名の通り“discord(不和)”をもたらし、チーム内のバランスを揺るがすキーパーソンとなっていきます。
ユア・サーマンは、Netflixの公式インタビューでディスコードについて「人類への信頼を失い、長い孤独とフラストレーションを抱えて帰ってきた」と語っています。
彼女とアンディの関係は、“Black Mamba vs Atomic Blonde”とも言われ、ファンの間でも「夢の対決」として注目されています。
これについて監督のヴィクトリア・マホーニーは、「これはただのファンサービスではなく、“互角の敵”が存在することで物語も戦いも深まる」とコメントしています。
ディスコードの目的・行動パターンの考察
ディスコードは“最古の不死者”として長い間歴史の中に姿を消していた人物です。彼女は単なる新キャラクターというより、“不死の起源そのもの”に関わっていた存在として描かれています。
ところが「オールドガード2」で再び姿を現したディスコードは、もはや不死ではなくなっていました。彼女がいつ、どのようにして不死の力を失ったのかは明確に語られていませんが、ディスコード自身はその仕組みを理解している様子があります。
物語の中で明らかになるのは、「最後の不死者に傷つけられると、不死ではなくなる」というルールです。これは、1作目でアンディがナイルに傷つけられたことにより不死性を失ったことからも裏づけられます。ディスコードもまた、かつて“最後の不死者”に傷つけられ、力を失った可能性があるのかもしれません。
ここで浮かび上がるのが、“最古の不死者”と“最後の不死者”という対照的な存在です。ディスコードは、最後の不死者であるナイルを取り込もうとしていました。
彼女は、不死性を取り除く力だけでなく、それを“自分に移す”こともできると理解していたようです。そのため、アンディたち不死者の仲間たちを次々に狙っていったのでしょう。
ただ単に不死を取り戻すだけなら、誰かひとりでも十分だったはずです。にもかかわらず、ディスコードはアンディの仲間全員を捕らえました。その理由は、ナイルに彼らを殺させることで、不死性をディスコード自身に譲らせるため。つまり、彼女の本当の狙いは「自分ひとりだけが再び不死となり、唯一無二の存在になること」だったのだと思います。
この仕組みに気づいたディスコードは、その知識を武器に変えました。そして、何世紀にもわたって生きてきた者でありながら、不死を失った“いま”の自分に耐えられなくなったのでしょう。彼女は、死の恐怖と孤独に押しつぶされ、“永遠の命の絶望”からではなく、“不死という力”への執着と支配欲に駆られて暴走していました。
一方で、アンディたちは不死であることに葛藤を抱えながらも、それを人類や仲間のために使おうとしています。とくにアンディは、不死でなくなったあとも、自分の意思で戦い続ける道を選びました。その姿勢は、ディスコードの「不死でなければ意味がない」「価値がない」といった考え方と鋭く対立しています。
このコントラストは、今作における最大の対立軸のひとつです。激しいアクションの裏側で、“命に執着することの虚しさ”や“永遠に生きることの孤独”という哲学的なテーマが強く描かれていました。
ディスコードは単なる強敵ではなく、“不死であることの代償”を突きつける存在。
「もし不死でなくなったら、あなたはまだ戦い続ける?」
この問いは、アンディ自身の信念や存在意義を大きく揺さぶります。彼女の登場によって、永遠の命に執着することの危うさと、“終わり”を持つことの意味が物語の中心に据えられています。
原作コミックとの違い
「オールドガード」には、原作コミックが存在しますがディスコードというキャラクターは登場しません。彼女は完全な映画オリジナルキャラクターで、原作に忠実な世界観をベースにしつつも、映画独自のテーマ性やスリルを加えるために生み出された存在といえます。

- 第1作:「The Old Guard: Opening Fire」(全5話/2017年8月刊行)
- 第2作:「The Old Guard: Force Multiplied」(全5話/2019〜2020年)
- 第3作:「The Old Guard: Tales Through Time」(アンソロジー全6話/2021年)
映画化は原作者グレッグ・ルッカが脚本を担当し、原作通り忠実に反映させています。また、設定やキャラはほぼそのまま、一部映画オリジナル展開が追加されています。
グレッグ・ルッカは「1作目ではアンディが目的を見つけたが、2作目ではその信念を揺るがす存在が必要だった。それがディスコードなんだ」と語っています。
【オールド・ガード】ネタバレと解説。不死の特殊部隊、彼らは古の時代から戦い続けた。
「オールド・ガード2」©Netflix
紹介している作品は、2025年7月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は各公式ホームページにてご確認ください。