その他の登場人物
スペンサー役/ヘイミッシュ・リンクレイター

- Hamish Linklater
- アメリカ/マサチューセッツ州
- 1976年07月07日生
- 「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」
- 「マネー・ショート華麗なる大逆転」
ハーパー役/フレッド・ヘッキンジャー

- Fred Hechinger
- アメリカ/ニューヨーク州
- 1999年12月02日生
- 「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」
- 「フィアー・ストリートPart2:1978」
ヒル先生役/ジミー・フェイルズ

- Jimmie Fails
- アメリカ/カルフォルニア州
- 1994年11月10日生
- 「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」
- 「私というパズル」
モデルとなった学校とその背景にあったもの

「ニッケル・ボーイズ」は、コルソン・ホワイトヘッド著書の同名小説を映画化したヒューマンドラマ映画です。1960年代のアメリカに実在した少年院を舞台に、黒人の少年が体験した過酷な状況を描き、2020年のピューリッツァー賞を受賞しました。
この物語は、かつてフロリダ州に存在したアーサー・G・ドジアー男子学校(フロリダ男子学校)で起きた実際の出来事を基にしています。それは、虐待や性が絡んだ暴行に拷問、スタッフによる生徒の殺害と死の隠蔽という凄惨なものでした。

ドジアー男子学校は、1900年1月1日から2011年6月30日までフロリダ州マリアナで運営していた学校で、当時はアメリカ最大の少年院でした。111年間の歴史を通して、凄惨な虐待などが行われており、亡くなった生徒は100人以上にのぼることが判明しています。
これは学校側が報告した死亡者数より無記名の墓が多かったことから、州に許可を受けた調査チームが遺骨を発掘して確認しました。これにより、学校側が死亡した生徒の数を少なく報告し、学校で亡くなった多くの生徒を隠蔽しようとしていたことが明らかになりました。
また、亡くなった生徒の多くは黒人で、白人の3倍もの黒人生徒が亡くなっています。この背景には、1876年から1964年まで続いたアメリカ南部諸州の州法ジム・クロウ法が関係していました。
ジム・クロウ法は黒人分離の州法で、バスなどの交通機関から病院や学校等の公共施設が、白人用と黒人用に分離されていたのです。しかも、この頃のアメリカはKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)が、政治家の会員を有するほど強い勢力を持っていたりと、有色人種に対する差別が凄まじい時代でした。
一人称視点で体感する生々しさ

「ニッケル・ボーイズ」の最大のポイントは、エルウッドやターナーの一人称視点で物語を体験できること。映画としては非常に珍しい手法で、エルウッドとターナーの視点を頻繁に切り替えます。
原作小説と同様に、大人になったエルウッド(ダヴィード・ディッグス)が何が起きたのかを振り返るシーンも挿入されています。
ラメル・ロス監督によると、「ニッケル・ボーイズ」のカメラワークは、すべての人間が物語の中心であると同時に、誰もが経験したことのない方法で世界を体験できるようデザインされているそうです。
確かにこれによって没入感が増し、まるで自分が主人公かのような感覚が得られることでしょう。こうした新しい試みにより、「ニッケル・ボーイズ」はただ映画を観るのではなく、”1つの経験”をすると言っても過言ではありません。
「ニッケル・ボーイズ」は、アマゾンプライムビデオにて2025年2月27日より配信されます。
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