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【コクリコ坂から】昭和の東京五輪前年の熱気が感じられる、あの時代へ……

出典:www.amazon.co.jp

【コクリコ坂から】のネタバレと見どころ。1980年頃『なかよし』に連載された同名の少女漫画が原作。かつてその漫画を読んだ宮崎駿が、遊びに来ていた押井守や庵野秀明とどうしたら映画にできるか激論を交わすなど、ずっと映画化を検討していた作品でした。スタジオジブリの作品として世に送り出すため、原作にあった法律に触れるような要素を排し、古い建物の取り壊し阻止運動を中心としたストーリーに改変。登場人物の名前や性別、職業や性格なども変更されシンプルでわかりやすい設定に生まれ変わっています。

© 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・Studio Ghibli・NDHDMT
 公式サイト

製作2011年 日本

監督:宮崎吾朗

脚本・企画宮崎駿・丹羽圭子

配給東宝

声優長澤まさみ、岡田准一、竹下景子、石田ゆり子、柊 瑠美、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之

【コクリコ坂から】は【ゲド戦記】で監督デビューした宮崎吾朗の第2作。父である宮崎駿が脚本を担当しています。

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【コクリコ坂から】あらすじ

横浜。

港の見える丘に佇むコクリコ荘は、女性のための下宿屋。

仕事で不在の母に代わり、高校2年生の松崎海(通称メル)がこのコクリコ荘を切り盛りしています。

メルの毎朝の日課は、庭で信号旗をあげること。

信号旗を上げた後、いつものように朝食の準備をしていると住人が続々と食堂に集まってきました。

朝からシャキっとしている牧村、研修医の北斗は寝不足気味、美大生の広小路は朝が苦手のようです。

家族はメルの祖母を中心に、妹の空、弟の陸、そしてアメリカに行っている母の5人です。

メルが学校に行くと、新聞部発行の「週刊カルチェラタン」にメルのことらしき、旗をあげる少女の詩が載っていました。

お昼時、メルたちが昼食を食べようとしていると、食堂に隣接する文化系部室棟、通称カルチェラタンの取り壊しに抗議する3年生の風間俊が屋根から池に飛び込みます。

翌日、俊の飛び込み写真が売り出され、それを買った妹の空はサインをもらうため、メルにいっしょにカルチェラタンに行ってほしいと頼みます。

「魔窟」と呼ばれるカルチェラタンの3階にある部室にようやくたどり着くと、そこには俊と生徒会長の水沼がいました。

そこでメルは、右手をケガしている俊の代わりにガリ切りを頼まれてしまいます。

ガリ切りとは、ガリ版印刷の工程のひとつで、ロウ紙という原紙に鉄筆で傷をつける作業のこと。

作業を終えたメルが家に帰ると、夕食に使うお肉がありません。

仕方なく急いで買いに出かけると、ちょうど自転車に乗った俊が通りかかりました。

俊はメルを後ろに乗せ、坂道を下って肉屋へ連れていってくれました。

ある日、メルは広小路が描く絵の中に信号旗を掲げる船があるのを見つけます。

広小路によるとその船は、メルがあげる旗に返事をしているのだそうです。

それはメルの位置からは見えない景色でした。

詩の作者が俊だと確信したメルは自ら手伝いを申し出て、俊から自宅でガリ切りできるよう道具を借りることになりました。

折しもカルチェラタンでは取り壊しをめぐる集会の真っ最中。

メルは俊に「お掃除したらどうかしら?」と提案します。

その夜、コクリコ荘はカルチェラタンの話で盛り上がり、卒業生でもある北斗がもうすぐ行われる自分の送別会に俊や水沼を呼ぼうと言い出しました。

送別会当日。

メルがいつもとは違う5つの旗をあげていると、やってきた俊が「H・O・K・U・T、北斗だ」と気づいてくれました。

コクリコ荘の中をメルが案内していると、俊がメルたちの家族写真に目をとめます。

メルは両親のことを話し、さらに引き出しからメルの父がふたりの男性と写っている写真を出して見せました。

しかし、その写真を見た俊の表情が、なぜか曇ってしまいます。

その日、家に帰った俊はアルバムを取り出し、1枚の写真を見つめました。

それは今日見せてもらったメルの父親の写真とまったく同じものだったのです。

「澤村雄一郎」

俊はそうつぶやきました。

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【コクリコ坂から】ネタバレ

多くの女子生徒がカルチエラタンを訪れ、大そうじが始まりました。

メルも空も手伝っていますが、なぜか俊の様子がよそよそしいことがメルは気になっています。

翌朝、俊はタグボートの中で父親に、本当の父について尋ねます。

ポツリポツリ、俊の父は澤村雄一郎が俊を連れてきた時のことを話してくれました。

その頃、コクリコ荘ではメルが 今日引っ越してしまう北斗から「風間くんとうまくいくといいね」と言われうなずいています。

しかし、相変わらず俊がメルを避けていたため、メルは下校時に俊を待ち伏せて問いただしました。

俊は、メルにあの写真を見せて「自分たちが兄妹である」ことを告げると、今まで通りただの友だちだと言って去っていきます。

ショックを受けたメルはその夜、父と母の夢を見ました。

泣きながら目覚めたメルは、気丈に今朝も父の写真に水とひなげしの花を供え、庭で旗をあげます。

学校では、順調にカルチェラタンが変わっていく姿に、水沼が「メルは幸運の女神だ」と発言。

塗装を終え、綺麗に生まれ変わった建物を前に生徒たちが歓声をあげたのもつかの間、理事会によって取り壊しが決まったとの報せが……。

生徒たちの後押しを受け、水沼と俊、そしてメルの3人が東京にいる徳丸理事長のところへ直談判に行くことになりました。

出版社の社長を勤める忙しい徳丸に、予約なしで会いにきた3人でしたが、豪快な人物である徳丸は話を聞いた上で翌日見学に行くと約束してくれたのです。

帰り道、気を利かせた水沼によってふたりきりになったメルと俊。

メルは思い切って俊にこう言います。

「私、風間さんが好き。血がつながっていても、たとえ兄妹でも、ずーっと好き」

俊はメルの手を握り「俺もおまえが好きだ」と告げます。

メルが帰宅すると、アメリカから母の良子が帰ってきていました。

深夜、メルは良子の部屋を訪れ「風間俊」について質問します。

良子はゆっくりと、夫である澤村雄一郎が親友、立花洋の息子を引き取ってきたことを話し始めました。

良子の告白を聞いてもメルはまだ、兄妹ではないということに自信がもてません。

こらえきれず泣き出し、良子はやさしくメルを抱きしめたのです。

翌日、約束通り理事長の徳丸がやってきました。

カルチェラタンでは生徒たちが精一杯歓迎し、徳丸は上機嫌で取り壊しを撤回して新しい建物は別に建てると宣言しました。

そんな中、俊には父から電話がかかってきます。

メルの父である澤村、俊の父親である立花といっしょに写真に写っていたもうひとりの人物、小野寺が横浜に来ている、出航まで時間がないから急いで会いに行け、と俊の父は言います。

実はメルの母、良子がメルたちを安心させるために俊の父に連絡し、真実を知る小野寺に会えるよう手配してもらったのです。

生徒たちが歓喜に包まれる中、俊はメルを連れて港を目指します。

海外航路の貿易船の船長をしている小野寺はふたりを船に招き、亡くなってしまった親友たちの息子と娘に会えたことに感謝し涙ぐみました。

メルと俊は晴れやかな顔で、大きな小野寺の船を見送りました。

朝。

いつものようにメルが庭で信号旗をあげると、まるで応えるかのように汽笛が鳴りメルは笑顔になるのでした。

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【コクリコ坂から】ここがみどころ

主演は日本映画界を牽引するふたり

主人公のメル(松崎海)を演じるのは長澤まさみ。

【キングダム】(2019)や【コンフィデンスマンJP】(2018-2020)シリーズなど、いまや映画にドラマに大活躍の長澤が【コクリコ坂から】で声優に挑戦したのは24歳のころ。

12歳で東宝シンデレラでデビューした長澤は、ティーン向け作品などですでに人気がありましたが、声の演技で主役を務めたこの作品が大人の女優としての第一歩になったのかもしれません。

理事長とのやりとりや告白のシーンは、意志の強そうな、それでいて優しさも感じられる声で説得力があります。

一方、風間俊の声は岡田准一が担当。

ジブリ作品は【ゲド戦記】に続き2本目の出演になります。

岡田もまたこの頃から、いわゆるアイドル的な作品ではなく、ぐっと硬派で重厚な役を演じる俳優へと変わっていきます。

学生運動盛んな1960年代の、芯のしっかりした男子の声にぴったりはまっています。

ほかにも、石田ゆり子や風間俊介、大森南朋など現在テレビドラマで活躍中の俳優たちも出演しいい味を出しています。

徳丸理事長の声を、あの香川照之が普段とは違った感じで演じているのも面白いです。

宮崎駿がつくり出した建物と横浜の町並み

この作品には魅力的なふたつの建物が出てきます。

「コクリコ荘」と「カルチェラタン」

このふたつの建物は、脚本を担当した宮崎駿が考えたそうです。

海を行き来する船を眺めることのできる高台のコクリコ荘は、以前病院として使われた建物です。

ひなげしが咲き乱れる庭のある瀟洒しょうしゃな洋館で、廊下に精巧な欄間らんまがあるなどこだわりが感じられます。

祖母の住む離れは和室になっていて、和洋折衷建築わようせっちゅうけんちくです。

一方のカルチェラタンは、メルや俊たちが通う高校の文化部の部室が集まった伝統ある建物です。

男子生徒しか出入りしないので、いつそうじしたのかわからないくらい汚くて「魔窟まくつ」と呼ばれています。

そうじをしてきれいになったカルチェラタンも素敵ですが、「魔窟」も何が起こるかわからないワクワク感があってジブリ作品らしい舞台装置になっています。

ちなみにこの設定は映画オリジナルの要素で、この建物を蘇らせるという行動が物語のキーになっています。

この映画の舞台は横浜。

残念ながらコクリコ坂は架空の坂ですが、山下公園や桜木町駅など実際の当時の風景がたくさん登場します。

監督の宮崎吾朗はスタジオジブリに入る前は“ランドスケープ・アーキテクト”でした。

環境デザイナーとして公園緑化や都市計画などの仕事をしていたそうです。

海に面した坂のある町、山の緑と経済成長真っ只中の雑多な町の風景の対比が面白く、背景などの設定にも前職の経験が生かされているようです。

知らなかった!フランス語講座

「コクリコ」ってどういう意味?そう思った方も多いでしょう。

「コクリコ」とはフランス語でひなげしのこと。

コクリコ荘の庭にはひなげしの花が咲き、メルは毎朝その花を父の写真の横に飾っています。

その「メル」という呼び名も、彼女の本名「海」を意味するフランス語からきています。

ラ・メール (La Mer)を縮めてメル、素敵なあだ名です。

また、「カルチェ・ラタン」はパリにある学生街のことで、「カルチェ」は地区、「ラタン」はラテン語。

さまざまな国や地域から集まった学生たちが、国際共通語であるラテン語で議論したことからついた名だそうです。

学生運動が盛んな1963年当時。

その先導的な場所だった「カルチェラタン」に続けとばかり、高校生たちは自分たちの居場所をそう呼ぶことにしたのでしょう。

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【コクリコ坂から】まとめ

1963年の日本といえば東京オリンピックの前の年。

まだ整備されていない道路は渋滞し、人も車も自転車もごちゃごちゃと行きかっています。

海沿いの工場からは煙がもくもくと立ち上り、経済の成長とともに公害問題が発生したり、と良いことも悪い事も入り混じった混沌とした時代でした。

それでも人々はネガティブなことを乗り越えて前へ、上へと進むエネルギーに満ちていていました。

そんな、上を向いて歩いている人たちの姿をみて、過ぎていった時代を懐かしんでみてください。

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