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【ジョーカー】あらすじと感想。社会を揺るがすピエロとは。

ジョーカー
(C)2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics

映画【ジョーカー】のネタバレと感想。

第92回アカデミー賞、主演男優賞を見事受賞したホアキン・フェニックス。

彼が演じたのは賛否両論が多く挙げられつつも社会的に注目を浴びた【ジョーカー】の主役、のちにジョーカーと変貌を遂げてしまうアーサー。

彼のあまりにも入り込んだ演技・足掻いても足掻いてもどんどん悪い方向にしか進まない彼の生活を観続けることで病みそうになった方も多いのでは……?

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【ジョーカー】あらすじ

1981年、ゴッサム・シティ。

財政が不安定なことから街には失業者や犯罪者が多く存在し、貧富の差が大きくなるばかりで治安が良くない日々が続いていました。

そんな街でアーサー・フレックは派遣ピエロとして働き、母ペニーと貧しい暮らしをしていました。

彼はいつか、人気番組のホストを務めるくらいのコメディアンになるのだと夢見ていたのです。

しかし、「突然笑い出す」という発作(トゥレット障害)を抱える彼はなかなか周囲に溶け込めず、孤独な日々を送る毎日。

ある日、仕事中に少年たちにいたずら・暴行されてしまい、それを見た同僚のランドルから護身用にと拳銃を無理やり渡されてしまいます。

アーサーは、その後から拳銃を持ち歩いていたものの、不幸にも小児病院の慰問という仕事中に落としてしまい、派遣ピエロ会社をクビになってしまったのです。

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【ジョーカー】の見どころ・ネタバレ

世界が認める衝撃作品

第79回ベネチア国際映画祭、コンペティション部門で金獅子賞を受賞、本国アメリカでは警察が公開時に警戒態勢を取ったり仮装を禁止する映画館がでてきたりという、日本公開前から話題が多かった【ジョーカー】。

本作で描く時代は一昔前だというのに、今も起こり続けている社会問題を取り上げているところ、ジョーカーことアーサーの負の連鎖だらけの人生にあまりに釘付けになりつつ、徐々に彼の考えに共感できてしまうのがこの作品の肝でありぞっとする部分。

【ダークナイト ライジング】公開時に銃乱射事件が起こったこともあり、本編と似たような行動をする人が現れてもおかしくないということから警戒態勢を出すのも納得です。

「バットマン」の悪役であるはずのジョーカー「だけ」に焦点を当てて作られたため、少年時代のブルースは出てくるもののバットマン自体は出てきません。

ラストを含め、アーサーはジョーカーになることで救われたのか、もしバットマンが現れていたならばはたして彼は違う行動をしていたのか……?

全編通して、人それぞれ考察が大きく異る作品ではないでしょうか。

オマージュを知ることでもっとおもしろくなる

【ジョーカー】は、過去作品や過去「バットマン」シリーズへのオマージュが多く見受けられており、それを知ることで本作がもっとおもしろくなると感じます。

例えば、アーサーが手で銃のようなポーズを取る、アップの際のカメラワークなどはマーティン・スコセッシ監督【タクシードライバー】(1976)、アーサーが憧れていた「マレー・フランクリン・ショー」のホストを務めるマレーを演じているのはロバート・デ・ニーロ。

同じくスコセッシ監督【キング・オブ・コメディ】(1982)で、彼はアーサーと同じくコメディアンを夢見る青年を演じています。

予告編でもBGMとして使用され、「壊れてしまいそうな時も笑って」といった歌詞がある「スマイル」はチャールズ・チャップリンの名作【モダンタイムス】(1936)より。

他にも「これは……」と気づくシーンがいくつかあるかと思いますので、注意して観てみるのもいいかもしれません。

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「ジョーカー」にまつわる作品あれこれ

バットマンの宿敵・ジョーカー。かれこれ多くの作品が世に出ていますが、最近の映像作品だとクリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト・トリロジー」2作目、【ダークナイト】(2008)ではないでしょうか?

そのときジョーカーを演じていたのは若くして亡くなり、圧倒的なジョーカーの演技に「伝説」といわれるヒース・レジャー。彼は1ヶ月間ホテルに閉じこもってジョーカーの役作りをしたというのだから驚きです。

TVシリーズのシーザー・ロメロ、【バットマン】(1989)のジャック・ニコルソン、そして【ダークナイト】のヒース・レジャー。

彼らを合わせて「3人のジョーカー」と呼ぶので、本作を観てジョーカーに興味を持った方はぜひ過去作品もご覧になってはいかがでしょうか?

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【ジョーカー】まとめ

アーサーが住むアパートへの道のりの中にある、とてつもなく長い階段のシーンと、ジョーカーがパトカーの上に乗って手を広げるシーンがとても印象的でした。

階段のシーンは、上がっていくときはくたびれたアーサー、降りてくるときは失うものがなくなったジョーカーを見事に表しているのではないでしょうか。

貧富の差に不満を感じる民衆がアーサーが行ったことに対して共感、ピエロの仮面をして行動を起こし(暴動)、その第1人者であるジョーカーを崇めているようなシーンにくらくらしてしまします。

知らないうちに民衆を扇動していたらしいこと、認められたのだと気づき自らの血で口元に笑みを描くアーサーの気持ちとは一体……。

ただ人を笑わせたい、という優しい青年アーサーははじめから悪人だったわけではありません。

どうしてこうなってしまったのか、何が彼を悪に導いてしまったのか。

わたしたちはよく考えるべきではないでしょうか?

とても気軽におすすめできる作品ではありませんが、名作であると思います。

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