【ひだまりが聴こえる】あらすじネタバレ感想。
本作は、難聴を患い心を閉ざした青年の切ない恋心が描かれた映画です。
原作は文乃ゆきの同名漫画で、BLを感じさせない柔らかな作風が特徴。
この記事では、あらすじとフルで見られる動画配信サイトをお伝えします。
【ひだまりが聴こえる】のあらすじ
佐山太一(小野寺 晃良)は高校卒業後は就職する予定でしたが、担任に言われるがまま大学へと進学しました。
しかしいざ大学に通ったものの生活が苦しく、バイトに明け暮れる日々。
中華屋のバイトをクビになった太一がひさびさに大学へ行くと、友人の横山と遭遇します。
横山に昼食を食べようと誘われますが、残金がない太一は断り人通りの少ない場所へ。
するとそこには、木に寄りかかって寂しげに座る航平(多和田秀弥)の姿がありました。
航平とは面識のない太一でしたが、持ち前の人懐っこさで航平に声をかけ距離を縮めます。
空腹な太一は、ちょうど弁当を食べようとしている航平を見て「うまそう!!」と一言。
すると航平は無表情で弁当を差しだし、太一の前から去ってしまうのです。
名前も聞かずに弁当をもらった太一は、その後 横山に航平の特徴を伝え、思い当たる人物がいないかどうか聞いてみることに。
すると横山は「それはきっと杉原航平だ」と言い、彼が難聴であることも教えてくれました。
さらに掲示板を見るように言われそちらに目をやると、1枚の求人が貼られていたのです。
『ノートテイカー募集』
ノートテイカーとは、聴覚に障害があり講義内容を理解しづらい人のために、講義内容をノートにまとめて対象生徒にノートを渡す人のこと。
募集を見た太一は、弁当のお礼に航平のノートテイカーになることを決めるのでした。
【ひだまりが聴こえる】のネタバレ
大きくなっていく太一の存在
航平は中学生のころに突発性難聴を患い、それからというもの周囲の航平を見る目が変わっていきました。
“かわいそうな人”として扱われたり、妙に特別扱いをされたり面倒くさく思われたり、あるいは単純に悪口を言われることも。
そんな日々の中、次第に航平は心を閉ざすようになっていきました。
ところが、大学で新しく出会った太一は航平を色眼鏡で見ることはせず、1人の人間としてフラットに接してくれます。
同情や哀れみからではなく、フラットな立場で手を差し伸べてくれる。
そんな太一の距離感は航平にとって心地よく、また、太一の言葉ひとつひとつも航平の胸にダイレクトに刺さります。
「お前っていつもそうなの?聴こえないなら何度も聞き返せよ、何でお前のほうが遠慮してんの。聴こえないのはお前のせいじゃないだろ?」
お前のせいじゃないと言われた航平は、これまでせき止めていた感情と共に涙があふれだすのです。
航平のキモチ
太一は明るく素直で、何より正義感が強い青年です。
そんな太一と一緒に過ごすうちに、自然と笑顔が増えていく航平。
毎日の弁当タイムも楽しみのひとつとなり、いつしか太一の喜ぶ顔を心から願うようになります。
太一を喜ばせたいという思いから、彼の大好物のハンバーグを自作して弁当に入れることもありました。
そんなふうに、太一との穏やかな日々を送る航平でしたが、ある時から頻繁に耳鳴りがするようになります。
これまでよく聞こえていた太一の声も聞き取りにくくなり、不安になった航平は病院へ行きました。
すると、今までよりも聴力が落ちていると医師に言われてしまいます。
聴力を完全に失うかもしれない――。
そう考えたとき、頭に浮かんだのは太一の顔と声でした。
航平は太一を呼び出し「急に会いたくなって」と告げます。
太一「なんだ、そんなに俺のこと好きか(笑)」
航平「うん」
ラストシーンはひだまりで
いろいろと思いつめた航平は、太一にメールで別れを告げます。
一方的に縁を切られた太一は、わけが分からず戸惑いながらもメールのことを問い詰めました。
「何でお前はいつも自分の気持ちを言わないんだよ、言えよ」と。
「言っても分からないから言いたくない」
「全部は分からなくても、少しは分かりたいって思うんだよ。お前の涙を見たあの日から」
そう言って涙を流す太一。
航平は太一に顔をそっと近づけると、優しく口づけをしました。
数日後。
航平の前に現れた太一は「飯のこと忘れるぐらい考えたけど、どれだけ考えてもお前をキライになる理由なんて見つからなかった」と伝えます。
そして、またノートテイクをしたいと笑顔で航平に告げるのでした。
初めて出会った木の下の、ひだまりの中で。
【ひだまりが聴こえる】感想
原作のイメージぴったりで歓喜!
主演の2人が原作のイメージぴったりで、特に太一は漫画から飛び出てきたのかと思えるぐらい太一そのものでした。
ビジュアル面が素晴らしいのは勿論のこと、素直で邪気がなく正義感が強いといった太一の人間性もそのまま具現化されています。
航平を見上げるときの無邪気な眼差しや、美味しそうにお弁当を食べる姿も太一そのもの。
また、漫画上では表現しづらい“声の聞き取りにくさ”を、映画では航平の視点で分かりやすく描かれている点も良かったです。
ただストーリーとしては、少し駆け足に感じる部分がありました。
太一と航平の関係性というのは、原作では何十話もかけて描かれたものなので、それを70分でまとめるとなると、どうしても急ぎ足になってしまうのでしょう。
それゆえに感情移入ができないシーンもいくつかありましたが、それでも太一と航平の温かい空気感はしっかりと伝わってきました。
毎日のお弁当が美味しそう
ノートテイクの報酬として、航平の母が作ったお弁当がとても美味しそうでした。
航平の母は料理教室を開いているだけあり、栄養バランスはもちろんのこと色合いもキレイで、見ている者の食欲をかきたてます。
弁当の中身も凝りすぎておらず、から揚げや卵焼きやハンバーグといった定番で固められているのも高ポイント。
劇中のお弁当タイムはいつも、航平と太一に温かな空気をもたらせてくれます。
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