【ボスベイビー】シリーズでも知られる、最強タッグ・ユニバーサル × ドリームワークスの最新アニメーション映画。さまざまなアニメや映画からインスピレーションを受けて制作されたという本作にはオマージュがたくさんありつつもオリジナリティ溢れるストーリーで子どもはもちろん、むしろ大人に観ていただきたい作品です!
【バッドガイズ】あらすじ
アメリカ・ロサンゼルス。怪盗集団「バッドガイズ」はいつものメンツで警察たちを煽りながら見事に銀行強盗を成功させていました。
今日はリーダーのミスター・ウルフの親友であり、メンバーの一員であるスネークの誕生日。
タランチュラ、シャーク、ピラニアと他のメンバーも交えてアジトに戻ったあとにパーティを開催し始めるも、誕生日がきらいだというスネークはあまり乗り気ではありませんでした。
わいわいしながら今日の仕事についてのニュースをみようとテレビをつけると、街の新知事であるキツネのダイアンが「盗み方が時代遅れ」とコメントしているところでした。
それに怒りを露わにするメンバーでしたが、ミスター・ウルフは今までの怪盗が盗めなかったお宝、善人に贈られる「良き隣人賞」を受賞した者に贈られる「黄金のイルカ」を盗んで驚かせてやろうと計画をし始めます。
今年の受賞者はモルモットのマーマレード教授でした。
計画当日、着実に各自の仕事をこなしていくメンバーの中、ミスター・ウルフは自分の出番までパーティー招待客から金目の物を盗んでいました。
次は、と階段を降りるおばあさんのバッグに手をかけたところ……!?
有名タイトルのインスピレーション盛りだくさんの痛快アニメ映画!
ユニバーサルとのコラボ作品は、イルミネーションの【怪盗グルー】シリーズ、本作と同様にドリームワークスの【ボス・ベイビー】シリーズを見ても裏社会を生きていたり秘密裏に動いていたりとしているキャラクターが多いですが、新たに華麗に生きる愛すべき怪盗キャラが登場しました!
準備に2~3年、制作に3年と約6年、400名近くのスタッフたちから作られた本作はまさしくスピード感ありコメディあり、友情ありの盛りだくさんストーリーです。
監督曰く、アニメーションとしては【スパイダーマン:スパイダーバース】(2019)から着想を得て制作されており、キャラクターとテーマに関しては【オーシャンズ】シリーズや【パルプ・フィクション】(1994)、【ルパン三世】シリーズや【BEASTARS(ビースターズ)】シリーズ、宮崎駿作品の【ルパン三世 カリオストロの城】(1979)、【名探偵ホームズ】シリーズ、他にもガイ・リッチー監督作品や鳥山明作品などさまざまなクライム映画やアニメシリーズからインスピレーションを受けているそう。
たしかに観ているとオマージュだと思われるシーンが多くあり(ジョージ・クルーニーに関しては名前がセリフの中に出てくるくらいです)、元ネタがわかる方なら思わずニヤニヤしてしまうこと間違いなし!です。
外見で判断されたって「自分を大切」にすればいい
見た目の時点で怖がられ、嫌われ者であるが故に「ワル」にならざるを得なかった、というバックグラウンドを思わせるバッドガイズのメンバー。
しかしそれは知事のダイアンも同じく伝説の怪盗、クリムゾン・パウだったことが中盤で判明。
鏡に映った自分がずるがしこいキツネに見えた彼女は、自分の思う正しいことを胸を張って行うべく、裏稼業から足を洗い努力して堂々と表社会のトップになったのでした。
本当はさみしがり屋だったり気弱だったりする彼らが集まった結果、「バッドガイズ」が生まれてようやく自分の価値を見いだせたのかもしれない、と思うと切ない気持ちでいっぱいになってしまいます……。
犯罪者はもういやだ、と思いを吐き出したミスター・ウルフに対して一度は絶交を突きつけたスネークも本当は本人からいちばんに悩みを相談してほしかったのでしょう。
終盤で身を挺してスネークを助けに来たミスター・ウルフにフリーフォール状態(!)の中、無事仲直りをしていました。
話し合いの大切さとバディ愛を同時に感じられる名シーンかと思います。
ちなみに本作は、アメリカ児童文学の第一人者とも呼べるアーロン・ブレイビー氏のベストセラーである【バッドガイズ】シリーズが原作となります。
原作と映画版では設定が異なるところもあるので気になる方は原作もチェック!
お子さんがいらっしゃる方は一緒に読んでみるのもいいかもしれません。
元ネタと知れば知るほど面白い
バッドガイズの声を務めるのは【ジョジョ・ラビット】(2020)などのサム・ロックウェル、【シャン・チー/テン・リングスの伝説】(2021)などのオークワフィナなど、豪華俳優陣で構成されています。
ミスター・ウルフとダイアンのダンスシーンでは、ウルフの動きにサムと長年組んでいる振付師、スーザン・マイズナーが本作の振付担当だったことから、ダンスにサム・ロックウェルがよくする動きを取り入れるなど作品からのオマージュはもちろん、「中の人」のちょっとしたスパイスも取り入れているそう。
元ネタを知れば知るほどおもしろい作品、それが本作【バッドガイズ】かと思います。
さて、【怪盗グルー】シリーズのグルーもそうですが、自分にとってとても大切なもの・人に出会ったことで改心する描き方が本当にうまいなぁとしみじみと感じる作品でした。
バッドガイズのメンバーが行ってきたことは決して良いことではないため、しっかりと刑務所で刑期を過ごしていることから反省したのちに、今後こそ「グッドガイズ」に更生して新しい人生を歩もうとする姿がかっこいです。
これからはきっとスネークも自分の誕生日が今までより楽しめることでしょう。
彼らの今後の活躍に期待したいところです!