映画『グリーンマイル』は、1932年の大恐慌時代の刑務所を舞台に描いた感動作。スティーヴン・キングの原作小説『The Green Mile』を、『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督が映像化しました。
刑の執行が決まった囚人が歩くグリーンマイル。しかしその先に、彼らの未来はありませんでした。
映画『グリーンマイル』あらすじ
1932年のアメリカ。
主人公ポール(トム・ハンクス)は、刑務所の死刑囚監房で看守を務めていました。
ある日、双子の少女を惨殺した罪で黒人のジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)という男が収監されてきます。
ジョン・コーフィは護送車の車体が下がるほどの大男。
しかし、その風貌からは考えられないほど純粋で優しく、繊細な人物でした。
ジョンが収監されてきた同時期に、知事の妻の甥にあたるパーシー(ダグ・ハッチソン)という男も、ポールのいる刑務所の看守としてやってきます。
パーシーは囚人を蔑み、ポールたちをも見下すような傲慢な態度で囚人はおろか、他の看守たちからも嫌われていました。
死刑囚のデル(マイケル・ジェッター)は、所内に現れたネズミをMr.ジングルスと名付けペットとして可愛がっており、看守たちも彼を温かい目で見守っていました。
しかしデルの死刑執行間近に、パーシーがMr.ジングルスを踏み殺してしまったのです。
デルが激怒したその時、ジョンが「まだ間に合う」とMr.ジングルスの亡骸を両手に乗せました。
そこにいた全員が息をのんで見守っていると、なんとジョンの手のひらが光に包まれてMr.ジングルスが息を吹き返したのです。
奇跡を見たポールの中に、ジョンが本当の少女を惨殺したのかという疑問が沸いてきました。
そして、デルの死刑執行当日。ポールはパーシーに転属願いを出すと言う条件で、デルの死刑執行を任せることにしました。
デルの電気椅子での死刑が行われましたが、彼の遺体は黒焦げになってしまいます。
それもそのはず、パーシーは、頭に乗せるスポンジを濡らすふりをしただけで、実際は濡らしていなかったのです。
スポンジが濡れていないことで体内に電流が上手く流れずに、デルは焼け焦げてしまいました。
怒りを抑えられなかったポールたち……。
そんな中、今度はウィリアム・“ワイルド・ビル”・ウォートン(サム・ロックウェル)という死刑囚がやってきたのです。
映画『グリーンマイル』の注目点
ジョン・コーフィとは?
ジョン・コーフィは、ポールが患っていた尿路感染を見抜き治療しました。医師という立場の治療ではなく、彼が持つ奇跡の力によるもの。
患者の口から、吸い込んだ悪い物を自分の体内に取り込んで吐き出すと言うもの。
Mr.ジングルスの場合も同じ。さらに、ジョンの奇跡の力を信じたポールは、仲間に頼んでジョンを刑務所から連れ出して、重い病気を患っていた刑務所長の妻を治してもらいました。
またジョンは、触れた人物のことが見えるようで、ワイルド・ビルに触れた瞬間に彼が犯した罪に苦悩します。
なぜなら、自分が収監された罪はワイルド・ビルが犯した罪だったから。
ジョンは、ワイルド・ビルに殺された双子を助けようとしていたのですが、集まってきた人々にはジョンが双子を殺したとしか見えていなかったのです。
黒人という人種差別や見た目で犯罪者に汚名を着せられてしまったジョン・コーフィ。
本当の殺人鬼が自分の目の前にいると知ったジョンは、所長の妻の邪気を吸収して刑務所まで持ちこたえ、まずはパーシーに掴みかかり邪気を飲み込ませ、気がふれたパーシーはワイルド・ビルの独房の前に立つと彼を撃ち殺してしまいました。
その後、パーシーは精神を崩壊してしまったのです。
ジョン・コーフィはなぜ自ら死を選んだのか?
ジョンは、人の内面も見える力がありました。
その人に触れただけで、その人間がどんな人物なのか、何の罪を犯したのかも見えてしまいます。
その残虐さに疲れ、生きることに疲れてしまったのです。もう見たくない……。
そんな悲痛な思いから、ジョンは自ら死を選んでしまいました。
ポールは、ジョンの無実を晴らそうと尽力しましたが、一度降りた判決を覆すことは出来ず、更にジョン自身が生きることを拒んでいたのです。
刑の執行直前にジョンは、自分の持っている力をポールに継承させました。
それが原因で、ポールは大変長生きすることになり、仲間や家族の死を見届け続けることになったのです。
作品冒頭では、施設で健康に暮らしている108歳のポールが、ジョンに命を与えられたネズミのMr.ジングルスを離れの小屋で飼っている様子が描かれていました。
Mr.ジングルスもまた、ジョンから”命”を与えられたネズミです。
約3年と言われているネズミの寿命。彼はそれを軽々と超えた年月を生きていました。
ポールは、ジョンの無実を知りながら助けることが出来ないまま死なせてしまったことによる、神からの”罰”を受け止め、それからも彼は大切な人の死を見届けたのです。
コーンブレッド
コーンブレッドのレシピ
ポールの尿路感染を治してくれたお礼にと、ポールの妻がコーンブレッドを焼いて差し入れしてくれました。
ジョンは、コーンブレッドを独り占めせずに、ワイルド・ビル以外の囚人たちにも分けてあげます。
そして、死刑執行の前夜に”最期の晩餐”としてジョンが選んだのは、「ボスの奥さんが焼いたコーンブレッド」でした。
ユーザーの反応からも、『グリーンマイル』=コーンブレッドと、深く印象に残るシーンのひとつであることは間違いないでしょう。
映画『グリーンマイル』を見た感想
『グリーンマイル』は、とにかく泣ける映画として、幅広く知られている作品のひとつです。
ジョン・コーフィの人柄から、犯行を不審に思ったポールが調べた結果、彼は少女を殺害していませんでした。
無罪と知りながらも助けられなかったポールの心の痛み、ジョンから受け継がれた奇跡の力により不死になってしまったことを神の罰だと受け止めて生きていかなければならない切なさは計り知れません。
また、死刑執行のシーンはリアルで衝撃的でした。ジョンの死刑執行直前に、被害者の両親がジョンに投げつけた言葉。
ジョンの表情からは、この世界にある全ての罪を受け入れているようにも見えました。
ストーリーはとても重いものの、普段は毛嫌いされているネズミがサーカスをしたり人になついたりと、Mr.ジングルスの描写はホッと息をつけるシーンでもあります。
ジョン・コーフィ役を演じたマイケル・クラーク・ダンカンは、2000年に本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされましたが、2012年7月心筋梗塞による発作を起こし入院先にて死去しました。
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