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「グレート・スクープ」(Netflix)解説。世界を震撼させた事件とは?

グレート・スクープ,ネタバレ解説
作品情報

「グレート・スクープ」(Netflix)ネタバレと解説。イギリスのTV局BBCの報道番組「ニュースナイト」が、イギリス王室のヨーク公アンドリュー王子へ行なったインタビューの裏側を描いた映画。アンドリュー王子に浮上したエプスタインにまつわるスキャンダルや、エプスタイン事件についても詳しく解説していきます。

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あらすじ

©︎Netflix

イギリスのTV局BBCの報道番組「ニュースナイト」の制作に携わるサム・マカリスター(ビリー・パイパー)は、番組で取り扱うネタ探しとキャストのブッキングを行っています。

そんなある日、サムは話題の人であるヨーク公アンドリュー王子(ルーファス・シーウェル)へのインタビューを行うため、彼の秘書にコンタクトを取ります。

アンドリュー王子は、性的人身取引で逮捕されたアメリカの富豪ジェプリー・エプスタインとの交友関係が明るみになり、世間の注目の的となっていたのです。

しかもサムがインタビューの交渉をしている間にエプスタインは逮捕され、アンドリュー王子も少女に性行為を行ったとの話まで浮上しました。

このまま沈黙を貫くことは不利になると考えたアンドリュー陣営はサムの提案を受け入れ、「ニュースナイト」のインタビューを受けることを決めました。

インタビューは王室で行われ、「ニュースナイト」の司会者エミリー・メイトリス(ジリアン・アンダーソン)がアンドリュー王子に質問を投げかけます。

王室主導のインタビューには、質問の内容も事前に王室がチェックしたものだけという厳しい規制がありました。それでもエミリーは公平を期した目線でエプスタイン事件に切り込み、アンドリュー王子の口から真実を引き出しました。

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アンドリュー王子のスキャンダル

©︎Netflix

エリザベス2世女王の次男アンドリュー王子のスキャンダルは、アメリカの富豪ジェフリー・エプスタインとの交友関係に起因するものでした。エプスタインは2006年に児童売春で有罪、2019年に性的虐待の疑いで逮捕されています。

その際の裁判資料(通称:エプスタイン文書)にアンドリュー王子やクリントン元米大統領の名前が含まれていたうえ、被害者の少女の1人がアンドリュー王子と複数回に渡り関係を持ったことを明かしていました。

しかもアンドリュー王子はエプスタインの彼女と友人だったこともあり、一気に世間の注目はアンドリュー王子に向けられました。

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エプスタイン事件とは

ジェフリー・エプスタインについて

ジェフリー・エプスタインは、アメリカ出身の実業家、投資家です。ユダヤ人の両親の元に生まれ、親族の一部をホロコーストで失っています。

16歳の時に2学年飛び級して高校を卒業し、ニューヨーク大学クーラント数理科学研究所に入学するも3年生で中退しました。その後は、富裕層の子弟たちを集めたニューヨークの名門校ドルトン・スクールで数学と物理を教えていました。

その際の教え子に大手投資銀行ベアー・スターンズの会長の息子がおり、1976年にベアー・スターンズに入社すると、わずか4年でパートナーの地位を得ます。

1982年には資産管理会社J・エプスタイン・アンド・カンパニーを設立し、2000年代初頭までには富豪として知られるようになりました。

しかしこの間、エプスタインがどのようにして莫大な富を手にしたのかは不明な点が残っています。FX関連企業を始め、多くの会社や団体を運営したいたにもかかわらず、実際にアメリカの金融界でエプスタインと仕事をした者はほとんどいませんでした。

それでも極めて裕福な生活を送っていたのは確かで、エプスタイン事件により明らかになった資産は想像を超えるものでした。

6億ドル超の不動産やプライベートジェット機、ニューヨークの超高級邸宅とカリブ海の無人島、約3000ヘクタール超のニューメキシコ州の牧場などが含まれていたのです。

エプスタイン事件

最初の逮捕

エプスタインは2019年に拘置所で亡くなるまでに、2件の刑事事件と1件の民事事件で罪に問われています。

エプスタインが1番最初に逮捕されたのは、フロリダ州パームビーチの邸宅で少女らに金を払い性的な行為をしたことから2006年に起訴された刑事事件で、2008年に禁錮18ヶ月の判決が下されます。

この際、エプスタインは検事と司法取引をしており、児童買春1件の罪を認めて性犯罪者として登録する見返りに減刑、連邦レベルでの起訴を免れる司法取引が行われました。

そのためエプスタインは日中は普通に外で働き、夜に刑務所に戻ることが認められ、13ヶ月で出所しました。

これらの児童売春は、エプスタインと同居していたイギリスのメディア王の息子ギレーヌ・マクスウェルが仲介していたと関係者が主張しています。

また、アメリカ領ヴァージン諸島によって提起された控訴によれば、エプスタインは11歳の少女を人身売買していことも判明しています。

民事事件

2016年4月、カルフォルニア州の女性が13歳の頃にエプスタインから性的暴行を受けたとして連邦裁判所に告訴しました。

この訴状は、当時アメリカ大統領選に立候補していたドナルド・トランプとエプスタインの関係にも触れていたため、大きな注目を集めました。

ところが、2016年5月に手続き上の不備などがあったことを理由に判事によって棄却されています。

2度目の刑事事件

2019年7月6日、パリから自家用機で帰国したエプスタインは、未成年の少女数十人に対する性的虐待の容疑で逮捕されます。

警察とFBIはエプスタインが所有するハーバート・N・ストラウス・ハウスの家宅捜査を行い、そこで性的人身売買の証拠と未成年を含む女性の写真が何千枚も見つかりました。

施錠された金庫からは被害者の名前を記したCDや7万ドルの現金、48個のダイヤモンドと偽造パスポートなども発見されました。

それでもエプスタインは一貫して無罪を主張し、7月23日に拘置所の監房内で首を負傷して意識不明の状態で見つかります。

その後、エプスタインは病院に運ばれるも死亡が確認されました。このエプスタインの死は謎が多く、いまだに真相はわかっていません。

警察は首吊り自殺と発表していますが、エプスタインの舌骨が折れていたことには触れられず、他殺の可能性も捨てきれないからです。

実際、アメリカ国内で行われた世論調査では、エプスタインが本当に自殺したと考えるアメリカ人の成人は29%のみで、42%はエプスタインと親交のある著名人に関して彼が証言するのを防ぐために暗殺されたと考えていることがわかっています。

エプスタインは検死において舌骨を含む複数の骨が折れていることが確認されており、通常の首吊り自殺にて舌骨が折れることは極めて稀

エプスタイン文書

エプスタイン文書とは、エプスタイン事件に関する裁判資料のことです。エプスタイン文書はまだ全ては公開されておらず、2024年1月5日にも新たな文書が公開され、今後も新たな文書の公開が見込まれています。

現時点で公開されているエプスタイン文書には合計200人近い人物の氏名が含まれているものとみられ、その中にはエプスタインを告発した人物や有力な政治家から、レオナルド・ディカプリオとブルース・ウィリスなどのハリウッド俳優の名前をありました。

ただ、この文書はエプスタインの行動や言動についての詳細が記されたものであり、ここに名前が出たからといって不正行為や交友関係があったと裏付けられるわけではありません。

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アンドリュー王子とエプスタインの関係

「グレート・スクープ」の作中では、アンドリュー王子はエプスタインとはそこまで親しい仲ではなかったと話していました。実際のインタビューでもアンドリュー王子は同じように話しており、事実と一致しています。

ところが、2024年1月に新たなエプスタイン文書が公開されたことにより、アンドリュー王子もエプスタインの被害者の少女に対して性的な行為を強要していたとの証言が明らかになりました。

中には、アンドリュー王子が少女に多額の金を支払っていたという証言もありました。

これにはさすがにイギリス国民も痺れを切らし、アンドリュー王子も捜査を受けるべきだとの声が強まっていますが、イギリス警察はその予定はないと答えました。なお、王室はこの件に関して沈黙を貫いています。

アンドリュー王子は「ニュースナイト」の放送後には公務から退き、称号を始めとする王室メンバーとしての公的地位の全てを失いました。

とはいえ完全に公務から退いたわけではないようで、エリザベス2世女王が崩御した際には棺の警備に立ったり、チャールズ国王の戴冠式に出席するなどしています。

本ページの情報は2024年4月時点のものです。最新の配信状況は[Netflix]  にてご確認ください。
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