【TENET】あらすじと解説。時間を遡れ。

【TENET】あらすじと解説。世界で驚異的な観客動員数を記録している、クリストファー・ノーラン監督最新作の【TENET】。今度はどんな世界をわたしたちに魅せてくれるのでしょうか?

当サイトでご紹介しているものは2020年9月現在のものになります。状況により配信されていない場合がございますのでご了承ください。

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【TENET】あらすじ

冒頭、舞台はウクライナのキエフにあるオペラハウス。

クラシックコンサート開始直後、突如テロ事件が勃発!

演奏者や観客たちが危険にさらされる中、すぐさま特殊部隊が到着しました。

「名もなき男」とその仲間たちは、先に潜入していたCIAスパイを助けるために特殊部隊に紛れ込み救出するも、脱出の際に捕まってしまいます。

拷問を受ける中、秘密を話す前になんとか自決用の毒薬を飲み込むものの、目を覚ますと船に乗っていました。

船内にてフェイが言うには、毒薬は睡眠薬であったこと、オペラハウスでの出来事はとある難関ミッションのテストだったとのこと。

海上風力発電機へと降ろされた「名もなき男」が導かれるままにたどり着いたとある研究室にて、弾丸が戻る銃を見せられて……。

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【TENET】の見どころ・ネタバレ

ノーラン史上最難関?すべて詰め込んだ作品!

ノーラン作品といえば、特に「時間」がキーワードになっている作品が大変多い監督としても有名です。

「今までの作品要素全部つぎ込みました!」と言わんばかりの作品が本作【TENET】。

まずは過去作品のポイントについて、リバイバル上映された作品を中心に書いていきます。

ノーラン監督の出世作と言われる【メメント】(2000)は、時系列を逆さにして描くという斬新なストーリー構成が特徴で、10分しか記憶が保てないというレナードが主人公です。

渡辺謙が出演・日本でも撮影があったことからも馴染み深い【インセプション】(2010)は、舞台が「夢の中」。

ミッションを成功させるため、現実に戻るために「時間」を合わせる、観客に委ねられるラストとなっています。

究極の宇宙体験ができる【インターステラー】(2014)では、舞台は「宇宙」。

本作でも「時間」はもちろんのこと重力・物理学が重要なポイントとなっており、家族に対しての愛も描かれていました。

【TENET】では「時間の逆行」が本編の重要ポイント

モノが逆向きに動くという物理学的要素満載の世界観、相棒ニールの存在、愛、観客自身が観た後に考察しはじめてしまうストーリーなどなど、共通点が多く存在するかと思います。

「時間の逆行」と「エントロピー」

先に述べたように本作のポイントは「時間の逆行」。

つまるところタイムトラベルなのか?というとそういうわけではありません。

一瞬で過去に移動できるタイムトラベルとは異なり「時間の逆行」は、「同じ時間をかけて遡る」ことを指します。

つまり1日戻るなら1日かけて戻るということ。

若いまま過去に戻って人生楽しもう!と思っても20年前に戻れば、20年分歳を取った状態になるということです。

さて、逆行した際にもうひとつ大切なポイントが「エントロピー(乱雑さ)」というもの。

例えばカップに入ったお茶が倒れてこぼれた、というのは「エントロピーが大きい(乱雑さの度合いが大きい)」と表現できて、つまり「確率が高い」という意味になるそう。

確かに、カップが倒れたらお茶はこぼれる確率が高いですよね。

この当たり前の現象を踏まえた上で「時間が逆行している」シーンを観てみると、何故弾丸が銃の中に戻ったり水たまりの水が踏んでも飛び散らないのか、がわかるかと思います。

タイトル【TENET】に隠された秘密とは?

かつて2ちゃんねるなどを見ていた・不思議なモノ、ことが元から好きな方がまず思い浮かべるのが「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」というラテン語による回文ではないでしょうか。

回文とは、最初から読んでも最後から読んでも意味のわかる文章のこと。

TENETの文字はもちろんのこと、ケネス・ブラナー演じるアンドレイ・セイターの姓、オペラハウスのキエフ、ゴヤの贋作を描いたアポレ、オスロ空港のフリーポート倉庫を守る警備会社がロータスと本編中にも散りばめられています。

また、最初から読んでも最後から読んでもTENETになることは順行・逆行を表しているようにも見えます。

さらにフリーポート倉庫シーン、火事が起きた場合における消火用ガスが部屋に充満する時間は「10秒」、最後の戦いであるスタルクス12でのミッション時間は「10分」と、「TEN(テン=10)」にもかけているようです。

となると、セイターが集めていた「未来で作られた核兵器」は9個で完成と言っていましたが、もしかすると……?

何故「名もなき男」なのか

【ブラック・クランズマン】(2018)にて主演を務めたジョン・デイヴィッド・ワシントンが本作で演じるのは「名もなき男」。

他のメンバーは名前があるのに何故彼だけ名前がないのか、と疑問に感じた方も多いと思います。

名もなき男は、エンドロールを見てわかるように原語では「Protagonist」となっています。

これは「主人公」という意味の英語。

最後の戦い終了後~ラストにて、誰がこのミッションを企てたのかに対するニールの回答。

名もなき男のラストのセリフからもわかるように、セイタ―を倒すべく計画されたとんでもない作戦はすべてのリーダー未来の自分が行ったわけです。

【TENET】の日本語公式サイトのあらすじ部分に「そして、彼の名前が明らかになる時、大いなる謎が解き明かされる」と書かれているので、名前出てきた!? と混乱された方もいらっしゃると思いますが、これは「Protagonist」という役名に対してのことを指しているのだと思われます。

この物語のすべてにおける主人公だったということですね。

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【TENET】まとめ

超話題作であることから映画ファンはもちろん、多くの方が観に行かれているであろう本作。

難解と言われるだけあって1回では追いきれない部分がとんでもなく多いと思います。

ワーナーのロゴも最初は赤(=順行)、最後は青(=逆行)と色が違うなど、手がめちゃくちゃ込んでいるのでどんどん新たな謎・疑問が浮上しそうですが、2回目の方が確実におもしろいと思いますのでぜひ数回シアターに足を運んでみていただきたい作品だと思いました。

もし近場にIMAXシアターがある方はそちらで観てみるとより没入感が体感できると思いますのでぜひお試しください。

※本作はDV、脅迫、他人支配などの表現があるためご視聴にはご注意くださいませ。

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