【いつか晴れた日に】あらすじ・解説。主演のエマ・トンプソンがアカデミー賞脚本賞を受賞した他、数々の賞を受賞した感動の名作。ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グラント、アラン・リックマン出演。キャスト情報も。
【いつか晴れた日に】あらすじ
舞台は19世紀イギリス。
ダッシュウッド家の三姉妹と夫人の生活は、当主が病死した事で一変した。
先妻の長男ジョンとファニーがやってくると4人は屋敷を追われ、遠方の小さなコテージに移り住む事になる。
長女エリノアとファニーの弟エドワードは恋に落ちるが、ファニーはよく思わない。
その上、エドワードは若気の至りで過去にルーシーという女性と秘密の婚約をしていたため、約束を破ることができず、エリノアに自分の気持ちを言い出せないでいた。
ルーシーもそれに気づき、エリノアに秘密の婚約を打ち明け、2人が近づかないよう目を光らせる。
一方、次女マリアンヌはコテージの貸主の友人ブランドン大佐に思いを寄せられていた。
しかし、彼女は美青年ウィロビーに出会いお互い夢中になる。
プロポーズも間近だと思われた矢先、ウィロビーは突然マリアンヌの元から去って行った。
【いつか晴れた日に】見どころと解説
キャスティングの素晴らしさ
原作はジェイン・オースティンの【分別と多感】(ちくま文庫/中野康司訳)。
【ハワーズ・エンド】(1992)【日の名残り】(1994)でアカデミー主演女優賞をとったエマ・トンプソンが、本作品で主演と脚本を務めアカデミー賞最優秀脚色賞を受賞している。
エマ・トンプソンはキャスティングにも関わっている。
当時、まだ無名だったケイト・ウィンスレットをオーディションで見た瞬間、彼女に決めたらしい。
実際、ケイトは本作品でフェルメールの絵のような美しさを放っている。
ケイトが【タイタニック】(1997)で一躍有名になるのはこれより2年後になる。
原作は、男性キャラクターに魅力がないのが欠点だった。
特にエドワードは「容姿も態度もパッとしない男性」だったが、コメディを得意とした2枚目俳優ヒュー・グラントが演じたことで、エドワード出演の場面が面白くなっている。
また影の薄いブランドン大佐を【ハリー・ポッター】シリーズ(1999-2008)のスネイプ先生でお馴染みのアラン・リックマンが演じることで包容力のある魅力的な男性になった。
映像の素晴らしさ
本作品を原作より面白いと言ったのはアン・リー監督だ。
【ブロークバック・マウンテン】(2006)と【ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日】(2013)でアカデミー賞監督賞を受賞した台湾の名監督である。
エマ・トンプソンはアン・リーに惚れ込んで監督を依頼し、何年も待ったと言う。
アン・リーの、田舎の景色や屋内の風景、犬や羊、馬糞にまでこだわった映像が、映画を一層素晴らしいものにしている。
特に、自然光を意識した撮影をしているため、外の景色はコンスタブルのようだし、屋内はフェルメールそのもの。
アン・リーはこの作品で、ベルリン映画祭金熊賞を受賞している。
脚本の素晴らしさ
原作の【分別と多感】は少々長たらしく、いささかお説教くさいところがあるが、エマ・トンプソンは原作の無用な部分をそぎ落とし、面白いところは残して見事にまとめ「原作より面白い」(リー監督)作品に仕上げている。
原作は三女マーガレットの出番はさほどないが、主人公たちの本音、現代人である視聴者の疑問などをマーガレットに代弁させ、説明くささをなくした上、ユーモラスなものにしている。
【いつか晴れた日に】感想
今から25年も前の作品だが、こだわりの映像のせいか少しも古臭さを感じない。
物語のテンポもよく、すぐに惹き込まれる。
この時のケイト・ウィンスレットは奇跡の美しさ。
また、エマ・トンプソンの演技には泣かされる。
ジェイン・オースティンは未だに世界中から愛され、映像化が後を絶たないが、映画に関してはキャスティング、脚本、映像全てにおいて本作品が1番だと思う。
ご覧になっていない方にはぜひお薦めしたい。
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