映画【青天の霹靂】は2014年に大泉洋主演で公開されたヒューマン映画です。「青天の霹靂」とは、故事成語で「予想だにしない出来事が突然起こる様子」を意味します。ある日、タイムスリップして若い頃の両親と出会う物語で面白くも感動する親子愛が描かれています。キャッチコピーは「笑いと、たぶん一粒の涙の物語」を、ぜひ。
【青天の霹靂】あらすじ
「普通に就職して、普通に家庭持って。そういう普通の人生を手に入れるって実は難しい。」
映画の冒頭は、マジックバーで働く35歳の晴夫(大泉 洋)のぼやきから始まります。
父親(劇団ひとり)の浮気が原因で、母親(柴咲 コウ)は晴夫を出産するとすぐに家を出てしまいます。
だらしない父親のもとで育った晴夫は、お金もなく恋人もおらず、自分の人生をみじめに感じていました。
ある日、晴夫は 疎遠だった父親が亡くなったと警察から連絡を受けます。
晴夫は父親が暮らしていた川沿いのダンボールハウスを訪れ、父親の人生は何だったのかと悲観しているところで、空から突如稲妻が落ちて来て晴夫を直撃。
晴夫が目を覚ますと、そこは昭和48年の浅草でした。
キャスト情報
轟 晴夫/大泉 洋
マジックバーで17年間働いている売れないマジシャンです。
タイムスリップした浅草で、若い頃の父親とマジシャンのコンビを組むことになります。
轟晴夫役を演じたのは、【探偵はBARにいる】(2011)、【恋は雨上がりのように】(2018)、【新解釈・三國志】(2020)などに出演している大泉洋です。
花村 悦子/柴咲 コウ
晴夫の母で、自分の命と引き替えに晴夫を産みます。
花村悦子を演じたのは、【世界の中心で、愛をさけぶ】(2004)、【容疑者Xの献身】(2008)、【食堂かたつむり】(2010)などに出演している柴咲コウです。
「芸人の嫁は気が強く、しっかり者のイメージ」に合うことからキャスティングされました。
轟 正太郎/劇団ひとり
晴夫の父で、表向きは横柄な態度を取りますが、実は優しい一面があります。
轟正太郎を演じたのは、お笑いタレント、司会者、俳優、声優、作家、映画監督などマルチに活躍する劇団ひとりです。
2006年に小説「陰日向に咲く」で小説家デビューし、2作目の小説となる本作では原作・監督・脚本を務めています。
轟正太郎役は最初から自分で務めるつもりだったそうで、ステージの上で中国人のモノマネをしているシーンはさすがの存在感でした。
【青天の霹靂】見どころと解説
劇団ひとりの多彩な才能
本作は、劇団ひとりによって物語が作られ、映画化された作品です。
映画化にあたり、制作には東宝が名乗り出て主題歌にはMr.Childrenが起用されました。
Mr.Childrenは、ファンである劇団ひとりがダメ元でお願いしたところ快諾されたそうです。
本作は劇団ひとりが物語を作り、周りの人を巻き込み、自身で演じるという多くの才能に溢れた作品になっています。
晴夫が放たれる瞬間
今まで晴夫は、ろくでもない父親と自分を置き去りにした母親がいたせいで、自分の人生はこんなものだと妥協して生きてきました。
しかし、タイムスリップして懸命に生きる両親と出会い、母親は晴夫を命をかけて産み、晴夫を置き去りにしたというのは父親のついた嘘だったことを知ります。
「自分の命をかけて産む母親じゃ辻褄が合わないんだよ」
晴夫が泣きながら言った一言は、とても印象的でした。
映画のクライマックスで晴夫は、今まで自分の人生がみじめなのは親のせいと考えていた卑屈な自分から解き放たれます。
【青天の霹靂】感想
本作は、キャッチコピー「笑いと、たぶん一粒の涙の物語」にあるように、純粋に楽しめるシーンと感動のシーンが程よくバランス取れた作品だと感じました。
大泉洋と劇団ひとりがコンビを組んでステージに立つシーンは、2人の素とも思える巧みな話術で楽しむことができます。
また、2人が真剣に語り合うシーンは、人間味溢れるやり取りに惹きつけられ感動します。
そして、本作のクライマックスに晴夫が大舞台でマジックを行うシーンがあります。
大泉洋は4か月もの間、プロマジシャンのもとで練習し、トランプを使ったマジックや鳩を出すマジックを作中の様々な場面も、本作の見どころのひとつとなっています。
Mr.Childrenが歌う主題歌「放たれる」も心に響き、見終わった後良い余韻を感じることができます。
ぜひ、ご覧下さい。
©2014「青天の霹靂」製作委員会