2014年12月26日。
インドネシア西部にあるスマトラ島で起きたマグニチュード9.1の地震。
『インポッシブル』は、地震による津波に巻き込まれたスペイン人一家5人の実話を元にした作品です。
離れ離れになってしまった家族が再会を目指す、愛と希望に溢れた感動作の全貌をお伝えします!
『インポッシブル』のあらすじ
クリスマスの休暇をリゾート地で過ごそうと、タイにやってきたヘンリーとマリアと3人の子供たち。
家族の将来について不安がありながらも、幸せに暮らす5人。
5人はホテルのプールで過ごしていました。
突然、木々が揺れ始め異様な雰囲気が……。
すると、息をつく間も無く大きな津波が押し寄せてきます。
マリアが水面から顔を出すと、愛する家族に姿はなく、彼女の体にはいくつもの傷が……。
言葉も通じない・知り合いもいない“初めての土地”で、離れてしまった家族はお互いを見つけ出し、生き延びることはできるのか?
『インポッシブル』ネタバレ
壮大な自然と目を背けたくなる悲劇
“地震”を題材にした映画はいくつもありますが、かつてこんなにもリアルな演出をした映画があったでしょうか?
あっという間に津波に飲み込まれた人々。
必死に水面から顔を上げるマリアの眼に映るもの、それは水に流される木々や家や車、そして死体の数々でした。
体には痛々しい傷だらけ。
マリアは、ルーカスと落ち合うことが出来ましたが、彼は母の痛々しく深い傷を直視することができません。
しかし、これが現実。
大自然は無情にも、大人から子供まで多くの命を襲ったのです。
生まれてから今日まで、マリアはルーカスのことを守ってきましたが、今度ばかりは傷があまりにも深すぎて息子の肩を借りないと歩けないほどに……。
安全な場所に行こうと木の上に避難しようとしますが、マリアは自分の力で登ることはできず、ルーカスに引っ張ってもらいます。
母親の弱い姿を息子に見せなければならなかった瞬間でした。
このシーンでは災害の恐ろしさを改めて認識し、自然の力の怖さ、また自然の力には人間は決して抗うことができないとういうことを思い知らされます。
愛は世界共通
現地の人の助けで、何とか病院に来ることができたマリアとルーカス。
病院内は様々な言語が飛び交い、怪我人で溢れ滅茶苦茶になっていました。
元医者であるマリアは、自分が危険な状態にも関わらず、隣で苦しんでいる女性に声を掛けて助けようとします。
マリアはルーカスに、困っている人を助けてくるように言うと彼は、離れ離れになってしまった家族を探している人を手伝いました。
ただ、言語の違いから聞き取れない名前ばかり……。
それでも、必死で息子の写真を見せ訴えてくる父親や、手を握って助けを求めてくる母親のため、ルーカスは何度も聞き慣れない名前を聞き取りメモしたのです。
言葉も文化も何もかもが違う人々が集った場所。
しかし、みんな家族を愛し再会を望む姿は同じでした。
親が子供を守ろうとする思いや、子供が親の元を離れぬよう必死でしがみつく姿勢に、愛に国境はないのだと感じさせられます。
“ビーチにいる”
一方で、何とか一命をとりとめた父ヘンリーは、マリアとルーカスを探すために同じ状況の人たちと国中の病院を渡り歩きました。
携帯電話もなく、実家に連絡を入れていないことを気にするヘンリーに、ある男性が自分の携帯電話を貸してくれました。
充電する場所もないため、人に携帯を貸してる余裕などないにも関わらず貸してくれた優しい男性。
彼は、妻と娘と旅行に来ていました。
しかし、地震が起こる数時間前に、ビーチに行ってくると書いたメモを残して妻と娘は出て行き、まだ寝ていた男性はホテルに1人で残っていたのです。
妻と娘の安否が分からずにいた男性は、自分だけ助かってしまったこと、そして自分が旅行に行こうと誘ったことに深い罪悪感を抱いていました。
病院をトラックで順番に回るヘンリーと男性。
ヘンリーは、怪我をしている男性に代わって彼の家族を探そうと、メモに妻と娘の名前を書いてもらいました。
男性はトラックで待っていましたが、ヘンリーは暫くしても帰ってきません。
「出してくれ。」
ヘンリーが家族に会えたことを確信した男性は、また妻と娘を探しに病院を後にしました。
その後ヘンリーと男性が会うことはありませんでした。
男性が妻と娘と再会できたのかは、未だに分かりません。
無事家族と再会したヘンリーが、家に帰る飛行機の中でポケットに手を入れると、男性から預かったメモが見つかりました。
“ビーチにいる”
そのメモにはこう綴られていたのです。
1人ではない
マリアの入院している病院で、家族5人は奇跡的に再会を果たしました。
憔悴しきっているマリアを見て、ヘンリーはルーカスに言います。
「お母さんを助けてくれてありがとう。」
それに対するルーカスの答えは、
「助け合ったんだよ。」
互いに助け合い、励まし合い、生きる希望を与えあった2人は、一緒にいたからこそ共に生き延びることが出来ました。
“1人ではない”
それが、生きる上での勇気と希望だったのです。
『インポッシブル』の感想
この世界に住んでる以上、地震をはじめ多くの災害は他人事ではありません。
日本でも大きな地震により多くの命が奪われました。
この作品で描かれていることは本当にリアルで、何度も目を背けたくなりました。
大自然に比べると、人間は本当に無力で小さな存在にすら感じましたが、それと同時にたくさんの愛や勇気に励まされます。
“諦めない心”
“生きる勇気”
“誰かの支えの暖かさ”
それを感じることのできる素晴らしいものでした。
また実話であることから、奇跡は起こるとも思わせてくれる作品です。
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