【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】ネタバレと見どころ、解説
兵士目線で戦場ど真ん中を描いた【ダンケルク】(2017)、イギリス・ロンドンで暮らす一般人についてを描いた【人生はシネマティック!】(2017)など、第二次世界大戦がテーマの映画が多かった2017年。
【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】はというと、ちょうど【ダンケルク】の少し前あたりからダンケルクの戦いを描いている作品です。
物語の舞台は戦地ではなく国会。
スピーチで戦っていた当時のイギリス首相・チャーチルについてぜひご注目あれ。
【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】あらすじ
1940年5月10日、チェンバレン首相が失策により辞任。
新たに就任したのが主戦派のチャーチルでした。
保守党と労働党による一致でしたが、有事の際の貧乏くじのような人選によるもので、国王・ジョージ6世からの態度も冷たいものだったのです。
チャーチルはドイツへの抵抗を訴えますが、保守党側は講和の道を探るべきだと対抗してうまくいきません。
しかし、事態が深刻化。
フランスがドイツに敗北する状態になってしまい、ダンケルク海岸にいる兵士が全滅の危機を迎えてしまいます。
選択を迫られるチャーチルが出した答えとは……。
【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】の見どころ・ネタバレ
ウィンストン・チャーチル役を演じたゲイリー・オールドマンって?
【ハリー・ポッター】(2001~2011)シリーズのシリウス・ブラックや【裏切りのサーカス】(2011)のジョージ・スマイリー、【ハンニバル】(2001)のメイスン・ヴァ―ジャーなど数々の作品に出演している英国俳優、ゲイリー・オールドマン。
名優ロバート・デ・二―ロもそうですが、役作りに徹底した姿勢を貫く俳優のひとりで、実在した人物を演じる際はしっかりと事前に研究したうえで演技することで有名です。
例えばセックス・ピストルズのシドとその恋人ナンシーを描いた【シド・アンド・ナンシー】(1986)でゲイリーはシドを演じていますが、蒸した魚やメロンだけを食べるという、なんとも身体に悪そうな食事制限を続け、本人のような青白くやせ細った体型を手にして挑んでいます。
その後、栄養失調と診断され入院する羽目になったというのだから本気のレベルが違います。
そんなゲイリーは、高い演技力を持っているのに今までアカデミー賞を取っていなかったのですが、第90回アカデミー賞でついに主演男優賞を受賞しました。
スピーチの際に素敵な笑顔が見れたのは、まだ記憶に新しいです!
そんな彼が演じているのだから、主人公であるチャーチルがひどいものであるはずがありません。
彼の演技に、そして映画の世界に入り込むことができるはずです。
日本でも話題になったヘアメイクアーティスト
3時間半もヘアメイクに時間をかけて、チャーチル本人そっくりに仕上げたメーキャップ・アーティスト、カズ・ヒロ(かつての活動名:辻一弘)。
すでに2012年に映画界を引退し、現代彫刻家として知られるようになっていましたが、ゲイリーから直々に「あなたがオファーを受けないのならば、わたしはこの作品に出ない」と言われ、1週間迷った結果、映画界復帰という選択肢を選びました。
チャーチルの左右の目が離れていて丸い頭なのに対し、ゲイリーは近くて楕円形の頭。
外見の似ていない2人をどこまで特殊メイクで似せていくか、ということで約6ヶ月もの試作が重ねられていき、作中のチャーチルが出来上がったそうです。
彼もまた、ノミネートはあるものの受賞までは至りませんでしたが、ゲイリーと同じく第90回アカデミー賞において、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を日本人として初めて受賞するという歴史的快挙を達成しました。
日本でもニュースで話題になっていたので覚えている方もいらっしゃると思います。
傷ついても辛くても、踏ん張れる、強くいられる。
国民からの人気は高いものの、多くの失策から政党内の嫌われ者であったウィンストン・チャーチル。
チェンバレン首相の後任として選ばれて、当時の国王ジョージ6世をはじめ、冷たい態度な周りに囲まれ、味方がろくにいない状態から始まったチャーチルの首相生活。
チャーチルが主役であるため、どうしても彼に目がいってしまいがちではありますが、サブキャラクターたちにもぜひご注目していただきたいです。
妻であるクレメンティーンや、最初は辞めると言っていたけれど、覚悟して彼のそばで働くことを決めた秘書エリザベス。
同じ考えを持つアンソニー・イーデンなどの数少ない仲間たちの支えによって、チャーチルは影口を言われようとも、冷たくされようとも踏ん張ることができたのだと思います。
元首相のチェンバレンをはじめとした保守党のメンバーに「講和の道を探らなければ大臣を辞任する」と言われた後、寝室のベッドの上でどうするべきか葛藤し続け、疲れ切っていたチャーチルのシーン。
ジョージ6世はそんな彼の元を訪れ、「これからはきみの考えに賛同する」と言います。
支えられながら、重い責任を常に背負いながら。
それでもなお強い意志で立ち向かっていたからこそ、彼に寄り添おうという人々が増えていったのではないでしょうか
【ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男】感想
「我々は最後まで戦う。フランスで戦い、海で戦う。空で戦う。いかなる犠牲を払おうとも、我々は海岸で、野で、街で、丘で戦う。我々は決して降伏しない。」
チャーチルの演説に、ついに全会一致するラストシーン。
これからまだまだ、山のようにある課題にも屈しず諦めることなく挑み戦い続けるぞという強い気持ちが伝わるシーンだと思います。
チューブ(地下鉄)の中にいた市民らに尋ねても、みんな「Never!(決して屈しない!)」と口をそろえて言っていました。
どんなにつらくても、誰かの支配下にはならない、誇りをかけてなりたくないと思っていたということなのでしょう。
ちなみに本作に出てくる「ジョージ6世」ですが、実は彼が主人公の映画があるのです。
それが第83回アカデミー賞で作品賞も受賞している【英国王のスピーチ】(2010)。
チャーチルやチェンバレンなど、本作でもなじみ深い人物が登場するのでお時間がある方はぜひご覧あれ。
主演男優賞を受賞したコリン・ファースがかっこいいです!
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