映画【BECKY ベッキー】は、2020年に公開されたアメリカの犯罪アクションホラー映画。Netfilxオリジナル映画【ブッシュウィック-武装都市-】(2017)を演出したジョナサン・マイロット監督とキャリー・マーニオン監督の新作映画です。刑務所を脱獄して残酷な犯罪を犯した脱獄囚一行に、自分の大切な家族を奪われた復讐によって殺人兵器となり、彼らに立ち向かう少女の物語を描いています。父親を脱獄囚に殺されたベッキーは、彼女ならではの方法で凶悪犯に残酷な反撃を加えます。
あらすじ
13歳のベッキー(ルル・ウィルソン)は、病気の母の死により憂鬱な日々を送っていました。
母と過ごした思い出ある家から引っ越そうとする父ジェフ(ジョエル・マクヘイル)との葛藤もあり、言う事も聞かない反抗的な少女です。
そして引っ越した後のある日、ジェフに誘われて母と住んでいた旧家に行くことに。
そこで彼らを待っていたのは、父の彼女ケイラ(アマンダ・ブルジェル)と、その幼い息子タイ(アイザイア・ロッククリフ)でした。
ケイラと再婚するというジェフに、ショックで意気消沈したベッキーは、飼い犬を連れて離れ屋の小屋に行ってしまいます。
一方で、同時刻にドミニク(ケヴィン・ジェームズ)たち4人が、ジェフたちのいる家にやって来ました。
彼らは10年近く受刑生活を送り、護送車で警官を殺害した後、警察に成りすましていたのです。
ベッキーが小屋にいる間、ドミニクたちはジェフとケイラ、そしてタイを人質に取りました。
その時、ボスのドミニクは、偶然にもベッキーという存在に気づき、さらに自分たちが探している鍵がベッキーにある事に気付きます。
ドミニクは、ジェフを拷問しベッキーに戻って来させようとしました。
その様子に気づいたベッキーは機敏に動き始め……。
こうして、ベッキーとドミニクたちの凄絶な死闘が始まるのです。
監督と出演者
ジョナサン・マイロット監督/キャリー・マーニオン監督
ジョナサン・マイロット監督とキャリー・マーニオン監督が、合同でメガホンを取った3作目の映画です。
ジョナサン・マイロット監督とキャリー・マーニオン監督はパーソンズ美術大学で出会い、最先端のアニメーション、デザイン、広告会社を経営し、一緒に映画製作をし始めました。
サンダンス映画祭で初演された、イライジャ・ウッド主演の【ゾンビスクール!!】(2014)で長編映画監督デビューを果たし、デイヴ・バウティスタ主演のNetfilx映画【ブッシュウィック-武装都市-】(2017)もサンダンス映画祭で初演されました。
そして再び、彼らがコンビを組んだ3作目の本作は、2020年トライベッカ映画祭で上映されました。
ルル・ウィルソン
登場人物:反抗的な思春期の少女。父の再婚で戸惑う思春期の少女から、復讐の鬼と化す殺人兵器になります。
キャスト:ルル・ウィルソン
出演作:【The Money】(2014)【NY心霊捜査官】(2014)、【ウィジャ ビギニング~呪い襲い殺す~】(2016)、【アナベル 死霊人形の誕生】(2017)。テレビドラマシリーズ【ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス】(2018)や、【モダン・ラブ】(2020)。
ケヴィン・ジェームズ
登場人物:殺人罪で収監されていた脱獄犯でありボス。主人公達を危険な状況に陥れます。
キャスト:ケヴィン・ジェームズ
出演作:【HEY!レイモンド】(1996)、【The King of Queens】、【最後の恋のはじめ方】(2005)、【チャックとラリーおかしな偽装結婚!?】(2007)、【モール★コップ】(2009)、【Mr.ズーキーパーの婚活動物園】(2009)、【アダルトボーイズ青春白書】(2010)。
全米で興行収入1位
映画【BECKY/ベッキー】は、映画ファンの口コミで広がり、公開と同時に興行収入1位を記録して以来、好評を得て、1ヶ月間興行収入TOP3の成績を維持した人気作品です。
演技派俳優陣の熱演、終始一貫した心理戦と肉弾戦を繰り広げるスリリングなストーリー、打撃感の強いアクションは、ウェルメイド犯罪アクションスリラーの誕生を知らせることとなりました。
ベッキーという少女
主人公ベッキーは、思春期真っ只中の13歳の少女。
大人へと成長していく過程で、遊び盛りで女の子として様々な影響を受けながら、育っていく年齢でもあります。
そんな彼女の目の前で立ちはだかったのは脱獄囚でした。
連中に、大切な父親を奪われた悲しみと悔しさから、彼女は復讐を決意。
しかし、いくら賢いとはいえ彼女はまだ子供であり体力的にも負けているので、アクションシーンの度にハラハラドキドキさせられます。
それでも、殺人に対する明らかな目的意識と確信で、道具を使った頭脳戦や脱獄囚を懲らしめるといった真の強さを持っています。
手に入る全ての物が武器になる
母親が病気で世を去った後、反抗期だったベッキーは、父ジェフの突然の再婚発表で余計に反抗心が極まり、一人だけの空間に逃避します。
しかし、謎の鍵を求めてベッキーの家に入って来た脱獄囚の犯行に、目の前で父を失ったベッキーは復讐への殺人兵器に生まれ変わりました。
脱獄囚と殺人兵器となった13歳の少女というストーリーラインで、手に汗握る緊張感溢れるストーリーは最大の見どころであり、最後まで緊張感を与えてくれます
また、色鉛筆や釣り糸、愛犬などベッキーが触れる全ての物が殺人道具として使われる場面も、映画の重要な見どころポイントです。
暗黙のルール
本作は、スリラーアクションに近いジャンルではありますが、ホラー映画に分類されています。
その理由は、残酷なシーンが普通のスラッシャームービーよりも酷いということ。
まるで、【ホーム・アローン】(1990)を残忍なホラーバージョンにしたようでした。
ハリウッドのメジャー映画のほとんどに、ホラー映画では子供は死なないという”暗黙のルール”があります。
本作では一歩進んで、子供が父親を殺した者に残酷な方法で復讐するという点では、新たなジャンルを切り開いたと言えるでしょう。
序盤から事件や葛藤が明確に表現され、それによる対決が鮮明に描かれ、BGMが更なる緊張感を与えます。
また、ストーリー設定にも斬新さがあり、脱獄囚4人よりも復讐に狂った少女1人がもっと怖いと印象づけました。
家族愛をテーマにした映画
本作は復讐をテーマに、家族間の和解にも焦点を当てています。
結末で父親は死に、残されたのは父親の恋人とその息子だけでした。
当初、ベッキーは父の恋人とその息子に対して敵対感を持っていましたが、脱獄囚と戦う過程でいつの間にか家族を守る保護者としての意識を持つようになります。
自分には生き残った家族がいて、それは父が遺した家族。
これからは守るべき家族がいるという事を、この映画は見せてくれるのです。
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