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【アビエイター】ネタバレと解説。潔癖症にして航空機マニアの大富豪ハワード・ヒューズを描いた大作。

アビエイター
©MIRAMAX

映画【アビエイター】ネタバレと解説。

大富豪にして巨大飛行艇ハーキュリーズを製作した、航空機愛好家として知られるハワード・ヒューズの生涯を描いた映画。

【ギャング・オブ・ニューヨーク】(2002)に引き続き、マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオがコンビを組んだ大作をネタバレ解説していきます。

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【アビエイター】の作品情報

公開

2005年 アメリカ映画

原題

The Aviator

監督

マーティン・スコセッシ

キャスト

レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセイル、アラン・アルダ、アレック・ボールドウィン、イアン・ホルム、ジュード・ロウ、アダム・スコット、マット・ロス、グウェン・ステファニー、ジョン・C・ライリー、ダニー・ヒューストン、フランセス・コンロイ、ブレント・スパナー、スタンリー・デサンティス、エドワード・ハーマン、ウィレム・デフォー、ルーファス・ウェインライト

記事内画像:公式サイト

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【アビエイター】ネタバレ

【地獄の天使】を撮影するハワード。

ハワードは9歳の頃から、潔癖症の母親からquarantine(隔離)という言葉を習っていた。

これが、後のハワードの人生に決定的な影響を与える事になるのだった。

22歳になったハワード・ヒューズは【地獄の天使】(1930 米)の撮影をしている。

それは、第一次世界大戦当時の真っ赤なフォッカーD.VIIを複数集め、当時の空中戦を再現するという大掛かりなものだった。

【地獄の天使】を製作中、世の中が音声無しのサイレント映画から音声の入ったトーキーに移行したのを知ったハワードは、巨額の損失を知りつつ全編をトーキーで取り直す。

その後、ハワードは撮影に使っている複葉機のスピードの遅さが気に入らず、2枚ある翼の上の羽根を取り払い、更に外板を止めるための鋲が出っ張っているのも気になった。

そこでハワードは、出っ張りのない鋲である(日本では零戦などで使われた)沈頭鋲を用い、ハワードの潔癖症も手伝って、病的なまでに滑らかな銀色の表面が美しいH-1レーサーというスピード記録樹立用の飛行機を製作した。

H-1レーサーを自身で操縦し、当時の速度記録を樹立したが飛行機は墜落してパイロットは負傷してしまう。

しばらくして、ハワードはキャサリン・ヘップバーンと出会い、一緒に飛行艇を操縦するなどして親密な関係になる。

しかし、キャサリンの家族と出会った辺りから2人の食い違いが増える。

後腐れなく別れようとしたキャサリンだったが、それはハワードにとって自分を見下しているように映っていた。

キャサリンと決別したハワードは、自分が着ていた服を全て燃やす。

TWAの路線を開拓しようとしたハワードを待ち受けていたのは?

双発エンジンの軍用試作機XF-11を操縦していたハワードが墜落し、重症を負ってしまう。

それをきっかけに、以前にもましてハワードは極端な潔癖症に陥ってしまい、全裸で試写室に引きこもるようになる。

それを見かねたかっての恋人キャサリンがハワードを訪ねるが、彼は面会を拒絶。

そんななか、ハワードはTWA(トランスウェストアンドコンチネンタルエア)の株式を取得し路線拡大に乗り出した。

だが彼を待ち受けていたのは、パンナム航空の権益を確保したいファン・トリップと上院議員ブリュースターによる、国防費を不正に使用したという嫌疑による公聴会での査問だった。

公聴会で訴訟に打ち勝ったハワードだったが……

公聴会で不正に賄賂を送った、無駄の飛行機XF-11やハーキュリーズ飛行艇を製作して国費を消費したとして、ブリュースター達から糾弾された。

しかし、ハワードは軍の幹部を接待するのはロッキードやダグラスでもやっている、禁じている法律は無いと反論。

更に、他の航空会社も軍に納入してない飛行機を多数製作したと後者についても反論した。

ハワードの反論が功を奏し公聴会はハワードの勝利に終わった。

その後、世界最大の飛行艇H-4ハーキュリーズを一般に披露。

観衆の見守る中、巨大飛行艇は無事に海上から飛び上がった。

しかし、ハワードは飛行艇から降りた後、壊れたレコードプレーヤーのようにひたすら「未来への道」(Way the future)という言葉を繰り返すのだった……。

様々な事業を手がけ、多才な大富豪として名声を手にしたヒューズであったが、その晩年は安穏とはいかなった。1946年の墜落事故で負った傷の止痛薬から彼は、麻薬(コデイン)中毒を患い深刻な精神衰弱になった。数回の墜落事故による脳への損傷が原因と疑われる強迫性障害らしき行動を彼はたびたび起こしていたが、その異常行動は年を取るにつれ頻繁になった。

Wikipediaより引用

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【アビエイター】感想と解説。

最後に軽くバッドエンドを演出している所がスコセッシ監督らしいところでしょうか。

また、映画の後半でケイトが精神を病んで全裸で引きこもるハワードに会いに来るシーンは、イタリアの巨匠ヴィスコンティの【ルードウィッヒ/神々の黄昏】(1972 伊)で、ノイシュヴァンシュタイン城に引きこもるルートヴィヒ2世に会いに来たオーストリア皇后エリザベートをルートヴィヒ2世が拒絶するシーンを彷彿とさせ、ハワードの精神の闇が表現されていてナイスでした。

画像編集ソフトやモニターの色相を触った事のある方は分かると思いますが、色相を調整すると【アビエイター】前半のような映像になります。

映画前半はシアン(青)系にキツく色相が調整されていて、映画が後半になるに従って色相の偏りは無くなります。

これは、戦前のカラーフィルムがシアンよりで青がかっているのを再現しているのだと思われます。

また、冒頭の第一次世界大戦の航空機は【地獄の天使】同様に、当時の飛行機の復元機を使用したようです。

そしてひとつ。

日本人として聞き捨てならないのは「ジャップがH-1レーサーをパクった」というセリフなのですが、この部分はハワード・ヒューズが実際に発言したセリフで、実際には日本の軍関係者がヒューズ・アビエーションを視察に訪れただけでそのような事実は無いようです。

これも彼の潔癖症で疑い深い性格から来るセリフなのでしょう。

戦後にヒューズは更に「日本の零式艦上戦闘機(零戦)がH-1のコピーであることは誰の目にも明白なことである。」と主張し、主翼プラットフォームや尾翼の設計と機体全体における近似性の双方に言及した。零戦の設計者である堀越二郎は、H-1が日本の戦闘機設計に影響を与えたという主張に対して強く反駁した

Wikipedeiaより引用

賛否両論ある【アビエーター】ですが、飛行機が好きな方にはハワード・ヒューズの飛行機にかける情熱は十分伝わる映画だと思います。

長すぎるという意見もありますが、それはスコセッシ作品全てに当てはまるものなので。

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