映画【アフターマス:余波】は、2021年に公開されたNetfilxのホラー映画です。ある夫婦が関係回復の為、新しい家に引っ越した日から起こった奇妙な出来事を描いています。この家の不吉な現象が夫婦を襲うこの物語は、実話を基に製作されました。
あらすじ
ある出来事から夫婦の仲が悪くなったナタリー(アシュリー・グリーン)とケヴィン(ショーン・アッシュモア)は、結婚生活を一度リセットするため環境から変える事にしました。
2人は、完璧な家を低価格で手に入れたものの、ナタリーは家の中で人の気配を感じ不安に襲われます。
誰も使ったことのない鏡に落書きされたり車が突然燃えだしたりする他、家のあちこちで聞こえる不快な音、さらにはナタリーの体に原因不明のあざが出始めたのです。
不安と恐怖に悩まされたナタリーは、のちに過去この家で殺人と自殺が相次いだという衝撃的な事実を知る事になり…。
監督とキャスト
ピーター・ウィンター監督
本作のメガホンを取ったピーター・ウィンター監督は、【インデペンデンス・デイ】(1996)、【パトリオット】(2000)など、名作のフィルモグラフィーを持つプロデューサー兼監督です。
【スターゲイト】(1994)や【Godzilla】(1998)など、数多くの作品で準プロデューサーを経験したのち、ジェイソン・アイザックス出演のショートフィルム【The Tag】(2001)で短編映画の監督デビュー、更に【The Librarian: Quest for the Spear】(2004)で長編映画の監督デビューを飾りました。
ナタリー役/アシュリー・グリーン
超常現象に悩まされるナタリー役を演じたのは、【トワイライト~初恋~】(2008)のアリス・カレン役で知られるアシュリー・グリーン。
アシュリーは、モデルを目指すも身長が低くて断念し、法律と心理学を学び始めます。
その後、演技の授業を受けた際に自分は本当は「何をしたいのか」を問いかけ、17歳でロサンゼルス移住を決意し女優の道へ歩き出しました。
2005年のMTV放送【Punk’d】でデビューを果たし、【カリフォルニア・トレジャー】(2007)と【精神科医ヘンリー・カーターの憂欝】(2009)に出演。
その後、ステファニー・メイヤーの人気小説シリーズを基にした映画【トワイライト~初恋~】(2008)が、彼女の大きな転機となりました。
ケヴィン役/ショーン・アッシュモア
ナタリーの夫ケヴィン役を演じたのは、【フローズン】(2010)で知られるショーン・アッシュモア。
7歳の時に兄と共にスカウトされテレビCMに出演後、ドラマ【Katts and Dog】(1989)でデビューを果たしました。
14歳の時、【ギターマン】(1994)で主人公に抜擢され、【X-MEN】(2000)ではアイスマン役を演じ知名度を上げます。
続編【X-MEN2】(2003)にも同役で出演し、2004年の第13回MTV映画祭ではMTVムービー・アワードブレイクスルー演技賞を受賞しました。
その後【X-MEN:ファイナル ディシジョン】(2006)、【X-MEN:フューチャー&パスト】(2014)にも出演しています。
アフターマスとは?
“アフターマス”という言葉は、災害や大事故直後の時期に現れる”余波と後遺症”を指します。
超常現象と人の物理的な現象が絡まったこの映画のストーリーは、強い好奇心を刺激すると共に緊張感を高めてくれました。
特に、ナタリーにだけ見られる奇異な現象は毎夜あらわれ、その度に彼女を恐怖に陥れます。
そして、その現象はナタリーにしか見えなため誰も信じてくれず、彼女の孤立した状況が更なる恐ろしさを増していきます。
また、本作ではフェミニストと黒人に対しての人種差別に対するメッセージも伝えていました。
知らぬ間に、人間の中に深く入り込んでいる差別と偏見がどれほど根深いものかを感じさせ、現実的な恐怖を描いているという点では非現実的なホラーと比べるとゾッとする印象があります。
実話を基に製作された作品で荒唐無稽ではない、静的ながらも人間の内面的な恐怖を刺激してくれます。
夫婦関係の修復
夫婦関係を修復しやり直そうと移住した日から、荒天の道を行くことになってしまった二人。
「不倫によって、一番目の結婚は終わった」という医者の言葉は印象的で、夫婦間の信頼が崩れた瞬間、回復するには大変な時間が必要だという見解を強く受けました。
また、ラストで再度引っ越しの準備をしているケヴィンとナタリーの表情は明るく、それは二人の未来が明るいことを意味しているようにも見えます。
不倫をした妻、そして最後まで妻を愛そうと努力する優しい夫の姿は、ホラー映画ながらもロマンス映画を見ているようでした。
段段たる緊張感
映画【アフターマス:余波】は序盤から この家で起こった過去の出来事を描いており、ホラーやスリラージャンルとしての緊張感がありました。
実話を基にした映画なので、<夫婦が引っ越した後、全ての事が起き始める>、<過去に良くない事が起きた家には次第に超常現象が起き、急に人の形象も見え始める>といったお馴染みのホラー要素が描写されている本作は、斬新なストーリー設定は刺激的で緊張感を与えると同時に、恐怖的な要素をよく生かしてくれる作品でした。
何よりも、実話という事実がもっと衝撃的で、一度は見る価値があります。
映画の中の音楽要素
近年のホラー作品の中では、オーディオやLPレコードで曲を流す演出がよく使われており、その不穏な曲が更なる恐怖感を与えます。
ホラー作品は視覚的恐怖だけではなく、聴覚的恐怖もあってこそ恐怖的要素が成り立つ重要なものです。
映画【アフターマス:余波】での楽曲も、適材適所で挿入されているため、感情を高めるのに一役買ってくれていました。
幽霊か人か
冒頭では、最初は幽霊が出たと思わせる雰囲気でしたが、見れば見るほど生きた人間のように見えました。
人間なのか幽霊なのか、観る者に考えさせつつ混乱させる演出が素晴らしいです。
また、家の地下室の何処かに誰かが住んでいるということ自体 理解できませんでしたが、本作でのストーリー経緯は説得力がありました。
もし、引っ越し先の地下に誰かが住んでいたら……!?
その考えがあまりにも恐ろしく、それこそがホラーの真価と言えるでしょう。
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