映画【ハロウィン KILLS】は、2021年に公開されたアメリカのホラー映画であり、数多くのホラー映画を生んで来たブルームハウスプロダクションが制作。ハリウッド恐怖の代名詞である【ハロウィン】シリーズの最新作が、ハロウィンシーズンを迎えて3年ぶりに復帰し、ホラーマニア達の関心を集めています。
【ハロウィン】(2018)の続編であり、今回もローリー・ストロードと殺人鬼マイケル・マイヤーズの命を懸けた闘いを中心に物語が描かれています。今回は【ハロウィン】(2018)の演出陣や出演陣だけでなく、特に【ハロウィン】(1978)に登場した元祖キャラクター達が大挙復活し、【ハロウィン】シリーズファンの期待を高めています。
公開されたメインポスターで、赤い火炎に包まれた殺人鬼マイケル・マイヤーズの歪んだ仮面と最強のビジュアルが、再び連続殺人鬼の復活を予感させ、「恐怖はまだ終わっていない」というキャッチコピーが意味するように、前作に続きローリー・ストロードとの一生を懸けた対決と、固く閉ざされた口から、更に殺人が起こる恐怖を予告しています。
あらすじ
ローリー・ストロード(ジェイミー・リー・カーティス)は、娘のカレン(ジュディ・グリア)と孫娘アリソン(アンディ・マティチャック)と共に、不死身のような殺人鬼マイケル・マイヤーズ(ニコラス・チャールズ・キャッスル)を家の地下室に閉じ込めて火をつけました。
しかし、マイケルが燃えて死ぬ事だけを待っていたのも束の間、家に消防士が駆け付けてしまいます。
そして、マイケルが消防士を皆殺しにしてしまい。再びヘドゥンフィールド地域の住民たちは死の恐怖と混乱に襲われることになるのです。
一方で、マイケルの手を逃れて生き残った者たちが集まり、マイケルを殺すためのチームを構成し追跡に乗り出します。
ここにアリソンと彼女の恋人も加わりますが、途方もない力と殺人本能を持っているマイケルに手をこまねき、死傷者は減るどころか増えてしまいました。
警察の支援要請にも関わらず村は恐怖に包まれます。
また、マイケルと共に精神病院の護送車から逃げ出した患者が代わりに誤認される事態に至り、むしろ狂気に巻き込まれる事態にまで発展してしまったのです。
マイケルという最強の殺人鬼を相手に出来るのは、過去に彼に立ち向かったローリーしかいません。
そこでローリーは、愛する娘と孫娘、そして村人の命を狙うマイケルを倒すために立ち上がります。
被害を防ぐため、ローリーとカレン、アリソンはハドンフィールドの住民たちとマイケルの追跡を始め、悲惨な状況に直面しつつも遂にマイケルと向かい合う事になり……。
監督と登場人物
デヴィッド・ゴードン・グリーン監督
【ハロウィン】(2018)に続き、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督がメガホンを取りました。
【George Washington】(2000)で長編映画監督デビューし、【All the Real Girls】(2003)、【スノー・エンジェル】(2007)、【アンダートウ決死の逃亡】(2004)を手掛けた後、セス・ローゲンとジェームズ・フランコ主演【スモーキング・ハイ】(2008)、【ロード・オブ・クエストドラゴンとユニコーンの剣】(2011)でコメディ映画に転向しました。
以降、【セルフィッシュ・サマー】(2013)とニコラス・ケイジ主演の【Joe】(2013)、【マングルホーン】(2014)、【選挙の勝ち方教えます】(2015)など、コメディ以外の様々なジャンル映画を手掛けています。
本作の続編【Halloween Ends】(2022)も指揮する予定。
ローリー・ストロード
登場人物:マイケル・マイヤーズと命を懸けた闘いをする主人公。
キャスト:ジェイミー・リー・カーティス
出演作:【ハロウィン】(1978)、【大逆転】(1983)、【ハロウィンII】(1981)、【ザ・フォッグ】(1980)、【プロムナイト】(1980)【ワンダとダイヤと優しい奴ら】(1988)、【トゥルー・ライズ】(1994)ほか
マイケル・マイヤーズ
登場人物:連続殺人鬼
キャスト:ニコラス・チャールズ・キャッスル
出演作:【ハロウィン】(1978)(2018)、【ニューヨーク1997】(1981)、【ミリィ/少年は空を飛んだ】(1986)
監督作品:【わんぱくデニス】(1993)、【デイモン・ウェイアンズはメジャー・ペイン】(1996)、【ミスター・クレイジー 殺したい男】(1996)ほか
ハロウィンは古代ケルト族の祭りが由来
1年に1度の行事イベントの1つに、10月31日の”ハロウィン”があります。
古代ケルトでは11月1日が新年となるため、前日となる10月31日に死後の世界の扉が開き先祖が戻ってくると信じられていました。
その後、ケルト族はキリスト教徒化しましたがその風習は引き継がれ、キリスト教が定めた聖人の日(All Hallo )の前夜を、All Hallo Eve=ハロウィンと呼ぶようになりました。
死後の世界の扉が開いたとは言え、戻って来るのは先祖の霊だけではなく、悪魔やさまよえる霊も例外ではないことから、悪霊から身を護る(同じ仲間だと思わせるため)ために仮装するようになったとのことです。
アメリカでは民間行事として定着しており、各家庭ではカボチャに目や鼻、口を掘ってジャック・オー・ランタンを作ります。
怪物や魔女、幽霊などに扮した子供たちが近所の家を訪ね回り、「Trick or Treat」(悪戯か、お菓子か)と言ってキャンディーやチョコレートなどを貰う風習。
1930年代から始まったハロウィンはアメリカでは定番のイベントですが、近年では日本でも定着しつつあるイベントになっています。
【ハロウィン】シリーズ
1978年公開の映画【ハロウィン】は、白いマスクを被り、作業着を着た不気味なサイコキラーのブギーマンが、ハロウィンの夜に人々を皆殺しする恐怖を描いたホラー映画で、【遊星からの物体X】(1982)や【クリスティーン】(1984)を手掛けたジョン・カーペンター監督の出世作です。
【ハロウィン】シリーズは、ハリウッド史上、最も印象深いキャラクターとして挙げられる連続殺人鬼マイケル・マイヤーズを前面に出し、【ハロウィン】(1978)から【ハロウィン・レザレクション】(2002)まで計8作のシリーズに続き、ロブ・ゾンビ監督が演出したリブート【ハロウィン】(2007)や【ハロウィンⅡ】(2009)まで制作されました。
そして1978公開作品から40年目の2018年、ユニバーサルとブルームハウスプロダクションは、シリーズ8作目でもなくリブートでもない【ハロウィン】(1978)の直接的な続編を作る事にしました。
【ハロウィン】(1978)の主人公だったジェイミー・リー・カーティスを再び迎え、マイケル・マイヤーズ役を演じたニコラス・チャールズ・キャッスルも同役に復帰したのです。
【ハロウィン】シリーズ及びタイムライン
- 【ハロウィン】(1978)
- 【ハロウィンⅡ】(1981)
- 【ハロウィンⅢ】(1982)
- 【ハロウィン4 ブギーマン復活】(1988)
- 【ハロウィン5 ブギーマン逆襲】(1989)
- 【ハロウィン6 最後の戦い】(1995)
- 【ハロウィンH20】(1998)
- 【ハロウィン・レザレクション】(2002)
- 【ハロウィン】(1978)
- 【ハロウィンH20】(1998)
- 【ハロウィン·レザレクション】(2002)
- 【ハロウィン】(1978)
- 【ハロウィンⅡ】(1981)とは連結のない単独続編:【ハロウィンⅢ】(1982)
- リブート映画:【ハロウィン】(2007)
- 【ハロウィンⅡ】(2009)
ジェイミー・リー・カーティス主演の新シリーズ
- 【ハロウィン】(1978)
- 【ハロウィン】(2018)
- 【ハロウィン KILLS】(2021)
- 【Halloween Ends】(2022)
新たに世界を席巻した伝説スラッシャームービー
歴代【ハロウィン】シリーズの中で最高の収益を記録した【ハロウィン KILLS】は、全米で公開最初の週に7,600万ドルという収益を上げ、スラッシャーの新しい歴史を作り出しました。
【チャイルド・プレイ】(1988)も再製作され、【キャンディマン】(1992)の直接的な続編ストーリーである【キャンディマン】(2021)、【ストレンジャー・シングス未知の世界】(2016)シリーズのショーン・レヴィ監督と【死霊館】(2013)シリーズのジェームズ・ワン監督が手を組んだNetfilx映画【サムワン・インサイド】(2021)が公開されるなど、黄金スラッシャー時代(80年代初めと90年代半ば)だったハリウッドホラー映画のトレンドが、もう一度リードする基盤を整えたのです。
2022年10月15日に全米公開予定の【Halloween Ends】を含め、【ハロウィン】シリーズは、ハリウッドの有名なスラッシャームービーの大作であることは間違いありません。
連続殺人鬼のマイケル・マイヤーズ
マイケル・マイヤーズ同様に、【13日の金曜日】(1980)シリーズのジェイソン・ボーヒーズと【エルム街の悪夢】(1986)シリーズのフレディ・クルーガーという連続殺人鬼も、スラッシャームービーに欠かせない人物です。
フレディ・クルーガーは赤と緑の横縞長袖シャツ、ジェイソン・ボーヒーズは仮面に黒のつなぎなど、彼ら特有の衣服が見られるように、マイケル・マイヤーズもまた青色の作業服と灰色の仮面という特徴があります。
また、精神病院に送られる前に家族と一緒に暮らしていたハドンフィールドがストーリーの主な舞台になるという点も似ており、何よりも無差別的な殺戮本能という言うまでもない共通点があります。
しかし、ジェイソン・ボーヒーズとフレディ・クルーガーには子供の頃の辛い思い出があるものの、マイケル・マイヤーズはそうではありません。
【ハロウィン】(1978)では、彼は中産階級の家に住んでおり、家族とも問題があるように見えません。
もちろん、隠された秘密があるかも知れませんが、現在では彼が殺人を犯す動機が見当たらないのです。
その為、マイケル・マイヤーズを恐怖そのものと表現されているのです。
彼は人間なのか。怪物なのか。それとも超能力者なのか。
ナイフで刺しても銃で撃っても、火をつけても死なない。
ーーー彼は本当に人なのかーーー?
マイケル・マイヤーズは、まるで【ハロウィン】が生んだターミネーターのような怪物です。
人間の姿をしているけれど、悪魔と考える方が辻褄が合うような気がします。
史上最大のホラー【ハロウィン】
本作では【ハロウィン】(1978)のオマージュを盛り込んだ素晴らしい作品でした。
【ハロウィン】(1978)で生存した複数のキャラクターを登場させたことや、村の情緒を込めようという意図はとても良かったです。
更に、殺人場面やその音楽は70-80年代をま受け継いでいるため、本物のスラッシャームービーだと感じさせてくれます。
前作より進化したストーリーにや演出、前作から続く気になる物語までの複合的な要素がシナジー効果を発揮し、なおかつ緊張感と恐怖感もバランス良く吹き込んでいるため、これこそまさに真のハロウィンだと言える作品になっています。
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