前作【ヴェノム】(2018)にて、一度は全てを失ったけれど再び記者として動き始めたトム・ハーディ演じるエディ・ブロックと宇宙外生命体・シンビオートのヴェノムの、前作を超えるヒット中の2作目。今回はヴェノムよりも「最悪」というカーネイジと戦うハメに。どうなるふたりの生活 !?
画像:「ヴェノム」公式サイト
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【ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ】あらすじ
宇宙からの共生体・シンビオートと共に生活を送るエディ・ブロック。
前作に比べてある程度ヴェノムとの共同生活には慣れたものの、ヴェノムの制御に振り回されていました。
そんな中、敏腕記者として舞い戻るために刑務所に収監されているシリアルキラー、クレタス・キャサディの取材へ行くことに。
ヴェノムの莫大な記憶力の助けもあって被害者の遺体を発見、保留になっていたクレタスの死刑を確定させました。
取材に再び向かうエディたちですが、クレタスの挑発を受けヴェノムが激怒、クレタスに掴みかかるというトラブルが発生し、せっかくの取材の機会が台無しになってしまいます。
この失敗を機にエディは遂にヴェノムと決裂してしまいケンカ勃発、ヴェノムはエディの身体から離れてしまいます。
そんな中、クレタスはエディの指に噛みついたことでシンビオートに感染していたようで、死刑執行中に覚醒してしまい……!?
公式が応援するふたりの生活や如何に?
モーションキャプチャーの第一人者であり、本作の監督であるアンディ・サーキスが「ふたりは【七年目の浮気】(1955)の倦怠期の夫婦のようだ」、エディ・ブロックを演じるトム・ハーディが「ある意味ふたりは結婚しているよ」(!)と発言しているとおり、前作ではエディを支配しよう、人間を乗り物扱いしようとしていたヴェノムですが、驚くほど地球とエディに馴染んだ模様。
食欲は相変わらずのようですが……。
予告にもありましたが、エディを思って料理を作ったりエディが気づかない部分に記者として使えそうな情報を覚えたりとなんだかんだ共同生活を送っています。
しかし、まだまだエディにとってヴェノムは手がかかる上にエイリアンということもあり秘密の存在です。
ところが、そんな生活もシリアルキラーであるクレタス・キャサディの取材をきっかけに、ヴェノムとエディは決裂!
大ゲンカの末、エディの身体から飛び出して家出してしまいます……。
本作はアクション映画でありつつも前作に比べ、まさしくロマンス映画の一面が大きく出てきていると感じました。
隠さずにいてほしい/お互いを思いやる
決裂してエディとの共生を止めたヴェノムですが、エディのようにぴったりと適合する人間に出会えず衰弱していきます。
そんな中たまたま迷い込んだ仮装パーティ会場で、ありのままの自分を出現させても仮装だと疑わない人間たちにテンションが上がるヴェノム。
世界的ラッパーであるリトル・シムズが出演しているこのシーンで、エイリアンだったとしても自分らしく生きていきたいとステージでマイクを奪って話し始め、パーティ参加者から喝采が送られています。
このシーンはコミカルな一方、LGBTQ+フレンドリーなサンフランシスコのポジティブな面を垣間見るシーンであり、ヴェノムとエディのクィア的関係の象徴でもあるのではないかと思います。
常識破りの存在をひた隠しにしたがるエディに対してのヴェノムの気持ちですね……せつない!
エディはエディでクレタス・キャサディ脱走の情報を聞きつつ、大殺戮「カーネイジ」を野放しにしていることに不安を覚え、自分の無力さをひしひしと感じることに。
ヴェノムが必要な彼は、元パートナーである弁護士・アンにヴェノムを探してくるように頼みますが、そのあとのやり取りのコミカルさに思わず笑ってしまうことまちがいなし。
ダン先生の魅力、ヴェノムとの絆
戦闘特化型ともいえるカーネイジとの戦いはヴェノムたちも押し負けてしまうほど。
もうだめだ、と言うヴェノムを「クレタスとカーネイジは真に共生できていない」と勇気づけるのは、あのアンの婚約者であるダン先生です。
この映画の見どころのひとつとも言えると思いますが、一番エディとヴェノムに振り回されているのはダン先生でしょう。
前作に引き続き、アンにもエディにも振り回されつつ、エイリアン同士の死闘が繰り広げられるであろう大聖堂にエディと同行するガッツがある人間です。ぜひ今後はアンと幸せになってほしいものです……。
さて、そんなダン先生やアンの助けもあって無事にカーネイジに勝つことができたヴェノムたち。
クレタスは最期に「きみと友達になりたかった」とエディに向けて言います。エディを産んで亡くなってしまった母、エディを毛嫌いしている父を持つエディは天涯孤独。
人生のどん底を味わいアンともうまくいかなかった彼の生い立ちが、虐待を受けて育ってきたクレタスには重ねって見えたのでしょう。
それに対して「すまない」と一言謝るエディに対し、ヴェノムは「馬鹿じゃねぇの」と言ったのちにクレタスの頭に喰らいついていました。
クレタスの言葉を一蹴りにするヴェノムのエディに対する愛情に注目です。
【ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ】まとめ・感想
性格の異なる2人が同居することで巻き起こるコメディ作品である【おかしな二人】(1968)を参考にしたとアンディ・サーキスが名言している通り、前作に比べてコメディ(ラブコメとも言える)要素がふんだんに散りばめられつつも、バディ・ムービーとしてしっかりとふたりの絆を描いている本作。
エンドクレジットではまさかのMCUバースに飛ばされていましたが今後の展開はいかほどに !?
ついにスパイダーマンと共闘する日がお目にかかれるのか!…と思いきや【スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム】(2022)にて再び本の世界へバーでお酒飲んでるだけで戻っていきました。
とある置き土産を置いて……。
マリガン刑事のこともありますし、今後もヴェノムシリーズはどうなっていくのか目が離せません。