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【オクジャ】あらすじとネタバレ考察。動物と少女の言葉を超えた絆の物語。

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【オクジャ】は2017年6月Netflixにて配信開始された映画。監督は【パラサイト 半地下の家族】で一躍有名になったポン・ジュノが監督を務めています。韓国とアメリカ合衆国の共同で作られた本作品はカンヌ映画祭でプレミア上映されて話題になりました。「パラサイト面白かった!」「風刺や毒のある考えさせられる映画が好き」という方にぜひ見てほしい作品です。

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【オクジャ】あらすじ

ミランド社が世界の食糧危機を救うために開催した、スーパーピッグのコンペティション。

【オクジャ】はそのために用意された特別な豚で、通常のサイズを遥かに超える迫力ある姿には、もはや豚ではない別の動物であるかのようでした。

オクジャは韓国の自然豊かな山の中で、10年間を少女ミジャと共に育ちました。

山の暮らしは決して豊かではありませんでしたが、ミジャとオクジャはお互いがいれば十分満たされていました。

ところがある日、オクジャはアメリカで開かれるコンペティションに参加するため、アメリカから科学者のウィルコックス博士がオクジャを迎えにきます。

ミジャがオクジャのアメリカ行きを悲しむと思った祖父は、彼女に金の豚を渡して我慢するよう伝えますが、ミジャはオクジャを追いかけてひとり山を飛び出してしまいました。

向かう先はミランダ社があるソウル。

山暮らしの少女の大冒険の物語がここからはじまります。

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【オクジャ】キャスト

ミジャ/アン・ソヒョン

韓国の山村で豚のオクジャと暮らしていた少女。

オクジャ役は、3歳でスクリーンデビューし勧告では”天才子役”と謳われるアン・ソヒョン。

【ハウスメイド】(2010)が出世作で、【オクジャ】は映画出演6作品目となります。

ルーシー、ナンシー・ミランド(双子)/ティルダ・スウィントン

ルーシーとナンシーはミランド社の現・元CEOの双子。

スーパービッグコンテストの混乱で、実権がルーシー(妹)からナンシー(姉)に移りました。

双子役は、映画【フィクサー】(2007)でアカデミー助演女優賞と英国アカデミー賞助演女優賞を受賞したティルダ・スウィントンが演じています。

ジェイ/ポール・ダノ

ALF(Animal Liberation Front)のリーダー。

ジャイ役は【ナイト&デイ】(2010)や【LOOPER/ルーパー】(2012)などに出演したポール・ダノ。

2022公開予定の映画【ザ・バットマン】では、スーパーヴィラン・ リドラー(エドワード・ナッシュトン)役を演じる。

ケイ/スティーヴン・ユァン

ALFのメンバーで、ミジャとの通訳担当したが嘘がばれてミランド社をクビになってしまいます。

ケイ役は【ウォーキング・デッド】シリーズのグレン役で知られるスティーヴン・ユアンが演じています。

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【オクジャ】ネタバレ

オクジャを狙う大人たち

オクジャを輸送するトラックを追いかけているのは、ミジャだけではありませんでした。

動物愛護団体ALFも、オクジャの存在を狙っていたのです。

ALFのリーダー・ジェイは、「オクジャに盗撮装置をとりつけて、ミランダ社の遺伝子操作のための秘密を暴くことを目的にしている」とミジャに伝えます。

しかし、通訳であるケイの意図的な嘘によって、ミジャはその作戦に同意を示したと見なされてしまったのです。

のちにケイは嘘がバレてALFを追放になります。

盗撮装置を取り付けられたオクジャは、予定通りニューヨークに移送されました。

オクジャを巡る人々それぞれの目的が交錯しあいながら、みなミランド社を目指していきます。

ALFによって世間からのイメージが下がったミランド社は、スーパーピッグソーセージの発売イベントを開催。

凱旋パレードを彷彿とさせる華やかな鼓笛隊の演出に合わせて、ミジャとオクジャの感動の再会の機会をつくりだし、民衆を味方につけようと考えたのです。

しかし、パレードにもALFの工作員が混ざっており、イメージアップどころかオクジャが受けた残虐な仕打ちが世に流れ、パレードは暴動と化しました。

オクジャを救うことに失敗したミジャとジェイを助けたのはALFを追放になったケイでした。

次にミジャ一行は、オクジャが運ばれた肉の解体工場を目指します。

そこは生き物としての生を終え、スーパーピックたちが食品として姿を変える場所でした。

ミジャが持ちかけた取引

オクジャが運ばれた広場にいたのは、無数のスーパーピッグたちでした。

スーパーピッグたちは順番に食品に加工されていく中で、ミジャは寸でのところでオクジャを見つけ出し、精肉工場に潜り込みます。

しかし、工場でミジャの前に立ちはだかったのはミランド社側であるナンシーでした。

オクジャを殺すよう指示するナンシーにミジャは取引を持ちかけます。

それは、祖父がくれた金の豚との交換でした。

ミジャはオクジャを金の豚で買い取ったのです。

田舎で暮らす共用語も話せない少女が、資本主義の権化であるルーシーに対等な策をねって勝利した瞬間でした。

こうしてオクジャとミジャは故郷に帰り、道中連れ帰った子豚とともに穏やかな日々を過ごすのです。

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【オクジャ】考察

「食べて生きる」ということ

ミジャとオクジャのことを可哀想だと思った人は多いと思います。

特にラストの精肉のシーンで、オクジャが助かるように祈ったことでしょう。

しかし、人間を含む”生き物”は他の生き物の命を頂いて今日も生きています。

ミランダ社は絶対悪ではなく、この世界の切り取り方によってはあれは日常のひとコマでもあるのです。

何が正しく、何が誤っているのかは見る人によって異なります。

ミジャはただ平穏に、オクジャと暮らしたかった。

ミジャの意思に反した大人たちが、エゴを含んだ正義を振りかざして悲劇を呼びました。

目的は違えど、ミランド社もALFもその点は同じです。

「食べて生きること」は、当たり前の行為なのです。

だからこそ、感謝を忘れずに食卓につくことが大切で、わたしたちにとっての日常や当たり前は誰かにとっては当たり前ではないことを認識しておく必要があるのだと強く感じました。

ポン・ジュノ監督のメッセージ

【オクジャ】は「パラサイトと共通する格差社会のモチーフが表れている」と称されています。

パラサイトで描かれていた「富裕層と貧民層」が交わっていく構図は、確かにオクジャに共通する点です。

ミランダ社とミジャの田舎が切り替わって物語が進んでいく見せ方にも見覚えがある方もいるはず。

特に、ミジャが共通言語を取得し、ナンシーをはじめとするミランダ社の文化で取引を持ちかけたのは、はじめ通訳のケイに騙されたミジャの成長でもあると考えられます。

笑える部分もありつつ、皮肉の効いた作風もポン・ジュノ監督らしさが溢れています。

オクジャの言葉

当然ながら、本来オクジャは豚ですから人間との意思疎通はできません。

しかし、オクジャとミジャが耳打ちをし合うことで意思の疎通ができるのではないかと考えさせられる場面が幾度か登場します。

2人だけの秘密の合言葉のようなやりとりは、いったい何だったのか。

--Trust me.

あくまで考察の範疇にはなりますが、お互いがそう語りかけているように見えました。

ふたりの全信頼の前には、大人たちですら太刀打ちできません。

ミジャとオクジャの「信じる力」は互いを強くし、試練を乗り越える糧となりました。

この言葉こそ、2人にぴったりな言葉だと感じています。

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【オクジャ】まとめ

複数のテーマから自身の生活についても深く考えさせられる映画【オクジャ】。

「パラサイト」がお好きな方にも是非観て欲しい作品です。

ミジャとオクジャの勇姿をぜひ見届けてください!

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