「啓示」キャスト情報とあらすじ。「新感染ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホが監督と脚本、「地獄が呼んでいる」のチェ・ギュソクが脚本を手掛けたサスペンス映画です。「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンが製作総指揮に参加したことでも話題を集めた注目作で、妄信的に神の啓示を信じる牧師と、妹の幻影に悩む刑事の人生が、1人の前科者によって交錯します。
作品情報
- 2025年/韓国/122分
- 原題:계시록
- 原作:啓示録(계시록)
- 監督:ヨン・サンホ
- 脚本:ヨン・サンホ、チェ・ギュソク
- 製作総指揮:アルフォンソ・キュアロン
- キャスト:
配信:
視聴ページ:https://www.netflix.com/title/81747556
あらすじ

小さな教会の牧師ソン・ミンチャン(リュ・ジュンヨル)は、妻と共に教会を切り盛りしながら一人息子を育てています。そんなある日、ミンチャンの息子ヨヌが行方不明になりました。
ヨヌは男に保育園から連れて行かれたとのことで、ミンチャンはある結論に至ります。それは、今日初めて教会に現れたクォン・ヤンレ(シン・ミンジェ)の仕業というもの。
というのも、ヤンレは信徒の女子中学生の後をつけてきたことに加え、足に電子足輪をつけており、前科者なのは明白でした。直ちにミンチャンは犯罪者名簿からヤンレの住所を調べ、その場所に向かいます。

すると、ちょうどヤンレがゴミ袋とシャベルを手に車へ乗り込むところで、ミンチャンはヤンレを追跡します。山奥まで車を走らせたところでヤンレに気づかれ、ミンチャンとヤンレは揉み合いになりました。
激しい揉み合いの末、ヤンレは足を滑らせ、大岩に頭を打ちつけます。ミンチャンが救急車を呼ぼうと携帯を取り出すと、妻からの電話が入り、ヨヌが友人宅にいたとのことでした。
妻の電話に胸を撫で下ろすミンチャンは、雷鳴が鳴り響く山に十字架を目撃します。またしても神の啓示だと確信し、ミンチャンはヤンレを崖から突き落としました。
その後、ミンチャンは奇跡的に生還したヤンレと再会しますが、神の啓示を信じてやまないミンチャンはヤンレを始末しようと躍起になっていました。こうして神の啓示を信じるミンチャンの行動はエスカレートしていきます。
そんなミンチャンの行動を、イ刑事(シン・ヒョンビン)は怪しんでいました。実は、イ刑事は妹を亡くしており、妹はヤンレの被害者で生き残ったものの後に自死していたのです。
妹の死に対する罪悪感と幻影に悩まされる刑事と、神の啓示を信じて過激な行動にでる牧師の運命が交錯していきます。
登場人物
ソン・ミンチャン役/リュ・ジュンヨル

演:リュ・ジュンヨル
牧師。開拓の使命を受け、地方の小さな都市で教会を運営しています。ある日、ヤンレという人物が自分の息子を誘拐した犯人だという神の啓示を受けました。犯人を断罪することこそが神の啓示だと信じてやみません。
イ・ヨニ役/シン・ヒョンビン

演:シン・ヒョンビン
刑事。過去に妹がクォン・ヤンレという男に誘拐され、何とか生き延びたものの、後に自死してしまいました。それ以来、妹の幻影に苦しんでおり、失踪事件の容疑者と疑われるヤンレと、怪しげな牧師ミンチャンの後を追います。
クォン・ヤンレ役/シン・ミンジェ

演:シン・ミンジェ
前科者。ミンチャンの教会の信徒である女子中学生を追って集会に参加します。その後、女子中学生が行方不明になったことから、誘拐犯の疑いをかけられます。
ネタバレ解説
神の啓示を信じる牧師と幻影に悩む刑事の物語
「啓示」は、「新感染ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホが監督と、「地獄が呼んでいる」のチェ・ギュソクと共に脚本を手掛けたサスペンス映画です。「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンが、製作総指揮に参加したことでも話題を集めました。
これにはヨン・サンホ監督も大喜びだったようで、自分が映画を作る上で最も大きなインスピレーションを受けたアルフォンソ・キュアロン監督と制作を進めていけることに興奮したと胸の内を明かしました。
原作は、ヨン・サンホとチェ・ギュソクが共に製作した同名のウェブトゥーン(ウェブ漫画)。ストーリーをヨン・サンホが、作画をチェ・ギュソクが担当しました。現実と超自然的な要素を融合させ、人間の本質的な部分や社会的なメッセージを色濃く描いた作品となっています。
そうした原作漫画の強いメッセージ性は映画にも引き継がれ、映像ならではのカメラワークや音楽がより物語に深みを増します。神の啓示を信じてやまない牧師ソン・ミンチャンと、妹の幻影に悩む刑事イ・ヨニの人生が、前科者クォン・ヤンレを通じて交錯していき、それぞれの正義が見どころのひとつと言えるでしょう。
正義と妄信は紙一重

牧師のミンチャンは神を信じるが故に、小さな変化も神の啓示だと考えます。そのため、最初から証拠もなしにヤンレを罪人だと断定し、ヤンレを殺害しようとしました。
対するヤンレは、虐待を受けながら育つという過酷な家庭環境だったにしろ、悪事を働くのは怪物だと主張しました。いずれせよ自分が犯した罪には変わりないのに、どこか他人事なのは本当に怪物のせいだと信じているからなのかもしれません。
そして、イ刑事は自死した妹のことを引きずっており、ずっと妹が亡くなったのは自分のせいだと考えてきました。そうした罪悪感が妹の幻影を見せていることも理解しています。
この3人に共通するのは、悲劇の原因を1つの対象だけに求めようとすること。ミンチャンの神の啓示、ヤンレの怪物、イ刑事の自分のせいにするのも、それぞれ違うようでみんな同じなのです。
作中でもヤンレの精神分析を行なった医者は、人間は都合よく作り出した悪魔や怪物という虚像に原因を求めることを指摘していました。また、この世の悲劇は、ほとんどが個人の力の及ばない複雑な原因で起こるとも断言しました。
確かにミンチャンは自分の力の及ばないこと、偶然起きたことを偶然とは思わず、全ての出来事を必然/神の啓示と考えています。それが人道として正しいことなら何も問題はないのですが、ヤンレのように罪人と決めつけて自ら裁きを下すのは行き過ぎています。
もうこの時点でミンチャンの行動は正義ではなく、神に仕える牧師が”神の啓示”という名目で悪事を働いているだけ。しかし、盲信的に神を信じるミンチャンは、それに気付けず、自分は正義のために動いていると思い込んでしまっています。
ただ、最後にイ刑事との面会を終え、独房に戻ったミンチャンは壁のシミを雑巾で拭きながら涙を流しました。ミンチャンにはそのシミが神の姿に見えたようで、泣き笑いながら壁を拭いていました。
このミンチャンの涙は、自分が神に盲信的になりすぎて過ちを犯したことに気づいたからだとしたら、少し切なさもあります。3人の中で唯一イ刑事だけが情に流されることなく、理性を持った行動に出たのが対照的で、印象に残りました。人間誰しもがいつ間違えてもおかしくない正義の線引きについて、深く考えさせられる物語です。
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