【イントルージョン/侵入】夢のマイホームには夫の恐ろしい真実が隠されていた。

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映画【イントルージョン/侵入】は2021年に公開されたNetfilxのホラースリラー映画。夫が設計した田舎の閑静なマイホームに引っ越した夫婦の幸せな毎日が崩れていく様を描いています。ホラージャンルに分類されている本作は、幽霊系のホラー映画より現実的恐怖を感じさせる心理ミステリーになっています。

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あらすじ

精神科医のミーラ(フリーダ・ピント)は、夫で設計士のヘンリー(ローガン・マーシャル=グリーン)と大都市ボストンで暮らしていました。

そんな中、マイホームで住むという長年の夢が叶い、カレリスという小さな村にヘンリーが設計した家に引っ越す事になります。

ミーラは、かつて癌と診断された時に支えてくれたヘンリーに感謝しており、精神的にも肉体的にも頼りにしていました。

ある日、ミーラとヘンリーが外出していた時に何者かが自宅に侵入し、家の中がめちゃくちゃに荒らされていました。

携帯電話2台とノートパソコンを盗まれたため警察に通報します。

刑事(デヴィッド·デラオ)から「何故防犯カメラは設置していないのか」と尋ねられたヘンリーは、刑事が去ったあと防犯カメラを設置し、位置追跡をスマホにダウンロードしてミーラにプレゼントしました。

その日の夜、停電になったためヘンリーが外にでた隙に、部屋にいたミーラは何者かに襲われ縛られてしまいます。

戻ってきたヘンリーが倒れているミーラを見つけ、2人で逃げ出そうとしましたが覆面を被った侵入者に見つかってしまいました。

ヘンリーはミーラに逃げるよう車のキーを渡すと隠していた銃を取り出し、逃げ出した侵入者3人のうちの1人を撃ちます。

その現場を目撃したミーラは、家に銃があったとは知らず大きな衝撃を受けました。

翌日、訪ねて来た刑事から侵入者が貧民街のイーグルポントに住んでいるディラン(マーク・シヴァーツェン)、コルビー(ブランドン・フィエロ)、ポール(アントニオ・バレス)の3兄弟であり、ヘンリーが撃ったのはディランとい男とのことでした。

ディランはセントメアリー病院の集中治療室に入院しており、これから捜査すると伝えられます。

さらに、刑事の話ではディランの娘クリスティーン(ミーガン・エリザベス・ケリー)が、現在も行方不明とのことでした。

その日の夕方、ヘンリーは引っ越しパーティの買い物をするため車で出かけ、ミーラは自宅で料理を作っていました。

すると、ミーラはヘンリーが財布を忘れていることに気づき彼に電話しましたが、携帯が繋がらなかったため別の車でヘンリーを追い掛けます。

ミーラはヘンリーの車に追いつきましたが、彼は店ではなくなぜかセントメアリー病院に向かっていたのです。

不審に思ったミーラはそのままヘンリーを尾行していましたが、その途中で交通事故に遭ってしまい….。

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監督と出演者

アダム・サルキー監督

Photo by subliminal_G / https://www.flickr.com/photos/65271598@N06/21394119880/

”アダム・サルキー”について:アメリカ出身の監督兼プロデューサー。

1997-2001年までエモリー大学でクリエイティブライティングBA、2003-2008年にはコロンビア大学大学院芸術映画研究科で美術学修士号を学びました。

2003-2008年にコロンビア大学で、美術学修士号と映画監督の教育を受け、【Sometimes the Neighbor】(2003)で短編映画の監督デビューを飾ります。

【Dare】(2005)、【 I Smile Back】(2015)で、2度のサンダンス映画祭ドラマチック部門大賞候補にノミネートされました。

代表作:【Dare】(2009)、【We Want You】(2010)、【Blindspot】(2017-2018)、新作【The Ceremony】など。

ミーラ・パーソンズ

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登場人物:精神科医でヘンリーの妻。侵入者の一件でトラウマを抱えるようになりますが、サポートしてくれた夫に深い信頼感を持っています。

キャスト:フリーダ・ピント

出演作:【恋のロンドン狂騒曲】(2010)、【Miral】(2010)、【猿の惑星:創世記】(2011)、【トリシュナ】(2011)、【Immortals】(2011)、【Desert Dancer】(2014)、【聖杯たちの騎士】(2015)、【Guerrilla】(2017)、【モーグリ:ジャングルの伝説】(2018)、【ラブ、ウェディング、リピート】(2020)、【ヒルビリー・エレジー郷愁の哀歌】(2020)、【Needle in a Timestack】(2021)など。

”フリーダ・ピント”について:1984年10月18日生まれ、西インドのマハーラーシュトラ州ムンバイ出身の女優・モデル。

幼い頃から女優になる夢を持ちながら、セントザビエル大学で教育を受けました。

卒業後の2005年、モデルとしてのキャリアをスタートさせ、リグレーのチューインガム、シュコダ、ボーダフォンインド、バールティー・エアテル、デビアスなどの製品のテレビCMに出演。

その後、映画やTV番組のオーディションを受け、2006年から2008年にかけて”Zee International Asia Pacific”で放送された国際旅行番組”Full Circle”の司会者に選ばれました。

映画界では、インドの作家ヴィカス・スワラップの小説”Q&A”(2005)を脚色した【スラムドッグ$ミリオネア】(2008)で注目を集め、全米映画俳優組合賞アンサンブル演技賞、パームスプリングス国際映画祭でMTV映画賞最優秀ブレイクスルー演技賞を受賞しました。

映画活動と共に人道主義的活動を促進しながら、女性のエンパワーメントについて声高に語っています。

ヘンリー・パーソンズ

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登場人物:建築設計士でミーラの夫。癌になったミーラが完治した後も、彼女をずっと支える良き夫。

キャスト:ローガン・マーシャル=グリーン

出演作:【プロメテウス】(2012)、【スパイダーマン:ホームカミング】(2017)、【アップグレード】(2018)ほか。

”ローガン・マーシャル=グリーン”について:1976年11月1日生まれ、アメリカ/サウスカロライナ州チャールストン出身ロードアイランド州クランストンで育ち。彼の母親であるローリー·マーシャルは、ブラウン大学でレパートリー演劇学部の芸術監督をしている母の指導もとで演劇を学びました。その後コネチカット州ウォーターフォードの国立演劇研究所で、ニューヨーク大学大学院演技プログラムの芸術修士号を取得。

【LAW&ORDER:性犯罪特捜班】(2003)と【LAW&ORDER】(2004)の出演で俳優としてのキャリアをスタートさせ、【The O.C.】(2005)や【24 -TWENTY FOUR-】(2005)では準レギュラーとして出演しました。

2004年、Neil LaButeの演劇舞台”The Distance from Here”で、ドラマ・デスク・アワードを受賞し、ジェームズ・ラパイン監督、ケビン・クライン主演の舞台”リア王”(2007)でエドモンド役を演じ、ドラマリーグ優秀演技賞にノミネートされました。

マーベルコミック原作の映画【スパイダーマン:ホームカミング】(2017)ではジャクソン・ブライス/ショッカー役を、SF映画【アップグレード】(2018)ではグレイ・トレイス役を熱演し知名度を上げます。

また、2019年3月公開のイーサン・ホーク主演映画【ハイウェイの彼方に】(2019)では、脚本・監督デビューしました。

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本作の新鮮な演出

登場人物が設計した家には無条件秘密の空間があり、その空間が犯罪に利用されるというのは、アメリカ映画の特徴のひとつとなっています。

数多くのスリラー映画を鑑賞された方であれば、”登場人物が設計した家”というキーワードで物語を予測した方もいるかと思われます。

しかし、癌で苦しんでいた妻を献身的にサポートしていた夫と、その優しい夫に依存するようになった妻という人物構図や、侵入者から逃げ隠れするなど緊張感あるスリラー要素はとても良かったです。

幸せな生活を送っていたパートナーが犯罪者という恐怖感や絶望感までもがリアルに伝わり、身の毛がよだちます。

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ヘンリーはなぜ少女を誘拐したのか?

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ヘンリーは、癌と闘う妻を献身的に支え、完治した後もそれは変わらない理想的な夫でしたが、何が原因で犯罪行為に走ったのかは謎のままでした。

監禁した事を知られたミーラに、ヘンリーは泣きながら「癌だった君をずっと支えて来た。次は君が俺を支えて欲しい」と話したシーンがありました。

この言葉から察するに、ヘンリーは心の病を抱えていたのかもしれません。

  • 職業柄、家に引きこもって仕事をする。
  • ミーラが癌で入院していた時に、会話する相手がいなかった。

独りの時間を過ごしていくうちに自分の中に闇が生まれ、自分でも自分を抑える事が出来なかったのでしょう。

彼は自分が病だという事を誰にも言う事なく苦しみぬいた末、誰かを監禁してでも近くに置いておくことで安心感を得ようとしていたのかもしれません。

人は生きていく上で、傷つけたり傷つけられたりすることもあり、時にはそれが取り返しのつかない状況になることもあるでしょう。

なかには、愛する想いから生じた執着心や嫉妬心などから行き過ぎた愛情が生まれることもあります。

相手に配慮しつつ愛を伝えることは大事ですが、自分を捨ててまで愛に執着することは相手にとっても自分にとっても悲しい結末を迎えてしまうことにもなりかねません。

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本当の幸せとは??

実は、行方不明になっていた少女(ディランの娘)が、ミーラの家の地下室に監禁されていたのですが、この事実を知ったミーラは混乱と罪悪感に襲われていました。

ミーラは、「優しく献身的な夫がまさか……」という衝撃を受けます。

知る事のなかった真実があるとすれば、知った方が良いのか、それとも真実を知らない方が良いのか

真実を知らないからこそ幸せになれることがある反面、真実を知ったからこそ幸せになれることもあります。

今回、ミーラは真実を知ったからこそ失った物も大きかったのですが、誰かを救う事ができると同時に、未来を見つめて一歩進み出すこともできましたが、誰にでも隠したいことや知られたくないことはあるはず。

そして、それは必ずしもそうとは限りませんが、もしかしたらこの世に存在する真実とはある意味、恐ろしいものなのかもしれません。

そして、心理と精神の専門家で有能な精神科医のミーラでさえ、ヘンリーの本性を見抜く事が出来ませんでした

それは、何故なのか。

ヘンリーの言葉のトリックに掛かっていたからです。

ヘンリーは言葉が達者と言うこともありますが、何よりミーラはヘンリーを愛しすぎていたため疑うという選択肢がありませんでした。

”何をしていてもお互いが愛し合っていれば問題ない”というミーラの思考は、とても恐ろしく感じました。

最後、「犠牲を払ってまで君の面倒を見たのに、俺を捨てるのは愛じゃないだろ」と言うヘンリーの言葉は、果たしてそれは本当の愛なのか??と考えさせられるシーンでもありました。

【イントルージョン/侵入】夢のマイホームには、夫の真実が隠されていた

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