【花束みたいな恋をした】あらすじと見どころ。これはきっと、私たちの物語。

花束みたいな恋をした
©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

2021年公開の映画【花束みたいな恋をした】。その月の第5週公開映画の初日満足度映画ランキングの1位に輝いたこの作品は、惹かれ合う2人の等身大の恋愛を描いている。脚本は【東京ラブストーリー】や【カルテット】で有名な坂元祐二。2020年の東京を舞台にカルチャーで彩られたふたりの5年間は花束のように美しく儚い時間だったーー。

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【花束みたいな恋をした】あらすじ

京王線の明大前駅で、終電を逃したことをきっかけに出逢った大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。

音楽や映画をはじめとしたカルチャーに陶酔する共通点を運命に感じたふたりは、瞬く間に恋に落ちます。

大学を卒業してささやかな同棲をはじめた絹と麦の幸せな日常はどこまでも温かく、いつまでも続くはずでした。

就活、喧嘩、思い出の場所、一緒に拾った猫、ふたりであるいた駅からの帰り道--。

あるようでなかった、等身大の恋人たちの別れまでの5年間をテーマにした物語を、ドラマ【東京ラブストーリー】(1991)【カルテット】(2017)の脚本家、坂本裕二が甘く切なく描きます。

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キャスト

有村架純

有村架純は1993年生まれ、兵庫県伊丹市出身の女優です。

【あまちゃん】(2013)【失恋ショコラティエ】(2014)などの有名ドラマや、映画【ビリギャル】(2015)や【何者】(2016)、その他CMにも数多く出演しています。

本作では、厳格な親の元で育てられ、賢くも芯のある麦の恋人・の役を演じています。

菅田将暉

菅田将暉は1993年生まれ、大阪府箕面市出身の俳優です。

【溺れるナイフ】(2016)や【帝一の國】(2017)をはじめとする数々の映画やドラマに出演し、近年は歌手としても幅広く活動しています。

本作では、恋人である絹を真っ直ぐに愛しながらも自分の生き方を模索する青年・の役を演じています。

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【花束みたいな恋をした】見どころ・感想

主題歌

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【花束みたいな恋をした】にまつわる曲で、予告を含め観た人の心を大きく掴んだのは、Awesome City Clubの「勿忘」。

この曲は【花束みたいな恋をした】の主題歌ではなく、インスパイアソングとして取り上げられています。

映画を観終わった後、改めて「勿忘」の歌詞を見ると、花束というキーワードをはじめ作中のふたりが思い起こされる内容にも捉えられるのもポイントです。

エンドロールや劇中歌でないにも関わらずYoutubeの再生回数は1000万回を超え、作品に負けず劣らず人々に大きな影響を与えました。

Awesome City Clubの【アウトサイダー】【ダンシングファイター】など別の楽曲が劇中歌として使われている場面も多々あるので必見です。

主題歌ではなく、インスパイアソングという形を取ったのは映画のメッセージ性を壊さず、自由に映画の内容を考察できるように、あえて主題歌以外の形を選んだのかもしれません。

インスパイアソングとはまた別ですが、劇中で絹と麦がきのこ帝国の【クロノスタシス】をデュエットするシーンも一時話題となりました。

登場する実在する作品の数々

映画【花束みたいな恋をした】には、多くのポップカルチャーが登場します。

本や音楽や映画を愛し、世界観に浸る麦と絹の姿に自分を重ねた人もいるのではないでしょうか。

たとえば、今村夏子さんの【ピクニック】をはじめとする数々の小説や【ゴールデンカムイ】や【宝石の国】などの漫画作品も登場します。

麦はガスタンクへの愛を語り、絹はミイラ展に心躍らせます。

2020年の東京を舞台にしているだけあって、作中で挙げられるコンテンツの名前にピンと来る場面も多くありました。

絹と麦はカルチャーに浸かりながら、反対にカルチャーに疎い人々を見下していました。

押井守が誰だかわからず、魔女の宅急便の実写化を嬉々として語る人に向けた麦の冷たい視線をどう受け止めるかは、観る人が“どちらの側に”いるかを試しているようにも受け取れる場面です。

共感性の高いストーリー

「これはきっと、私たちの物語」とキャッチコピーがつけられているほど、映画【花束みたいな恋をした】は観る人にとって共感性の高いストーリーです。

しかし、実は誰のどこに共感するかのポイントはさまざまで、この映画を観た後に多くの考察が世に生み出されているのも、【花束みたいな恋をした】の人間味ある複雑なシナリオのひとつの魅力です。

タイトルがなぜ『花束みたいな恋』なのかも合わせて考えてみると面白いかもしれません。

麦と絹の5年間の思い出と別れが響く人もいるでしょうし、それぞれの結婚や仕事に対する価値観に共感する人も居るでしょう。

好きなことを仕事にすること、好きな人を守るために好きじゃない仕事をすること。

ふたつに優劣は絶対にないけれど、向き不向きだけは存在します。

実は仕事を選んでいるように見えて、仕事ではない守りたいものが何かを問われるのが仕事選びの本質なのかもしれません。

作中で例えると、麦が営業をしながら絵を書き続けていたら未来はまた違ったかもしれませんし、絹の職場環境がもっと厳しかったらどうなっていたでしょう。

カルチャーの世界にどっぷり浸かったふたりが、最終的に世間にどのように適応していくのかも見どころです。

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「大衆向け恋愛映画」が苦手な人にこそ観てほしい作品

「菅田将暉と有村架純が主演の恋愛映画」と聞き、さらに【花束みたいな恋をした】に対して身構えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、そんな方にこそ本作を見て欲しいと強く思います。

理由は【花束みたいな恋をした】は、世間一般が好きなものを、好きになれない人たちにこそ届けられるように作られた映画だからです。

普通であること、個性的であること、誰かと生きるということ、誰かと道を分かつということ。

【花束みたいな恋をした】は、人生を記した映画でもあるので、「大衆向け恋愛映画」が苦手な人にこそ観てほしい作品です。

ぜひ一度、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会
公式サイト