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【ドント・ウォーリー】心配ないよ、世界は優しさで溢れている。車椅子の風刺漫画家の半生を描く。

ドントウォーリー
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映画【ドント・ウォーリー】のネタバレと感想

お酒に溺れて交通事故に遭い、車いす生活となってしまった主人公キャラハン。

一度は自暴自棄となったキャラハンが、あることをきっかけに風刺漫画家として第2の人生をスタートすることになります。

実在したジョン・キャラハンの半生を描いた【ドント・ウォーリー】の見どころと感想をお伝えします。

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【ドント・ウォーリー】作品情報

【製作】

2018年 アメリカ

【原題】

Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot

【監督】

ガス・バン・サント

【キャスト】

ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック、マーク・ウェバー、ウド・キア、キャリー・ブラウンスタイン、ベス・ディットー、キム・ゴードン、他

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【ドント・ウォーリー】あらすじ

アメリカのオレゴン州ポートランドで生まれ育ったキャラハン(ホアキン・フェニックス)は、毎日浴びるように酒を飲む日々を送っていました。

朝から煙草を吸いながら酒を買いに行き、夜は親友のデクスター(ジャック・ブラック)とバーを回り飲み歩くような毎日。

ある日、いつものように何軒かバーをはしごした後、デクスターの運転する車に乗っていたキャラハン。

飲酒運転していたデクスターが誤って電柱に激突し、2人は救急車で搬送される事態になったのです。

幸いデクスターはかすり傷ですぐに退院することができましたが、キャラハンは一命は取り留めたものの、手以外の全身が麻痺してしまうという重傷を負ってしまいました。

リハビリ訓練を受け、電動車いすで退院したキャラハンですが、ヘルパーの手を借りなければ生活していけません。

お酒が原因で車いす生活になったにも関わらず、アルコール依存症から抜け出せずに、事故の前とかわらずアルコールを一時も手放すことができないキャラハンは、酒瓶を抱えますます自暴自棄となっていきます。

そんなある日、キャラハンは介護してくれているティムに連れられて、ドニー(ジョナ・ヒル)が主催している断酒会に参加します。

その会合で、アルコール依存症の人達と出会い、お互いの体験を話し合ったりして友情を深めるも、なかなか酒を止めることができずにいたのです。

寂しさと同時に何かを感じたキャラハンは、ドニーに支えられながらアルコールを絶つ決心をし、同時に一コマ漫画を描き始めました。

しかしそれは、キャラハンにとって第2の人生の始まりとなるのです。

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【ドント・ウォーリー】のネタバレと見どころ

少年たちとの交流

【ウルフ・オブ・ウォールストリート】実業家ジョーダン・ベルフォートの実話に基づいたコメディ。

電動車いすを猛スピードで飛ばしまくって移動するキャラハンは、何度も車いすを壊していました。

ある日、大雨の中で車いすが壊れてしまったキャラハンは、通りすがりの人に助けてもらいながら身障者センターに助けを求めます。

しかし、電話に出た担当者はあまりに頻繁に車いすを壊すキャラハンにイラつき、人員削減で助けには行けないと冷たく電話を切ってしまったのです。

一方、ある日は相変わらず猛スピードで走らせていた車いすが、段差でバランスを失い転倒。

キャラハンは道路に投げ出されてしまいます。

するとそこにスケボーに乗った少年たちが通りかかり、みんなで抱えて車いすに乗せてくれました。

乗せ終わったところで、ストーマ(人工肛門)のチューブが外れ、汚物が漏れていることに気づいた少年たち。

「なんか臭いぞ!」「くっせぇ!」とざわつくのですが、「大丈夫、管を差し込んで」というキャラハンの指示に、言われる通り何のためらいもなく処置してあげます。

しかも、そんなことよりキャラハンの描いた漫画に興味深々。

キャラハンと街の少年たちとの交流シーンは、それほど長いカットではありませんが、一番最後のカットと合わせて2度登場します。

少年たちの純粋な姿に心がほっこりとなること間違いなしです。

賛否両論の風刺画

キャラハンの描く風刺漫画は、大笑いで見る人、露骨に嫌悪感を表す人と賛否両論です。

内容はかなりブラックなので、道行く人に罵声を浴びせられる場面もありました。

日本人から見ると、アメリカンブラックジョーク的な内容で、イマイチ理解するのが難しいものもあります。

しかし、いくら非難されても、自分の信念を曲げずに描き続けたキャラハンの強い意志を、漫画を通じて感じる事ができました。

怒りを乗り越えた先に見えたもの

ドニーは、キャラハンの心の闇を取り除く重要な人物です。

人生について語り合ったキャラハンは、次第にドニーにだけ自分の心の中に封じ込めていた怒りを吐き出しました。

ケースワーカーへの怒り、デクスターへの怒り、養父への怒り、自分を捨てた母への怒り……。

ドニーは、それを受け入れて全てを許すことを薦めました。

葛藤しながらも、今までに迷惑をかけた人たちの元を訪れて謝り、和解していくキャラハン。

そして最後に、あの晩デクスターと車に乗った自分を許すことができた時、キャラハンは次へのステップに進めたのでした。

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ミニ情報

ロビン・ウィリアムの遺志を継いで

この映画は、2014年に亡くなった名俳優ロビン・ウィリアムが映画化に向けて構想していた作品です。

ジョンの漫画をとても気に入りずっと愛読していたロビン。

【グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち】(1998)が公開された頃から、監督ガス・バン・サントと映画の構想について相談していたそうです。

ロビンの死後、ヴァン・サントは映画化に向かて動き出し、ホアキン・ファニックスがロビンの遺志を継いでキャラハン役を演じました。

【ドント・ウォーリー】は、企画から完成まで、まさに20年もの年月を費やしできた作品なのです。

59歳で生涯の幕を閉じたキャラハン

1951年、アメリカのオレゴン州ポートランドで生まれたキャラハンは、映画でも映し出されていたように、幼くして養子に出されました。

5人の兄弟の中で育ち、8歳の時学校の女性教師に性的虐待を受け、その痛みを忘れるために12歳から飲酒を始めたようです。

交通事故で脊椎損傷という大きなダメージを負った彼は、ますます酒に溺れるようになるも、27歳で飲酒をやめることになります。

漫画家として活躍するようになったキャラハンは、障がい者のために精力的に活動していきました。

車いすをすごいスピードで走らせる姿は、街でも有名だったそう。

しかし、慢性床ずれの手術後、四肢麻痺と呼吸器系の合併症により2010年7月24日に亡くなりました。

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【ドント・ウォーリー】感想

マイノリティになってからのキャラハンの成長。

ドント・ウォーリーは「心配しないで」という意味があります。

悩みも苦しみも、多かれ少なかれみんな抱えている問題ですが、それに対して自分がどう向き合うかが大切だと感じました。

相手を許すことで、自分自身も苦しみから解き放たれるのですね。

ホアキン・フェニックスの魂がこもった演技に惹きつけられました。

ロビン・ウィリアムズの事を予備知識として知ったうえで見たので、ホアキンにロビンの姿が重なり、更に胸が熱くなりました。

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