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【クラシック・ホラー・ストーリー】ネタバレと考察。悪魔がいるとすればそれは人間である。

© Netflix. All Rights Reserved.

Writer:ocean yacht
Introduction

Netflixオリジナル映画【クラシック・ホラー・ストーリー】は、イタリアのホラー映画。ある男女5人が、迷ってしまった神秘的な森の中に孤立された家で足止めされ、その中に邪悪な悪魔がいる事に気付いた彼らが生き残る為に立ち向かう姿を描いています。

© Netflix. All Rights Reserved.

Production

公開:2021年 イタリア

原題:A Classic Horror Story

監督:ロベルト・デ・フェオ、パオロ・ストリッポリ

キャスト:マチルダ・ルッツ、フランチェスコ・ルッソ、ペッピーノ・マゾッタ、ユリア・ソボル

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あらすじ​

中絶手術を翌日に控えたエリサ(マチルダ・ルッツ)は、休暇を使って両親に会いに行く為、相乗りアプリで予約したカラブリア方面行きのキャンピングカーに乗りました。

そこで出会ったのは、自動車の持ち主で運転手のファブリツィオ(フランチェスコ・ルッソ)、ソフィア(ユリア・ソボル)とマーク(ウィル・メリック)のカップル、医師のリカルド(ペッピーノ・マツォッタ)の4人。

ところが、予想外の事故が発生し全員が気を失ってしまいます。

全員が気を取り戻した時、見知らぬ森の中にいました。

一体どうやって、ここに来る事になったのか。

まずは、抜け道を探らなければならず……。

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本作の見所

この映画は、あらゆるホラー映画のオマージュを利用しながらも、新鮮なストーリーを付け加えており、これから起こる出来事についての想像力を高めてくれる部分が注目すべきポイント。

序盤からよくある米国のホラー映画のように物語が始まり、徐々にオカルトと残酷なシーンが入り混じった場面に入ります。

目をくり抜いたり耳を切ったりするなどの残酷的なシーンがある為、そのようなタイプが好きなファンは楽しめるでしょう。

ただ、残酷性が激しいかと言えばそうでもないので、グロテスクなシーンが苦手な人でも心配はありません。

さらに、昭和時代のようなサイズの画面にクラシック的ホラーの要素が含まれており、次々と事件が発生していく中、予想外などんでん返しが起こるのも最大の見所です。

イタリア映画ですが、イタリア語の台詞を除いてはハリウッド映画との異質感が殆どありませんでした。

ヨーロッパ映画特有の妙なもどかしさがない上に、赤い照明を使った映像色素、奇妙な雰囲気の儀式はヨーロッパの感性を巧妙に引き出しています。

そして、ホラー映画ながらも、真っ昼間に野外で軽快なアコーディオン伴奏に合わせて、歌を聞きながら長い食卓の前に狂信徒達が食事する場面、エリサが泣くのを見てファブリツィオが泣く真似をする場面、奇形のような顔をした男の子を出していた場面は、【ミッドサマー】(2019)を連想させ、藁人形の出現には【ウィッカーマン】(1973/2006)を連想させました。

それだけではなく、5人の一行と森の中に孤立した小屋が背景である点で、【キャビン】(2013)、マークの目を刺殺するシーンでは、【ソウ】(2004)など、様々なホラー映画のオマージュにクラシック要素の演出を上手く組み合わせています。

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監督と出演者

監督

【クラシック·ホラー·ストーリー】の監督を務めたのは、本作で長編デビューを飾った【The Nest】(2019) のロベルト·デ·ペオと、【Piove】のパオロ·ストリポリです。

エリサ役/マチルダ・ルッツ

エリサ役は、【REVENGE リベンジ】(2018)、【ザ·リング リバース】(2018)などのホラー映画で主演し、ハリウッドの次世代ホラークイーンに挙げられたマチルダ・ルッツ。

マチルダ・ルッツは、1995年生でイタリア北部ミラノ出身の映画女優であり、デビュー作は2012年の映画【Azzurrina】です。

主な作品では、【REVENGE リベンジ】(2018)、【ザ·リング リバース】(2018)、【ゾーン414】(2021)、【ファイナル·カット】(2022)など。

近年ではハリウッド映画でも活躍しています。

ファブリツィオ役/フランチェスコ・ルッソ

狂った悪役ファブリツィオ役を演じたのは【Tuttapposto】(2019)、【Piove】で知られているフランチェスコ・ルッソ。

フランチェスコ・ルッソは、1964年4月5日、スイスのアールガウ州ゾフィンゲンで生まれた俳優で、本作の監督の1人であるパオロ·ストリポリとは、ホラー映画【Piove】でも一緒に仕事をしています。

他、本作ではペッピーノ・マゾッタ、ユリア・ソボル、ウィル・メリック、アリダ・バルダリ・カラブリア、クリスティーナ・ドナディオなども出演しています。

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間違った欲望と伏線

本作の主犯には、ファブリツィオの他にも、犯罪組織マフィア<ンドランゲタ>の一員で、赤い服を着ていた女性がいましたが、彼女こそファブリツィオの母親であり、マフィアのボスです。

ンドランゲタとは、イタリア・カラブリア州を拠点とした実在する犯罪組織。死体や臓器売買などの様々な裏ビジネスで莫大な富を得ている四大マフィアの一つ。

集団で殺人を撮影した理由は、BLOODFLIXという動画サイトで映画を流す事によって、そこで得た利益がマフィアに流れていく仕組みになっていたからでしょう。

本作で、映画撮影におけるキャストの控え室や小道具置き場の様子から、ハリウッド映画を夢見る映画制作者の行き過ぎた欲望から儀式を利用しての殺人が行われたのです。

このように狂った映画制作者のファブリツィオは、殺人をカメラに収め、あたかも本物であるかのようなリアリティ映像を放送する事で、大勢の観客の人気を集めようと計画していました。

フィクション映画を作るにあたり、本物に近いホラー映画を作りたいという思いは誰しもが抱く感情である事は否めないでしょう。

しかし、本作でのファブリツィオの行為からは、映画が好きで観客に素晴らしい映画を見せたい思いはあるものの、多くを犠牲にしてまで映画制作するという事自体、自分の事しか考えていません。

それこそ、間違った道を歩んでいる彼の愚かさであり、ファブリツィオが映画制作に向かない理由が本作でハッキリと現れています。

また、序盤にマークが見た、”ンドランゲタに女性が拉致された”という新聞記事が、この映画の伏線になっていました。

つまり、新聞に載っていた女性がオープニングで惨殺された人物でしょう。

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映画が伝えるメッセージ

新聞記事に記載されていた、行方不明の家族に対する物語が印象に残ります。

まるで、エリサ一行を待っていたかのように佇んでいた小さな小屋。

そこでエリサたちは衝撃的な狂信徒達に遭遇して危機が訪れます。

それを避ける為に屋根裏部屋に上がった場面で、閉じ込められていた一人の子供を救出しました。

恐らく、行方不明の家族の子供だったのでしょう。

彼らに舌を奪われて口も聞けない苦痛な状況の中で、子供はエリサに懐きます。

インターンの仕事の為、出産が出来ない状況から我が子を消そうと決意したエリサと保護者が必要な子供。

この二人が出会った瞬間、”希望”という期待感がありました。

結局、裏切りという形で悲しい結末を迎えてしまいますが、エリサと子供の出会いは意味のないものではありませんでした。

子供を消そうとしていたエリサと、自分を求める子供との出会いは、彼女に命の尊さを伝えるメッセージでもあったのです。

そしてラスト。

エリサが海の中で自分の身体を抱き締めていたのは、彼女が命の大切さに気付き子供を産む決心をしたという証。

冒頭から親子の愛情について触れているのは、”命は尊いものである”という重要なメッセージでもあるのです。

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現代人のスマートフォン依存こそ恐怖

最後のシーンで、海辺で夏を楽しんでいる人々は、エリサの顔と手が血だらけの状態であるにも関わらず、スマートフォンでエリサを撮影するだけで、誰一人もエリサに駆け寄り「大丈夫か」と尋ねる人はいませんでした。

現代では、何かあるとスマホを片手に撮影する人ばかりが増え、誰かを気にすること(思いやること)が少なくなっているようにも思えます。

本作では、そんな現代人の感覚こそがホラーだと伝えているのかもしれません。

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古典的な恐怖

序盤は、穏やかながらも緊張感があり、結末に反転させる事でホラージャンルとして確立させています。

【13日の金曜日】(1980)のような狂人な殺人鬼や、悪霊が出るといった因習的な作品ではないかと推測しましたが、簡単に固定観念が破られた作品でした。

切れ首と奇怪な仮面、そこに住む狂信徒達の奇異で恐ろしい儀式。

言葉も通じない狂信徒達の狂気に遭遇するというのは、一体どんな感じなのでしょうか。

もし、自分がどのような場面に遭遇したらどうしますか?

まるで、そのような問いを投げかけられているようでした。

様々な映画の要素が混ざりつつも独創的で、現代的な要素を織り交ぜたこの映画は、明るくも恐ろしい雰囲気で人間の内面的な恐怖を刺激させる映画でした。

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