空は澄み渡り風は涼しく、日差しが心地いい。そして、赤とオレンジで染まった綺麗な景色といえば秋です。そんな秋の雰囲気を、これまでと違った異様な世界で感じるのはいかがでしょうか。今回は数多い作品の中から斬新なストーリーと華麗な映像美を堪能できる映画10作品を厳選してご紹介します。
どうぞ、特別な秋色の夜をお過ごし下さい。
ザ・クラフト
作品解説
黒魔術に関心を持ち、魔女を母に持つ4人の女子高生の闘いを描いた物語。
ダークファンタジーの象徴である魔女と青春を合わせた映画で、2020年には続編【ザ・クラフト:レガシー】が公開されました。
90年代のハイティーン映画の中でも個性的でカルト的な趣きを見せてくれる本作は、北米では興行1位になったほど人気が高い映画でした。
それぞれ悩みと痛みを持って生きていくサラ、ナンシー、ボニー、ローチェルの4人が、様々な誤解と葛藤の末、お互いが一つになって莫大な力を得るようになり、その魔法を通じて傷を癒します。
しかし、衝動的で感情的な10代の不安定な共存は、絶対に持ってはいけない力によって破滅してしまいます。
感受性が高い10代の魔女というキャラクターに特殊効果を結合し、蓋然性のある破格的なストーリーは90年代の独特なハイティーン映画であることをしっかりと感じられる、中毒性のある古典的ダークファンタジー映画です。
基本情報
公開・製作国:1996年 アメリカ
監督:アンドリュー・フレミング
原題:The Craft
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
キャスト:ロビン・タニー、フェアルザ・バルク、ネーヴ・キャンベル、レイチェル・トゥルー
外部リンク:https://www.imdb.com/title/tt0115963/
配信:[U-NEXT](PR)
© 1996 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
Rotten Tomatos
批評家の評価|57%
オーディエンス評価|65%
ローズマリーの赤ちゃん
作品解説
【ローズマリーの赤ちゃん】は、アイラ・レヴィンの小説を原作とした映画。
あるアパートに入居した若い夫婦が、アパートを支配する悪魔によって、悪魔の赤ちゃんを妊娠してしまう物語を描いています。
受賞経歴
- 1969年:第41回米国アカデミー賞授賞式(助演女優賞)
- 第26回ゴールデン・グローブ賞授賞式(助演女優賞)
この映画は、現実感のある恐怖で緊張感を緩めず、古典的な恐ろしさを感じるホラー映画作品です。
50年前の映画ながらも映像技術や音響効果が素晴らしく、モノクロ映像が更なる恐怖感を煽ります。
オープニングでの秋色鮮やかな景色から、秋に始まったこの恐ろしい物語は一度は見る価値があります。
基本情報
公開・製作国:1968年 アメリカ
監督:ロマン・ポランスキー
原題:Rosemary’s Baby
配給:パラマウント映画
キャスト:ミア・ファロー、ジョン・カサヴェテス、シドニー・ブラックマー、ルース・ゴードン
公式サイト:https://www.paramount.com/
配信:[U-NEXT](PR) [Prime Video] (PR) [TSUTAYA DISCAS] (PR) [Netflix][dTV ]
Film © 1968 Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved
Rotten Tomatos
批評家の評価|96%
オーディエンス評価|87%
IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。
作品解説
1986年に出版されたホラー作家・スティーヴン・キングの同名小説を基に製作された映画です。
アメリカABCで放送された2部作のサイコロジカルホラードラマシリーズが1990年に放映されてから28年後、2度目の映像化で初の映画版である本作は小説の前半を映画化。
平和で静かな田舎町で児童失踪事件が相次ぐなか、弟までも消息を絶ってしまった主人公ビル(ジェイデン・リーバハー)の前に”それ”が現れます。
本作は、ビルが仲間たちと共に”それ”に立ち向かうストーリーを描いています。
本作の大ヒットに続き、2019年には、続編【IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。】が公開されました。
受賞経歴
- 2018年:第27回MTV映画祭
ピエロを恐怖の象徴として表現した独特な映画であり、作中の子供たちはピエロに恐怖を持って成長して行きます。
恐怖というのはピエロだけではなく、人は何かに対する恐怖というのは必ずしもあることでしょう。
でも、人はその恐怖を向き合い、乗り越えながら成長していくものです。
本作は、そういったメッセージ性のある映画であり、撮影はもとより子役たちのリアリティある演出力は、平凡ながらも最高のホラー映画を支えてくれています。
基本情報
公開・製作国:2017年 アメリカ
監督:アンディ・ムスキエティ
原題:It
配給:ワーナー・ブラザース
キャスト:ビル・スカルスガルド、ジェイデン・リーバハー、ソフィア・リリス、ジャック・ディラン・グレイザー
公式サイト:https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=53803&influx=recommend
配信:[U-NEXT](PR) [Prime Video] (PR) [TSUTAYA DISCAS] (PR) [Netflix][dTV ]
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
Rotten Tomatos
批評家の評価|86%
オーディエンス評価|84%
ハロウィン
作品解説
本作は、ジョン・カーペンター監督の【ハロウィン】(1978)シリーズの直接の続編。
【ハロウィン】(1978)から40年後、殺人鬼マイケル・マイヤーズが、精神病棟から強固な刑務所に搬送される途中に脱走。
主人公ローリー(ジェイミー・リー・カーティス)は過去の事件のトラウマを抱えながらも、娘カレンと孫アリソンを守るために闘います。
受賞経歴
- 2018年:第43回トロント国際映画祭(ミッドナイトマッドネス観客賞 ファースト)
- 2019年:第45回サターン賞(最優秀主演女優賞)
演出、音楽、更には音響効果のオマージュやパロディーは一つや二つではなく、【ハロウィン】(1978)のストーリーをそのまま引き継いだため、ハロウィン映画ファンも納得の作品です。
ハロウィン特有のジャンプスケアーやストーリーポイントを逃さず、主人公の魅力を最大限に活かしています。
殺人鬼そのものが”静か”なため、本作が与える恐怖は通常のホラーにはない静けさがあります。
また、過度な残忍さがないため観客が息を殺してしまう、そんな映画なのです。
基本情報
公開・製作国:2018年 アメリカ
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
原題:Halloween
配給:パルコ
キャスト:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ウィル・パットン
©2018 UNIVERSAL STUDIOS
Rotten Tomatos
批評家の評価|79%
オーディエンス評価|70%
ヴァン・ヘルシング
作品解説
ドラキュラvsオオカミ人間を描いたユニバーサル・ピクチャーズの<ダーク・ユニバース>映画。
<ダーク・ユニバース>はミイラ、ドラキュラ、透明人間、狼、フランケンシュタイン、オペラ座の怪獣などで構成された一つの世界観です。
“ヴァン・ヘルシング”とは、ブラム・ストーカーの<Dracula>(吸血鬼ドラキュラ)で、ドラキュラと戦う大学教授の名前。
本作では、ヴァンヘルシングを”不死身のモンスターハンター“というヒーロー像として描いています。
悪の気配が感じられる場所にでも現れ、神の名で処断を下す神の師弟として、地上の全ての悪を掃討するのが召命です。
作中のドラキュラは、自分の計画を実現させる為に一般人と暗黙の契約を結んだり、悪魔でありながら他の悪魔を犠牲にする稀代の悪辣。
また、ドラキュラを始め狼人間やフランケンシュタインなど、多彩なキャラクターが善と悪を巡り戦争を繰り広げる本作は、独特なアクションが見どころとなっています。
基本情報
公開・製作国:2004年 アメリカ
監督:スティーヴン・ソマーズ
原題:Van Helsing
配給:ギャガ/ヒューマックス
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ケイト・ベッキンセイル、リチャード・ロクスバーグ、デビッド・ウェナム
© 2004 Universal Studios – All Rights Reserved
Rotten Tomatos
批評家の評価|24%
オーディエンス評価|57%
スクリーム
作品解説
【スクリーム】シリーズの第1作目で、90年代のホラージャンルとしてセンセーションを巻き起こしたスラッシャー映画です。
仮面を被り鋭い刀を持ったホラー映画マニアと、女子高生との生き残りを懸けた闘いを描いています。
原題の”Scream”は、”悲鳴や絶叫”の意味。
監督は【ウェス・クレイヴンの戦慄の夏】(1978)と【エルム街の悪夢】(1984)のような現代ホラー映画のクラシックを作ったウェス・クレイヴン監督。
1996年に歴史上最も人気のあるホラーシリーズの第1作を発表し、世界中のホラーファンを歓喜させました。
【スクリーム】シリーズは、現代映画史の重要な転換点となったホラー作品で、このシリーズを機にハリウッドのホラージャンルが劇的に復活。
従来のホラー物と新しい様式の現代ホラー物を見分ける分岐点となった作品でもあります。
本作は、続編【スクリーム2】(1997)、【スクリーム3】(2000)、【スクリーム4:ネクスト·ジェネレーション 】(2011)とシリーズ化されており、2022年には後続作の公開が予定されています。
ホラー要素が加味されたシチュエーションコメディ的な作品であり、90年代の狂乱的な雰囲気や登場人物の個性をしっかり掴んでいる部分は見どころのひとつです。
殺人鬼の正体が明らかになる場面は いわゆる大どんでん返しですが、殺人の当為性については説明されません。
しかし、敢えて明確にしないのが、スラッシャーのジャンル的特徴でもあります。
【スクリーム】は、ゴーストフェイスという1つのアイコンを作り出した作品であり、ホラー映画、そしてハロウィンイベントといえば、ゴーストフェイスを思い浮かべる方も多いはず。
本作はこういった映画史としての価値もあるので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。
基本情報
公開・製作国:1996年 アメリカ
監督:ウェス・クレイヴン
原題:Scream
配給:アスミック・エース
キャスト:ネーヴ・キャンベル、デヴィッド・アークエット、コートニー・コックス、スキート・ウールリッチ
© 1996 Miramax, LLC. All Rights Reserved.
Rotten Tomatos
批評家の評価|79%
オーディエンス評価|79%
ドラキュラ
作品解説
【ドラキュラ】は、ブラム・ストーカーの<Dracula>(吸血鬼ドラキュラ)を原作とした作品。
長年、サスペンススリラージャンルで親しまれ、吸血鬼という一つの領域を開拓した悲運のドラキュラ伯爵は、どんな人生を生きたのか。
本作は、時間を遡りながら❞ドラキュラ伯爵がなぜ永生を得る代わりに、永遠に血を渇望する吸血鬼になったのか❞を描いています。
受賞経歴
- 1992年:第18回サターン賞(最優秀ホラー賞、スリラー賞、最優秀主演男優賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀衣装賞)
- 1993年:第65回米国アカデミー賞授賞式(衣装賞、扮装賞、音響編集賞)
強烈な映像美と重圧的なOSTはもちろんのこと、 特に影を使った演出が印象的な作品です。
また、ゴシックホラーの特徴である対立構造は映画の魅力を生かすとと共に、ドラキュラ伯爵の吸血シーンは吸血鬼と被害者の関係を性的に表現するなど、原作を忠実に再現しています。
何よりも、ドラキュラ役を演じたのがゲイリー・オールドマンであることは注目すべきポイントです。
何年経っても色褪せない名作が生まれたのは、彼の演技があってこそといっても過言ではありません。
また、本作はよく見るドラキュラというキャラクター描写ではなく、あまりにも悲しくて哀れなドラキュラの叙事詩を見事に描いた傑作です。
基本情報
公開・製作国:1992年 アメリカ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
原題:Bram Stoker’s Dracula
配給:COLTRI
キャスト:ゲイリー・オールドマン、ウィノナ・ライダー、キアヌ・リーブス、アンソニー・ホプキンス
公式サイト:https://www.sonypictures.com/movies/bramstokersdracula
©1992 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
Rotten Tomatos
批評家の評価|75%
オーディエンス評価|79%
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
作品解説
【アイトメア・ビフォア・クリスマス】は、ハロウィンの帝王ジャック・スケリントンが贈る奇想的かつ恐ろしいクリスマスの物語を描いています。
本作はストップモーション方式で製作されたことで話題を呼び、その後、ストップモーション方式の劇場用アニメーションが製作されるきっかけとなった作品です。
従来からの柔らかい童話の描写から脱し、グロテスクで恐ろしい人物を主人公にする事によって新しい視点でアプローチし、より可愛く幻想的で美しいストーリーを作り出しました。
同タイトルの絵本や漫画は日本でも出版されており、タイトルはアメリカでよく知られている詩<The Night Before Christmas>(クリスマスの前の晩)から由来したもので、”クリスマス前の悪夢”を意味します。
受賞経歴
- 1994年:第66回米国アカデミー賞(視覚効果部門ノミネート)
- 第51回ゴールデン・グローブ賞(音楽部門ノミネート)
- 第20回サターン賞(ファンタジー映画賞、音楽賞受賞、監督部門、視覚効果部門ノミネート)
- 第22回アニアワード監督賞、アートディレクター賞受賞
計8つの映画祭で6部門の本賞受賞、8部門のノミネート
クリスマスと言えば赤や緑などの華やかな装飾で飾られていますが、本作では主に青色と低い彩度で表現されています。
また、ハロウィーンタウンやクリスマスタウンの特徴的な外形に比べ、建物全体が何の歪曲もなく角ばった形でデザインし、空間的、背景別に形態とカラーをそれぞれ異なる方法で使用するなど、それぞれの性向や特徴を暗示的に表現しています。
【ナイトメアー・ビフォア・クリスマス】では、正確な口の動きと様々な感情表現に、計227個の人形を製作。
特に主人公ジャックの場合は、それぞれ違う表情の頭部を400個作ったようです。
また、ヒロインのサリーは全部で10個の顔を作り、台詞や演技によって口の形が変わるため、顔の一部分を取り替える方法で制作され、11個の様々な表情と口の形を演出出来るよう付属品も製作されました。
このように動きが必要な部分の一部を入れ替えることにより、硬い人形が滑らかに柔らかい人形へと変身されることが出来るようになりました。
更に巨大かつ精巧に製作されたセットと、コンピューターで制御できるカメラを利用し、安定したダイナミックな演出を実現しました。
陰鬱ながらも愛おしさのある【ナイトメアー・ビフォア・クリスマス】は、個性的なキャラクターからストーリー構成、そして独特な歌も含め全てがティム・バートン監督の世界観が強調された完成度の高い作品です。
基本情報
公開・製作国:1993年 アメリカ
監督:ヘンリー・セリック
原題:The Nightmare Before Christmas
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
キャスト:クリス・サランドン、キャサリン・オハラ、グレン・シャディックス、ウィリアム・ヒッキー
公式サイト:https://www.disney.co.jp/studio/animation/0867.html
配信:[U-NEXT](PR) [TSUTAYA DISCAS] (PR) [Prime Video] (PR) [dTV ]
©Disney
Rotten Tomatos
批評家の評価|95%
オーディエンス評価|91%
ビートルジュース
作品解説
【ビートルジュース】は、ティム・バートン監督によって1988年に製作された2作目の長編映画であり、当時新人監督に過ぎなかったティム・バートンを一躍スターダムにのし上げた出世作です。
ファンタジーやコメディー要素を含んだ、恐怖を行き来する物語と独特の視覚効果で、ティム・バートン監督特有の演出スタイルを確立したと評された作品でもあります。
また、主演を務めたマイケル・キートンとウィノナ・ライダーは、この作品で世界から注目を浴びました。
更に、ティム・バートン監督が製作担当で、【ビートルジュース】の続編も決まっています。
受賞経歴
- 1988年:第14回サターン賞(最優秀ホラー賞、スリラー賞、最優秀助演女優賞、最優秀扮装賞)
- 1989年:第61回米国アカデミー賞授賞式(メイクアップ賞)、全米映画批評家協会賞(主演男優賞)
- 1999年:第24回サターン賞(最優秀扮装賞)
【ビートルジュース】の独特な映像美はセット、小物などの美術とストップモーション・アニメーション、ブルースクリーンの合成技法などアナログの特殊効果により視覚的にも優れています。
また、あの世と家を繋ぐ通路にあるドアは1920年代のドイツ表現主義映画のセットをコミカルに誇張し、家の外に繰り広げられる砂虫の砂漠の風景は、ルネ・マグリットの超現実主義の絵を連想させるなど、古典映画と美術からインスピレーションを受けたセットと小物も見どころポイントです。
狂気と恐怖を象徴するセットは恐怖を超えて超現実的なファンタジーはもちろん、コミックな雰囲気まで生かしています。
これらは、ティム・バートン監督の映像美学の核心が盛り込まれており、ゴシックやホラーなど暗くて恐ろしいジャンルをティム・バートンらしく巧妙に魅せてくれます。
基本情報
公開・製作国:1988年 アメリカ
監督:ティム・バートン
原題:Beetlejuice
配給:ワーナー・ブラザース
キャスト:マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー
TM&©Warner Bros. Entertainment Inc.
Rotten Tomatos
批評家の評価|85%
オーディエンス評価|82%
スリーピー・ホロウ
作品解説
映画【スリーピー・ホロウ】は、1820年に出版されたワシントン・アーヴィングの小説<The Legend of Sleepy Hollow>(スリーピー・ホロウの伝説)を基に製作されています。
原作では、主人公イカボッド・クレーンを中心に物語が進行していくのに対して、映画では首なし連続殺人事件を中心とした物語が描かれています。
受賞経歴
- 2000年:第72回米国アカデミー賞授賞式(美術賞受賞)
- 第72回米国アカデミー賞授賞式(撮影賞、衣装デザイン賞ノミネート)
正統ホラー映画というよりは、典型的なティム・バートン監督の幻想怪談であり、監督特有の陰鬱で神秘的なファンタジー要素が強く描写された作品です。
アメリカ開拓時代のある陰惨な村の雰囲気は、精巧なセットや照明、特殊効果とダニー・エルフマンの音楽で演出されています。
霧のかかった西洋の田舎町の雰囲気が漂う美しくも暗い景色や建物、19世紀の民談家からモチーフを取ったストーリーは、奇妙な美しさを感じさせると共に残酷童話と呼ぶに相応しい作品と言えるでしょう。
ポスターにも登場する奇怪な形をした死者の木は、映画の夢幻的でありながらも陰惨な気分を感じさせる代表的なシンボルであり、首のない騎士はぞっとするホラー感が溢れています。
暗黒かつ残酷な夢のような物語は、暗いパステルで彩られた映像美と雰囲気が原作小説と調和されており、自然の風景を強調しつつ野性的な雰囲気が描き出されています。
ただ同じ場所を同じ構図で撮影したのではなく、精細な場面は暗いながらも暖かい色合いを持たせつつ、陰惨さを醸し出しているのも見事でした。
首なし連続殺人事件というテーマから、推理サスペンスとしても非常に優れたストーリーとなっていますが、【スリーピー・ホロウ】はティム・バートン監督のもう一つのマイノリティーのための童話でもあるのです。
ティム・バートン監督の映画の中でも歴代級ではありますが、何よりジョニー・デップの幻想的な演技が引き立つ、ビジュアル的にも恐ろしい最高の一作品。
冷たくて奇怪な映像ながらも画一化された美学により、ティム・バートン監督の世界観を十分に堪能できる映画となっています。
基本情報
公開・製作国:1999年 アメリカ
監督:ティム・バートン
原題:Sleepy Hollow
配給:日本ヘラルド映画
キャスト:ジョニー・デップ、マイケル・ガンボン、クリスティーナ・リッチ、クリストファー・ウォーケン
公式サイト:https://www.paramount.com/
配信:[U-NEXT](PR) [TSUTAYA DISCAS] (PR) [Prime Video] (PR) [Netflix][dTV ]
© 1999 by Paramount Pictures and Mandalay Pictures LLC. All Rights Reserved.
Rotten Tomatos
批評家の評価|69%
オーディエンス評価|80%