街は色々な音楽に満ち溢れているため、街に出るといつでも音楽が流れています。そんなどこでも聞ける音楽がある反面、ここでしか聞けない音楽というのもあります。そこで今回は、この場面でしか聞くことのできない音楽映画を5作品紹介していきます。
【イエスタデイ】
作品解説
【イエスタデイ】(2019) は【トレインスポッティング】(1996) で有名なダニー・ボイルが監督するファンタジーな音楽映画です。
これまでビートルズを題材にした映画はいくつかありましたが、ビートルズがいなくなった世界をモチーフとした映画というのは今回が初めてではないでしょうか。
唯一、ビートルズのことを知っている主人公のジャックが、ビートルズの曲を自分の曲として演奏し有名になっていくのですが、ビートルズのことを知らない周囲とのずれが微妙におかしく、またビートルズに対するジャックの思い入れがビートルズを知っている観客に痛いほど伝わってきます。
この映画の見せ場は、ビートルズの曲で手にした名声と幼馴染の愛のどちらを選ぶかで苦悩するジャックが、意外な人物に出合うことで幼馴染の愛を選ぶ場面です。
誰に会うのかというのは映画を観てのお楽しみですが、愛こそは全て、と書けばもう分かるのではないでしょうか。
イギリス映画はユーモアとペーソスのさじ加減が絶妙な映画が多いのですが、【イエスタディ】(2019) もそんな作品です。
最初はおかしいのですが、映画が進むにつれてホロリとされる映画です。
基本情報
公開・製作国:2019年 イギリス、アメリカ
キャスト:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、エド・シーラン
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
監督:ダニー・ボイル
©Universal Pictures
Rotten Tomatos
批評家の評価|63%
オーディエンス評価|89%
「ブルース・ブラザーズ」
作品解説
【ブルース・ブラザーズ】(1980) は、アメリカのコメディアンであるジョン・ベルーシとダン・エクロイド主演の映画で、監督は【アニマル・ハウス】(1978)などを撮ったジョン・ランディス。
この映画の見どころは、とにかく物語のテンポの良さで、冒頭のシーンからラストまで変わらないテンションで観客を飽きさせないのは凄いのひと言です。
参加しているミュージシャンも豪華なのですが、中でも強烈な印象を受けるのが、教会の牧師を演じるジェームス・ブラウンの歌うゴスペル。
この場面を観るだけでも、この映画を観る値打ちがあるくらいのパワーがあります。
もちろんブルース・ブラザーズの演奏も、映画に出演したミュージシャン達に負けない熱気と迫力があり、彼らのライブを見ているとロックやブルースに対する愛情がひしひしと伝わってくるようです。
時に音楽は聞く者に前に進む力を与えてくれます。
【ブルース・ブラザーズ】(1980) は、映画を観る者にそんな力を与えてくれる作品です。
基本情報
公開・製作国:1980年 アメリカ
キャスト:ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームス・ブラウン
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
監督:ジョン・ランディス
©1980 Universal Studios All Rights Reserved
Rotten Tomatos
批評家の評価|73%
オーディエンス評価|92%
「ロッキー・ホラー・ショー」
作品解説
【ロッキー・ホラー・ショー】(1975) はミュージカルを映画化した作品で、監督はジム・シャーマンです。
この映画の魅力は、映画を見てハマる人と受け付けないという人をはっきりと分けてしまうことでしょう。
好きな人はたまらなく好きだけども、嫌いな人は悪趣味と感じてしまうというような、観客を選んでしまう映画です。
映画に出てくるキャラクターのどれもが個性的ですが、中でもティム・カリー演じるフランク・フルター博士のキャラクターは、そのコスチュームも含めて一度見たら忘れられないようなインパクトがあります。
劇中に流れる音楽もどれもが秀逸で、特に古城のパーティーで演奏される「タイム・ワープ」や、フランク・フルター博士が登場する「スイート・トランスヴェスタイト」などは、テンポの良さと軽快なリズムで思わず体がノリノリになるような名曲です。
日本のミュージシャンにも少なからず影響を与えた映画ですので、キワモノ好きで音楽好きな人は、この映画の衝撃をぜひ受けてみてください。
基本情報
公開・製作国:1975年 アメリカ
キャスト:ティム・カリー、スーザン・サランドン、バリー・ボストウィック
配給:20世紀フォックス
監督:ジム・シャーマン
© 1978 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
Rotten Tomatos
批評家の評価|79%
オーディエンス評価|85%
「ボヘミアン・ラプソディ」
作品解説
【ボヘミアン・ラプソディ】(2018) は、クイーンのヴォーカリストであるフレディ・マーキュリーに焦点を当てた映画で、監督は【ユージュアル・サスペクツ】(1995) などを撮影したブライアン・シンガーです。
この映画のハイライトはライブエイドでのコンサートですが、実際にライブエイドでのクイーンの演奏を見たことがある人でも、映画でのパフォーマンスは当時と変わらないくらいの迫力を感じることでしょう。
迫力あるライブも見どころ十分ですが、それ以上に感銘を受けるのはフレディ・マーキュリーの人物像です。
この映画の素晴らしい所は、自分の弱さも含めた等身大のフレディ・マーキュリーが描かれていることでしょう。
一度はメンバーとの間に亀裂が入りかけたものの自らエイズであることを告白し、バンドが再びひとつになってバンドエイドに出演するというシーンは見ていてホロッとさせられるものがあります。
ミュージシャンである前に、一人の人間としての弱さや誠実さを描いたからこそ、多くの人の共感を勝ち得た映画だといえます。
基本情報
公開・製作国:2018年 アメリカ
キャスト:ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ
配給:20世紀フォックス
監督:ブライアン・シンガー
Artwork © 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
Rotten Tomatos
批評家の評価|60%
オーディエンス評価|85%
「ONCE ダブリンの街角で」
作品解説
【ONCE ダブリンの街角で】(2007) はアイルランドの映画で、監督は【はじまりのうた】(2013) などで知られるジョン・カーニーです。
音楽を通じた出会いというのもあれば、音楽がなければ出会わなかったという出会いもあります。
【ONCE ダブリンの街角で】(2007) は、音楽がなければ出会わなかったかもしれない、そんな男女の心の揺れ具合を丁寧に描いた作品です。
この映画は音楽の使われ方がとても上手で、場面ごとに登場人物の心情を音楽を通じて繊細に語っています。
また、お互いの気持ちを音楽で表現するというのもこの映画の見どころの一つです。
ストリートミュージシャンの男性とチェコ系移民の女性が、音楽を通して次第にお互いに惹かれあうのですが、お互いの気持ちを尊重しあうというのも大人の恋でいいですね。
イギリスのことは良く知っていても、アイルランドのことはあまり知らないという人は多いですが、この映画を見ると音楽を通じてアイルランドという国の雰囲気もよく分かる映画です。
基本情報
公開・製作国:2007年 アイルランド
キャスト:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
監督:ジョン・カーニー
© 2007 Samson Films Ltd. and Summit Entertainment N.V.
Rotten Tomatos
批評家の評価|97%
オーディエンス評価|91%