【特別上映版ワールドトリガー2ndシーズン】1月から始まる4年9ヶ月ぶりの「ワールドトリガー」新シリーズ。この特別上映版は、その1話と2話の期間限定先行上映です。劇場には、新シリーズ再開が待ちきれないワートリファンがたくさん集まりました。
≡「ワールドトリガー」とは≡
2013年に「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートした少年漫画です。
作者の体調不良により長期休載する期間もありながら2018年に連載を再開、その後「ジャンプスクエア」に移籍し現在も連載中。
テレビアニメは2014年10月から2016年4月まで73話が放送されました。
日曜朝の放送ということで子供向けに配慮した演出がなされましたが、本来の原作の面白さから大人の心もつかみ、待望の続編が深夜枠で放送されることになりました。
主要キャラと2ndシーズン初登場キャラ
三雲修(みくもおさむ)/梶裕貴
玉狛第2・三雲隊隊長。トリオン量が少なく身体能力も恵まれてはいませんが努力家で、柔軟な発想で戦略をたてています。
空閑遊真(くがゆうま)/村中知
ネイバーの少年で三雲隊の攻撃手。
その身体はトリオン体でできており、実際の肉体はゆっくりと死に向かっています。
雨取千佳(あまとりちか)/田村奈央
膨大なトリオン量をもつ修の幼なじみ。
三雲隊の狙撃手ですが人を撃つことができません。
迅悠一(じんゆういち)/中村悠一
玉狛支部のA級隊員。
元S級でしたが、遊真をボーダーに入れるため大切な黒トリガーを手放して降格しました。
ヒュース/島崎信長
大規模侵攻時、アフトクラトルの仲間に見捨てられボーダーの捕虜となったネイバー。
現在は玉狛支部で生活しています。
ガトリン/江川央生
アフトクラトルの従属国ガロプラの遠征部隊隊長。
トリガーは硬いアームの“処刑者(バシリッサ)”。
ラタリコフ/豊永利行
ガロプラ遠征部隊のひとり。若いが冷静沈着な実力者。
“踊り手(デスピニス)”で変幻自在な攻撃・防御をおこないます。
ウェン・ソー/園崎未恵
ガロプラ遠征部隊の紅一点。
変装用トリガーや虚像を作り出す“藁の兵(セルヴィトラ)”を使用するトリッキーな戦士。
コスケロ/津田健次郎
ガロプラ遠征部隊副隊長。
防御系トリガーを駆使しながら、ゲートを発生させてトリオン兵を送り込んできます。
レギンデッツ/村瀬歩
ガロプラ遠征部隊のひとり。
アフトクラトルを憎む血気盛んな若者。基地の外での陽動作戦を担っています。
ヨミ/白石涼子
ガロプラ遠征部隊最年少のオペレーター。
天才エンジニアで、“完全同時並列思考”のサイドエフェクトをもっています。
【ワールドトリガー】1stシーズンおさらい
あらすじ
物語の舞台は三門(みかど)市。ある日突然「門(ゲート)」が開き、異世界からの「近界民(ネイバー)」が襲来します。
しかし、界境防衛機関「ボーダー」という組織が現れネイバーを撃退しました。
初めてネイバーが侵攻してから四年半。
三門市にはボーダーの基地が作られ、相変わらずゲートは開くもののボーダーの活躍で市民の生活は守られていました。
主人公・中学3年生の三雲修はボーダー隊員です。
ある日、転校生の空閑遊真がネイバーだということを知った修は、遊真が敵ではないと感じ行動を共にするようになります。
様々な大人の思惑の中、遊真はボーダー加入を許され、修の幼馴染・雨取千佳と三人でチームを組み玉狛支部に所属することに。
千佳は兄と親友をネイバーにさらわれており、修は千佳のために近界(ネイバーフッド)遠征隊に選ばれることを目指し、ボーダー内でランク戦を戦うことになります。
解説
≡「トリガー」とは≡
近界民(ネイバー)のテクノロジー。
ボーダーでは武器の他、道具としても使用されています。
主要な武器として様々な形態・性能のものがあり、各々個人の能力や特性によって選択し、カスタマイズすることもできます。
≡「トリオン」とは≡
トリガーの原動力となる生体エネルギー。
トリオン量の違いによって、トリガーをいくつ使えるか、トリガーの威力の強弱などが決まってしまうので多い方が有利。
また戦闘中はトリオン体となって戦うため実際のからだは傷つきませんが、損傷したトリオン体を修復するには時間とトリオンが必要になります。
≡「サイドエフェクト」とは≡
高いトリオン能力を持つ者に現れる特殊能力。
超能力とは違い、あくまで通常の能力が発達したようなものです。
それほど万能な能力ではありませんが、使い方次第で戦闘や交渉を有利にすすめることができるものもあります。
【特別上映版ワールドトリガー2ndシーズン】あらすじ
[1話]
A級隊員になってネイバーフッド遠征隊員に選ばれるため、ランク戦を戦う三雲隊の修、遊真、千佳。
そのランク戦が行われるボーダー基地を狙っている者たちがいました。
先ごろ大規模侵攻を仕掛けてきた「アフトクラトル」の従属国「ガロプラ」の精鋭メンバーたちです。
アフトクラトルの指令は玄界(ミデン=地球上。こちら側の世界)の足止め。
ボーダーがネイバーフッドへ遠征してくることを阻止しつつ、その矛先を自分たちではなくガロプラに向けさせるのが目的です。
ガロプラの作戦隊長ガトリンは、アフトクラトルの命令は遂行しながらも小国であるガロプラがミデンに目をつけられないよう、余計な攻撃はせずに遠征艇だけを破壊する作戦をメンバー5人に伝えました。
今回の作戦に不参加の従属国「ロドクルーン」から提供されたトリオン兵約300体が揃い、いよいよ作戦開始です。
そのころボーダー基地内では、“未来予知”のサイドエフェクトを持つ隊員・迅悠一が敵襲を察知していました。
本部長の忍田は本部基地防衛パターンで人員を配置し、ランク戦は予定通りおこなうと指示します。
ボーダー基地の屋上には玉狛支部の木崎レイジやA級の当真勇など狙撃手が配置を完了し、迫ってくる人型トリオン兵アイドラに攻撃を開始します。
地上では嵐山隊や諏訪隊などが集結して狙撃手の援護にまわっています。
ガロプラのコスケロは、屋上にゲートを発生させ犬型トリオン兵ドグを送り込み狙撃手の攻撃を鈍らせます。
その間にアイドラに化けていたガトリン、ラタリコフ、ウェン・ソーが基地内に侵入。
迅の攻撃をかわし、遠征艇へと近づいていきます。
屋上では木崎や荒船哲次、緑川駿、辻新之助などがドグに対抗し、他の狙撃手たちが狙撃を再開。
一方A級の三輪秀次と米屋陽介は、屋上にドグを送り込んでくる敵を仕留めるため地上での捜索をはじめ、ほどなくしてコスケロを見つけ出します。
[2話]
コスケロのトリガーは左腕に装着したシールド“黒壁(ニコキラ)”。
ブレード(刃)が斬れなくなるもので、周りのアイドラもそのシールドを付けています。
米屋はコスケロの足を狙い、三輪はシールドに干渉しない“鉛弾(レッドバレット)”でアイドラの動きを封じます。
そのころ基地内部ではウェン・ソーが追手を食い止めるためひとり残り、バイパー(弾道を設定できる変化弾)の使い手・那須玲と熊谷友子と1対2の戦いを繰り広げていました。
煙幕の中、送り込まれてくるドグの攻撃に苦戦していた那須は、ウェン・ソーのトリガーによって作り出された熊谷の虚像に気を取られ左腕を失ってしまいます。
ガトリンとラタリコフは難なく遠征艇のある地下へと到達することができましたが、そこにはボーダー屈指の攻撃手・太刀川慶と風間蒼也、玉狛の小南桐絵、B級ながら攻撃手個人ランク4位の村上鋼が待ち構えていたのです。
そのころ、手薄になった玉狛支部を抜け出したアフトクラトルの捕虜・ヒュースは、攻めてきたガロプラ(かどうかこの時点でヒュースはわかっていません)との接触を試みるため戦闘の起こっている方へと向かっていました。
ヒュースがいないことに気づいた玉狛支部の5歳児・林藤陽太郎は雷神丸(カピバラ)に乗って探しにでかけます。それを察知した迅は、遠征艇を太刀川たちに任せヒュースのもとへと向かうのです。
基地の外では、二宮隊や加古隊の活躍により敵を押し返すことに成功。
ガロプラのヨミは後方でサポートにあたっていましたが、コステロやレギンデッツが苦戦しているので自ら2体のアイドラを操作しボーダー隊員たちを撹乱してきます。
ガトリンたちと対峙した太刀川は、「遠征艇をぶっ壊したきゃ、俺たち3人をぶった斬らなきゃなんないな」と言って挑発しました。
するとすかさず、“バッグワーム”で姿を消していた風間がガトリンの左腕を斬り落します。
しかしガトリンはそこに大砲型トリガーを装着し、背中からは4本のかぎ爪のついた昆虫の足のようなアームを生やし床面に固定、大砲を発射。
遠征艇の入った隔壁に大きな損傷を与えますが、貫通するには至っていません。
ラタリコフは複数の土星のような形状の球体を使って攻撃してきます。
ガトリンの大砲は連射ができないため、装填できるまで時間を稼がなければなりません。
小南は太刀川との連携でようやくアーム1本を切断しますが、それ以上はなかなか厄介だと太刀川は考えていました。
一方地上では、ヨミの操る動きの速いアイドラ2体に翻弄され陣形が崩れつつありました。
1体を諏訪隊の笹森日佐人と二宮隊の辻が、もう1体をA級最年少・加古隊の黒江双葉と、同じくA級嵐山隊の木虎藍が抑えることになり、いよいよ本格的なヨミとの戦闘が始まります。
【ワールドトリガー】の魅力
王道ではない少年漫画
ジャンプ漫画の王道といえば「友情・努力・勝利」。
もちろんこのワールドトリガーにもそれらの要素はたくさんあります。
ただ、奇跡的に急に強くなる、突然すごい助っ人が現れる、といった超展開ではなく、失敗したり負けたり悩んだり、現実的なストーリーが積み重なっているのが共感できます。
登場人物がたくさんいる群像劇
ボーダーという組織には10~20代のA級・B級・C級隊員がいて、B級以上は4~5人前後のチームを組んでいます。
組織には当然大人もいますし、攻めてくるネイバー側のキャラクターを含めると軽く100人を越えてしまいます。
そのそれぞれに詳細な設定があり、誰と誰が従兄弟だとか、あのふたりは同じ中学出身など相関関係もあります。
慣れないとそれだけで頭がパニックになりそうですが、そんなさまざまな人間関係が垣間見られるのもワートリの面白さのひとつです。
大人が楽しめる戦術アニメ
物語の中にはふたつの大きな流れがあり、ひとつはミデンを守るボーダーとネイバーとの戦い、もうひとつはボーダー内でおこなわれるランク戦です。
ランク戦には個人ランク戦と部隊ランク戦があり、チームをB級下位からA級昇格目指して戦うB級ランク戦に多くの時間が割かれています。
時間帯や地形、天候などを設定することができ、三つ巴・四つ巴など一筋縄ではいかない戦いが展開されます。
各チームは相手チームを研究し、どんなトリガーで対抗するか、どういう戦術で流れをつくるかなどそれぞれの個性が出て興味深い戦いが繰り広げられるのです。
一方、ネイバーとの戦いは思いもよらないトリガーが出てきたり、魅力的な敵キャラクターが現れたり、と新鮮な驚きに満ちています。
こういった戦術を楽しめるのがワートリ最大の魅力といってもいいでしょう。
【特別上映版ワールドトリガー2ndシーズン】感想
今回の特別上映版は1月からのテレビ新シリーズ1・2話ですが、劇場の大画面でもなんら遜色のない、むしろ大迫力の展開に圧倒される出来になっています。
また、川井憲次さんの音楽も新たな曲が使われていますが、ちょっと聞いただけでワートリだ!とわかる曲になっていてファンとしてはうれしい限りです。
1stシーズンは子供向けの時間帯での放送だったためいろいろと制約があったそうですが、今回は深夜枠ということでより原作に忠実な表現が可能になったと関係者が語っていました。
戦闘シーンはよりスピーディーに、よりシャープになり、映像もスタイリッシュになったと感じました。
内容はもちろんドキドキワクワクの連続で、すでに次の展開が待ち遠しい状態です。
それにしても今回の新シリーズ再開は、1stシーズン終了後いつ始まるともわからない2ndシーズンを待ち続けたファンの存在が大きいと思います。
作者である葦原大介先生の体調を心配しながらもやはり続きはみたいというそんなファンの声に、劇場でオールナイト上映会やトークイベントをおこない、地道な努力を重ねて2ndシーズンを実現してくださった関係者に感謝したいです。
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©葦原大介/集英社・テレビ朝日・東映アニメーション