PR

【トップガン マーヴェリック】トム・クルーズからの「映画」に対するラブレター

©2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

大ヒットを記録、公開当時の米海軍への志願兵が続出したとされる【トップガン】(1986)が、36年の時を経てついに続編が登場です。

本来なら2020年には公開予定だったにも関わらず、コロナ禍により延期による延期、2年待っての公開で、前売りやムビチケ片手に待ちに待っていたファンも多いはず。

早くから続編の製作権を取り、他人には絶対に譲らなかったというトム・クルーズの渾身の作品をぜひ。

PR

【トップガン マーヴェリック】あらすじ

ピート・“マーヴェリック”・ミッチェルは過去40年間において3機の敵機撃墜記録を持つ唯一の海軍パイロット。昇進を拒み続けずっと海軍大佐の階級から動かない彼は現在、極超音速テスト機「ダークスター」のパイロットを務めていました。

無人機の開発へ資金を回そうとする上層部に認めてもらうため、目標であるマッハ10の記録を叩きだしたはいいものの、さらに加速させて機体を空中分解させるもほぼ無傷で生還、どんな処罰が待っているかと思っていたところにノースアイランド海軍航空基地へ、教官として行くよう命令されます。

その場所はかつて自分も選ばれ、多くの経験をしたことのある「トップガン」。トップガン卒業生の中でもトップクラスの若きパイロットたちを「特別ミッション」のために訓練するための教官に経験豊富なマーヴェリックは選ばれたのでした。

PR

【36年】を経て戻ってきた名作

【トップガン】。その年の全米興行成績1位を記録し、公開後にアメリカ海軍への志願者が激増、出演者たちのキャリアにも大きく影響を与えた作品です。

開始直後から始まる、ケニー・ロギンスの「デンジャーゾーン」をBGMに戦闘機が発艦していくシーンは作品にすぐ引き込まれるとても有名なシーンかと思います。

さて、そんなにも流行った作品が今まで続編が作られず月日が流れてきたわけですが、36年という長い歳月を経て上映されたのが本作である【トップガン マーヴェリック】。

制作の遅れやコロナ禍などで4回延期となってしまっていた本作ですが、すでに世界興行収入9億ドルを超え、主演を務めるトム・クルーズの作品史上最大のヒットとなっています。

PR

歳月が経ったことをありのままに伝える

トム・クルーズといえば飛行機など乗り物の免許も多く取得し自ら危険なスタントを行う人物としても有名。

コロナ禍やより一層配信サービスが増えたことで「映画を映画館で楽しむ」という方が少なくなっている中、彼はやっぱり映画館で楽しんでほしい作品を作り続けたいと考えている、すぐさまパッと思い浮かぶのが彼とクリストファー・ノーラン監督であるくらいの「リアルを追求する」映画人のひとりだと思います。

その理想を映画に落とし込むため、高Gに耐えられるように厳しいプログラムを組んで訓練をし、実際に戦闘機に出演者たちは乗って演技を行ったそうです。劇中で高Gできつそうな顔をしている彼らは、まさしくリアルにGを受けているということですね、よくそんな状況下で演技ができる……!

さて、今回36年を経て、と前述しておりますが、映画の内容もしっかりと年月を経てきています。若かったマーヴェリックも50代後半ということで、まだまだレジェンドには違いないですが、パイロットのたまり場「ハード・テック」では「おじさん」と呼ばれ、昇進も引退もせず「大佐(キャプテン)」で居続ける彼に疑問を感じる(彼の場合、年齢だけが問題ではないですが……)上層部、チームを団結させる一環で行っていたアメフトシーンでは途中で生徒たちの輪から外れてイスに座るなど、ちょこちょこと老いを感じさせるシーンが。

冒頭、有人によるテスト飛行よりも無人となるドローンへ予算を回そうとしていたケイン少将の「未来に君の居場所はない」というセリフはマーヴェリックにも、また映画を作り演技をするトム・クルーズ本人にも響く言葉だったと思います。

しかしマーヴェリックはそのあと「そうかもしれない、でも今日じゃない」と返します。

歳月を否定することもなければ、いつか自分の居場所はなくなるかもしれない、ということも思うことはある。それでも「最高の作品を作りたい」「映画ファンに楽しんでほしい」という心からの情熱によって制作、然るべきタイミングまで延期して公開された本作はまさしくトム・クルーズからの「映画」というコンテンツにおけるラブレターのように感じられるのではないかと思います。

PR

「死にたがりパイロット」の帰還/見どころはアクションシーンだけじゃない!

冒頭、テスト機「ダークスター」に乗ってマッハ10を目指すシーン。ホンドーから「マッハ10だ」と言われていたにも関わらずまだ飛ばし続けり、特別ミッションではルースターを庇ってミサイルを受けたりと、マーヴェリックはあまり積極的に「生きよう」と思っているように見えませんでした。

前作でレーダー担当で後席に乗っていた親友であるグースを事故で亡くし、グースの息子・ルースターとも海軍兵学校への入学願書を破棄してから今回のミッションまで、おそらく10年ほどは疎遠となっていたであろう彼は、昔から無茶はしていましたがあまり自分を大切にしなくなったのでは、と思います。

グースの死におそらく誰よりも心を痛め続けている彼を、疎遠になっていたわだかまりがようやく解けつつある状況で死なすわけにはいなかいと、命令違反してまでも舞い戻ってきたルースターとマーヴェリックが森の中で怒鳴り合うシーン。

パラシュートの元へ必死にマーヴェリックが走る理由は、脱出できていても果たして無事かどうかはわからないことを誰よりも知っているからです。

なんで戻ってきたんだ、と問うと「考えるな、行動しろって言っただろ!」と返すルースターに何も言えないマーヴェリック。

第5世代戦闘機とのドッグファイト(空中戦)を経て、無事空母にたどり着いたふたりは大きくハグをして無事和解に至ったことがわかるラストシーン。

前作で無鉄砲でルール破りな飛び方でも相棒として共にしてくれた陽気で心優しいグースに助けられていた、そして彼も僚機(ウィングマン)であったアイスマンも亡き今、「無茶をして死んでしまったらそのときはそのとき」とふらりと消えてしまいそうになっていたマーヴェリックを掴んで離さなかったのは、他でもないルースターでした。

本作でグースの息子が出てくるということで一体どうなるのだろうと考えていましたが、特別ミッションによる飛行アクションだけでなく、しっかりとしたストーリー構成でとても見やすく、こうして物語は紡がれていくのだと思わずにはいられない作品に仕上がっていると感じました。

PR

【トップガン マーヴェリック】まとめ・感想

コロナ禍になって、映画館にろくに通えないときがありました。レイトショーは軒並み中止、映画館自体が閉まってしまっていた期間も短くはありませんでした。

戦時中など、切迫した状況のとき、にいち早く切られていくものは文化的なもの、美術・歴史・映画・舞台・文学・音楽などだと思います。

娯楽の一部だから、生活になくて困るものではないから。……本当にそうでしょうか。
たったひとつのある作品が、自分の人生を変えることだって大いにあります。「不要不急」では決してありませんでした。

ファンである私たちですらも心を痛めていたのに、実際に制作している現場スタッフたちは「自分たちはいらない存在なのかも」と、おそらくもっとつらい思いをしていたと思います。それでも諦めずにずっと走り続けてくれていた人々がいたからこそこうしてまた多くの映画をスクリーンで楽しむことができています。

結局映画館で映画が観たいファンは、どうしたって公開初日の金曜日やその直後の週末に映画館に行く情熱を捨てられやしないのです。そんなことを思い出させてくれるような映画でした。しかし、あくまでも「戦闘に特化した飛行機(つまり戦闘機)に乗った軍人を描いた映画」であることは忘れてはいけないとは思います。

さて、話は少し変わって本作の見方について。

音や画面の大きさなどにこだわったDolby AtmosやIMAX、3面で大迫力のSCREEN X、まるでアトラクションに乗っている気分の4DXなど、最近の映画館のスクリーンは多種多様です。スクリーンの種類を選んで観るのもとてもおすすめかと思います。

もし可能であるならば、ぜひ映画館であの懐かしいかっこいい冒頭を、体に響くようなジェット音を、空を駆ける戦闘機を、1度は観て体験していただきたい作品です。

「トップガン マーヴェリック」オフィシャルサイト
(C)2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.