映画『しあわせのパン』は、北海道の大自然にあるカフェを舞台に人と人との繋がりを描いた作品。
大泉洋演じる水縞尚が焼くパンと、原田知世演じる水縞りえの入れるコーヒーが自慢のカフェ”マーニ”で繰り広げる人間模様と、マーニから覗く景色に心が癒されます。
この記事では、『しあわせのパン』のあらすじと、パンや料理をお届けします。
『しあわせのパン』あらすじ
水縞尚(大泉洋)と、りえ(原田知世)夫婦は、北海道洞爺町の月浦という場所に引っ越し”マーニ”というカフェをオープンしました。
夫が焼くパンにあう料理を作ることと、丁寧にッドリップしたコーヒーを淹れるのがりえの役目。季節の食材をふんだんに使った料理やパン、美味しいコーヒーを求めて地元の人々が訪れる癒しの場所となっていました。
そんなマーニに来るお客さんは、何かしらの事情を抱えている方が多いものの、帰るころには笑顔で店を後にするのです。
『しあわせのパン』には春夏秋冬のエピソードがあり、
- 夏:彼氏に沖縄旅行をドタキャンされた香織(森カンナ)がやってきて、マーニで知り合った山下(平岡祐太)や、水縞夫妻に癒されながら帰っていく。
- 秋:バス停でひとりバスを待ち、結局乗らずにいた少女・未久(八木優希)をりえがマーニに迎え入れてホットミルクをご馳走。その後、訪れた父親から事情を聞いた水縞夫妻は、親子の絆を取り戻すためささやかな手伝いをする
- 冬:雪が降る中、駅に着いたと連絡があった老夫婦を尚が迎えに行きます。結婚50年、月を見たいと訪れたものの妻は痴呆症。実は、老夫婦はこの地に”眠り”を求めてやってきた。パンが嫌いだった妻が、尚が焼いたお豆のパンを美味しいと食べている姿を見た夫は、生きることを選んで帰る。
- 春:雪が解けた頃、マーニに老夫婦からの手紙が届う。そこには”ありがとう”の文字が……。そして、りえが妊娠し、尚は願っていた宝ものを手に入れる。
春夏秋冬、どの物語も水縞夫妻や人々の温かさと優しさに触れることのできるストーリーです。仕事や人間関係に疲れた人が笑顔で帰っていく。これこそが”マーニ”の願いでもあるのでしょう。
『しあわせのパン』の映画飯と見どころ
実在する魅力あふれるお店
ご存知の方も多いと思いますが、尚とりえが営むカフェ”マーニ”のモデルとなったカフェは、北海道洞爺町月浦という場所に存在しています。
また、余貴美子演じる地獄耳の陽子さんの作品として登場したガラス細工を提供したお店や、陽子さんのアトリエとして登場したお店も実在しているのです。
マーニのモデルとなったカフェの名は”ゴーシュ”。お店から見える洞爺湖は静かで美しく、凛とした空気が漂ってきます。(個人宅なので写真撮影は遠慮してほしいとのことです。)
ゴーシュさんでは、コーヒーなどの飲み物とスイーツを提供していますが、お食事メニューやパンの販売はありません。
陽子さんの作品として登場したガラス細工のお店は”glass cafe glagla(グラグラ)”。実用的なものと、そうでない何かも販売しているという素敵なお店です。
さらに、陽子さんのアトリエとして登場したのは、水の駅近くにある木造建物の”石釜パンとカフェギャラリーの店ラムヤート”というお店。
自然の循環に逆らわない生き方を目指していると言う店主のパンは、手ごねで室温発酵させたパン生地を、手作りの石窯で焼くというこだわりよう。
この美味しいパンを求めて、地元の方はもちろん遠方から多くの方が訪れています。さらに、ラムヤードさんは店内のインテリアも素敵!
パンを販売するスペースの奥には、カフェスペースもあるので焼き立てパンを美味しいコーヒーと共に頂くことが出来ます。
北海道洞爺町には、他にも素敵なお店がたくさんありますので、ぜひガイドマップでご確認ください。
焼き立てパンと採れたての野菜料理
尚は毎朝、菜園の採れたて野菜を使ったパンを焼いたり、学校給食で教師や子供たちが食べるパンを届けたりしています。
焼き立てのパンはふんわりカリカリで、スクリーンからもその美味しさが伝わって来ました。石窯に火を入れ成型したパン生地を投入。頃合いを見計らって、窯から取り出してお店に並ぶ。
パンの種類も豊富で、りえの入れたコーヒーと焼き立てパンを目当てにお客さんがやってきます。しかし本作の飯テロは、パンとコーヒーだけではありません。
菜園で採れた野菜をふんだんに使った料理は、シンプルなのに目を引く華やかさがあります。訪れた宿泊客とともに、カフェのテラスで食べるシーンは羨ましくなるばかり。
ひとつのパンをみんなで分け合う。これこそ、本作のキャッチコピーとなっている「わけあうたびに わかりあえる 気がする」そのもの。
『しあわせのパン』に登場する、北海道の小麦を贅沢に使用したカンパーニュや、りんごとはちみつのパン、そして”マーニ”に宿泊した老夫婦の妻アヤ(渡辺美佐子)が美味しい美味しいといって食べたお豆のパンのレシピは下のリンクからご覧いただけます。
ベッドの上に置かれた花にも感じる優しさ
”マーニ”の2階は、宿泊スペースになっていて通常のホテルや旅館よりももっとオープンな感じで、カーテンの仕切りだけのシャワー室だったり、通常では考えられないシチュエーションも”マーニ”だからこその魅力。
宿泊客と経営者が、パンを”分け合う”のもあまり見られない光景ですが、マーニはそれだけ近い距離で人と繋がれる場所でもあるのです。
やってきた宿泊客のためにと、庭で積んだラベンダーの小さな束をそっとベッドの上に置いておく”おもてなし”はとても癒される場面でした。
突然やってきた若い女性の様子を見たりえの、心遣いや優しさに触れた瞬間です。
インテリアや衣装も真似したくなる
公開当初は、作品内で利用されたアイテムや、マーニのインテリア、尚とりえが着ているファッションも話題になりました。
りえはコーヒーをハンドドリップで入れていましたが、その際に使用されたドリッパーはペーパーではなくネル仕様のものでした。
豆を丁寧にミルで挽き、1杯ずつゆっくりと入れるコーヒーは格別です。さらに、大泉洋の肩ひもエプロンや、原田知世のカンガルーエプロン。
特に、りえのファッションは”リンネル女子”のような、ふわっと感のある衣装がほとんどでした。優しい風合いで、くしゃっと感があるところも魅力ですね。
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©2011「しあわせのパン」製作委員会