映画【ジュリー&ジュリア】。
1949年のフランス、そしてその50年後のNYを舞台に、2人の女性の実話を描いた物語。
彼女たちの人生をなぞりながら、フランス料理の魅力をたっぷり伝えている作品です!
【ジュリー&ジュリア】を観た後は、誰かに手料理を振る舞いたくなっちゃうかも……?
この記事では、おいしい料理満載の【ジュリー&ジュリア】のネタバレと共に、映画の魅力やミニ情報、作品で出てくる料理レシピについてもご紹介します!
【ジュリー&ジュリア】あらすじ
1949年、フランス・パリ。
外交官の夫ポールの仕事の関係でアメリカから移住してきたジュリアは、フランス料理の美味しさにすっかり魅了されいました。
「好きなことは?」「食べること!」というポールとの会話から、ジュリアはフランス料理を学ぶため料理学校に通うことにします。
料理経験が全くなかったジュリアは、家での予習復習を欠かさずに一生懸命フランス料理の習得に励みました。
そして、次第に料理が生きがいと感じるようになったジュリアは、アメリカ人向けのフランス料理の本を出すという夢を持つようになったのです。
その50年後、1999年のアメリカ・ニューヨーク。
ジュリーは、作家の夢を持ちながらも昼は派遣社員として事務の仕事をしていました。
ピザ屋の2階に夫のエリックと住み、友人の派手な仕事の話にストレスを感じつつも、どこか羨ましく思っていたのです。
そんな時、ジュリーは夫の提案でブログを始めることにしました。
彼女が書こうとしたのは……。
ジュリーが大ファンだった料理家、ジュリアが出版した著書にある524のレシピについてだったのです。
【ジュリー&ジュリア】のおすすめポイント
メリル・ストリープが主演女優賞受賞!
【ジュリー&ジュリア】の見どころと言えば、何といってもメリル・ストリープの演技力でしょう。
メリル・ストリープは【クレイマー、クレイマー】(1979)でアカデミー助演女優賞を受賞、【ソフィーの選択】(1982)でアカデミー主演女優賞を受賞、ノミネートに名を連ねたのも数知れないほど高い演技力が評価されている女優です。
【ジュリー&ジュリア】では、大柄で天真爛漫で誰からも愛される笑顔の持ち主のジュリア役を演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。
2006年に公開された映画【プラダを着た悪魔】(2006)では、メリルが演じたミランダ役とは全く別人という印象で、改めて彼女の演技力の高さを感じました。
ジュリアを演じたメリルの演技は少しオーバーに感じる方がいるかもしれませんが、実際のジュリアの映像を見てみると本人そのものなのです!
フライパンをシンバルのように叩いたり、料理をしながら鼻歌を歌ったり、お鍋から具材をこぼしたりと……。
まさにメリルが演じたのは可愛いジュリアそのままなのです。
こぼれ話になりますが、実際のジュリアの身長は190㎝でメリル・ストリープは168㎝。
【ジュリー&ジュリア】で女性監督を務めたノーラ・エフロンは、メリルの足がはみ出るほど大きいベッドを用意したり、踏み台を多用してメリルの背を高く見せる工夫をしていたようです。
実話を忠実に再現!
実話を元に制作された【ジュリー&ジュリア】のこだわりは、細部まで丁寧に再現していること。
例えば、ジュリアが通っていたフランス料理学校“ル・コルドン・ブルー”。
ここは実際にジュリアが通っていた所で、フランス・パリを中心に全世界に展開する有名な料理学校です。
【ジュリー&ジュリア】では、当時の授業の雰囲気や実際に教えていたレシピを再現しているとのこと。
また、ジュリーが料理をするときはいつもパールのネックレスを付けているのですが、これはジュリアが料理をするときに付けていたのを真似ているそうです。
1本で2本分観ているようなお得感を味わえちゃう!
50年という時を隔て、2人の女性について描かれている【ジュリー&ジュリア】。
共通のレシピで繋がるものの、性格も住む環境も違う2人の人生が全く違うというのが見どころのひとつ。
2人の人生をクロスされる場面展開が巧みで、映画を2本分観れたようなお得感を感じることができるのも魅力です。
誰も成し遂げたことのないことをやる難しさを痛感!
誰もやったことのないことを成し遂げたことはありますか?
料理本を持っていたとして、その本の中のレシピを全て作ったことがある人が果たしてどれくらいいるのでしょうか。
何故ジュリーとジュリアがここまで注目を集めたのか、それは当時誰も考えもしなかったようなことを達成したからでした。
彼女たちがゴールに到達するまでの道のりは、決して楽なものではなかったのです。
特に障害となったのは“女性”という偏見の目でした。
様々な葛藤と戦いながら、ひとつのことをやり遂げることの難しさ、そして達成した時の快感。
【ジュリー&ジュリア】は、それを教えてくれる作品でもあるのです。
2人の女性の成功には、2人の男性の支えがあった!
偉業を成し遂げた2人ですが、決して彼女たちが特別であったわけではありません。
ジュリーとジュリアの共通点は、料理が大好きだったことと愛するご主人に恵まれていたことです。
料理で人生を変えようとした2人を献身的に支えて励まし、時には厳しい言葉をかけてくれるパートナーがいなければ、2人の成功はなかったでしょう。
彼女たちの意思をすべて認めてくれる優しいご主人との仲睦まじい様子は、見ていてほっこりしてしまいます。
【ジュリー&ジュリア】超ネタバレ
ジュリアの結末
フランスの有名料理学校”ル・コルドン・プルー”に通い始めたジュリアは、男性しかいない料理教室で慣れない包丁片手に悪戦苦闘します。
しかし、負けず嫌いなジュリアは家で練習を重ね、驚くほどの腕前に上達しました。
嫌味な経営者のせいで修了証書は受け取れなかったものの、料理作りにやりがいを感じたジュリアは、フランス語が読めないアメリカ人向けのレシピ本を出版する夢を持ちます。
(当時、英語で書かれた料理本は出版されていなかったのです)
夫の転勤でヨーロッパを転々としながらも、夢を諦めなかったジュリアは、助手がいなくても家で作れる“524のレシピ本”を出版しました。
それがきっかけで料理番組への出演が決まり、多くの人々から愛される料理家となったのです。
ジュリーの結末
1961年にジュリアが出版した“524のレシピ本”は、アメリカの食文化を大きく変えました。
ジュリアのことが大好きでたまらなかったジュリーは、365日間でジュリアの524個のレシピを再現するという偉業に挑戦します。
ジュリーの唯一のストレス発散法が料理作りだったこともあり、楽しみながら幾つものレシピをブログで公開し、100品を超えた辺りからコメントが届くようになりました。
ジュリーのブログは人気となり、ついに“クリスチャン・サイエンス・モニター紙”から取材を受けることに……。
しかし取材当日、彼女は手料理を用意して待っていたものの当日にドタキャンされてしまいます。
更に料理の難易度が増すごとに、作っては失敗の繰り返しでジュリーは情緒不安定になってしまいました。
夫のエリックはジュリーを献身的に支えますが、彼女は苛つきから彼に八つ当たりをしてしまい、ついにエリックは家を出て行ってしまったのです。
しかしその後、ジュリーは愛する人の協力があってこその成功だと痛感し、2人は無事仲直りしました。
2人の結末
ブロガーとして有名になったジュリーは、なんと“ニューヨークタイムズ”の取材を受けることになしました。
ところが、ある日マスコミから入った電話により、ジュリアがジュリーのブログを読んで不快に思っていることを知らされます。
それを聞いたジュリーは落ち込んだものの、「ここまでやった過程に意味がある」と、最後の一品を完成させ目標を達成したのです。
その後、ジュリーは小説家となり『ジュリー&ジュリア』を出版し、それを映画化したのが本作【ジュリー&ジュリア】です。
そして2004年、ジュリアは91歳で亡くなりました。
【ジュリー&ジュリア】シネマ飯紹介
ジュリアを虜にした舌平目のムニエル
ジュリアがフランス料理を好きになるきっかけとなった料理です。
外交官の夫ポールと、パリに着いて初めて訪れたレストランでバターの効いた舌平目のムニエルを食べ、すっかり虜になりました。
洋食屋さんの一品として人気の舌平目のムニエルは、バターとオリーブオイルがしっかり効いたムース状のソースがポイントです。
ため息のチョコレートクリームパイ
ストレスの溜まる生活を送っていたジュリーは、家に帰ってため息交じりにチョコレートクリームパイを作っていました。
「チョコと砂糖とミルクと卵黄を混ぜると、ちゃんとチョコレートクリームになるの。」というジュリー。
人生に確実なレシピはありませんが、この料理には確実なレシピがあります。
料理名を聞くだけで、そそられる一品ですね。
初めてのポーチドエッグ
酢を入れた湯の中に卵の中身を落とした、日本でも親しまれている卵料理。
ジュリーは卵が嫌いでしたが、レシピを全制覇するために初試食したところ、「チーズソースみたいで美味しい!」と感動していました。
卵だけに限らず、料理の仕方によって見た目も味も変わるので「嫌いだったけど食べられた!」ということもあるかも。
ユーモアたっぷりロブスターのテルミドール
ジュリーもジュリア共に、エビと大格闘した料理です。
ジュリーとエビの格闘シーンはコミカルな描写が読者に受け、ブログランキングが一気に3位にまで上がりました。
テルミドールとは、エビの中身を半分にし、クリームソースやチーズをかけて仕上げるグラタンのような一品です。
見た目がとてもゴージャスで、フランスではパーティーなどで出されることが多いようですね。
人生を変えたブフ・ブルギニョン
牛肉の赤ワイン煮込み(ブフ・ブルギニョン)。
今回のメニューは、謎のゲストが──
ジュリアのレシピを見て、初めて作った料理だ。
(ジュリー&ジュリア) pic.twitter.com/3gua7ax5Fv— 洋画台詞&シーンbotアペンド (@yougaserifubot2) September 10, 2019
今作で最も重要な役割を演じたのが、ブフ・ブルギニョンです。
いわゆる牛肉の赤ワイン煮込みで、ジュリアがレシピ本を出版する際に編集者が最も感激した料理がこれでした。
また、ジュリーが雑誌の企画者を家に招いた際に作ったのもこの一品です。
映画の中でジュリーたちは鍋ごとオーブンに入れていましたが、このやり方は鍋全体を加熱することでお肉が柔らかく仕上げられるらしいですよ!
ただすごく時間がかかる料理で、ジュリーは初めは焦がしてしまいました。
恐怖心を全て捨てた鴨のパイ包みパテ
ジュリーのブログの集大成となる最後のレシピが、鴨のパイ包みパテでした。
実は、フランス料理の最難関と言われているのが鴨の骨抜きなんです!
緊張するジュリーですが、「恐れないで!ナイフを持って鴨と対決!」と言うビデオの中のジュリアの言葉に背中を押され、料理は大成功!
ジュリーにとってこのジュリアの言葉は、人生の激励のようにも聞こえたのではないでしょうか?
【ジュリー&ジュリア】と言えばブルスケッタ!
冒頭でジュリーが作っていた、バターを敷いたフライパンでバスケットを焼き、その上に刻んだトマトやパプリカを乗せた料理がブルスケッタです。
エリックと一緒に食べているシーンが印象的で、【ジュリー&ジュリア】のシネマ飯といえばブルスケッタを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
とっても簡単でシンプルな料理ですが、見た目も華やかなのに簡単に出来るといことから、多くの方に愛される一品となっています。
【ジュリー&ジュリア】ラストに賛否⁉︎
最終的に出会うことがなかったジュリーとジュリア。
物語の終盤では、ジュリアがジュリーのブログを“不快”に思っていると聞いてジュリーがショックを受けますが、「何故ジュリアは不快に思ったのか?」疑問に思っている人が多いようです。
公開当初、監督は何度もこの質問を記者から受けたのだとか……。
ジュリアが不快に思った理由には様々な説があります。
- ジュリアはジュリーのブログを、料理の良さを広めるためでなくお金目当てのものだと思ってしまった。
- そもそもジュリアはジュリーのブログを読んでいない。
- ジュリアは古い人間のため、ブログに抵抗があった。
- ジュリアはジュリーに自分の偉業を取られるのが嫌だった。
- ジュリーのブログ記事の中にジュリアを批判するようなコメントが多数あった。
実際のところは分かりませんが、確かにハッキリとした”理由がわからず”モヤモヤが残ってしまうのかもしれません。
とはいえ、何もかもハッピーエンドで終わらない点がリアルにも感じました。
【ジュリー&ジュリア】の感想
ジュリアの「ボナペティ!」というセリフが印象に残る映画です。
作品に出てくる料理はどれも食べたことないフランス料理ばかりだし、どれも美味しそうで観ていてお腹が空く飯テロ映画に間違いありません。
また、不器用ながらも一生懸命な可愛い2人を堪能できる楽しい映画でした。
人生を変えるのは自分次第!自分次第でいくらでも楽しくなる!と教えてもらいました。
それにしても、524のレシピをたった365日で制覇したジュリーは本当にすごいし、物語が進むにつれてぷくぷく太っていくジュリーがとってもチャーミングです。
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