【ダンス・ウィズ・ウルブズ】は、ケビン・コスナーが監督・主演を務め、アカデミー賞7冠に輝いた歴史大作。
南北戦争時代のフロンティアを舞台に白人とスー族と呼ばれる先住民(ネイティブアメリカン)との交流を描く。
【ダンス・ウィズ・ウルブズ】のあらすじ
1863年、テネシー州は激戦化する南北戦争の真っただ中にいました。
北軍のジョン・ダンバー中尉は戦いで負傷し、足を切断するほどの大怪我を負ったものの、足を失った他の兵士を見てショックを受け、医師が目を離した隙に前線に戻ります。
兵士にも疲れが溜まっていた戦場では、南軍と北軍それぞれがにらみ合ったままで進行していませんでした。
そんな中、ダンバー中将は馬に跨り南軍と北軍の間で馬を走らせます。
敵軍が銃弾を浴びせるも当たらず、まるで威嚇するかのように……。
しかし、これは単なる威嚇ではなく、彼は撃たれて死のうと思っていたのです。
ところが、これを機に士気があがり形勢逆転。
ダンバー中将は”死のうと思ったのに生きる英雄”となってしまいます。
彼の”活躍”を見ていた大将は担架で運ばせ、自分の主治医にダンバーを治療させたのです。
その後、ダンバーは希望する戦場での任務を与えられました。
彼が次に任務に就いた場所は、彼らの王国の果てセッジウィック砦で馬車で数日かかる場所だったのです。
【ダンス・ウィズ・ウルブズ】の見どころ
インディアンの言葉は女性用だった
本作では、先住民(ラコタ語)の言葉が使われていますが、実は俳優や女優に言語を教えた方が女性だったため、ラコタ語を知っている方は作品を観て大笑いしたそうな……。
ラコタ語には、男性語と女性語があり作中で使われていた言語は全て女性が使う言葉だったようです。
日本語で言えば、男性が「そうよね」とか「知ってるわ」といった、オネェ言葉を使うようなモノだったと言うのです。
彼らには部族名で”蹴る鳥”や”風になびく髪”、”10頭の熊”といった名前が付けられており、自分たちは白人より優れている強い種族だと自信を持っています。
そんな野生児で男らしい彼らが、実は女性語で話していたという驚きの裏話があったとは……。
それを知った上で視聴した時には、想像して思わずクスッとしてしまうかもしれませんね。
戦争という背景に描かれる愛の物語
愛というのは、男女の愛、家族愛、友情と言ったさまざまなものがありますが、ここで描かれる”愛”も様々な視点で描かれています。
そういった戦争の背景でダンバー中将は、白人として初めてスー族に歩み寄り、信頼と友情を得ると同時に、彼らの生き方に何かを感じスー族として生きることを選びます。
さらに、幼い頃ポーニー族に家族を殺され、スー族に拾われた女性に好意を抱き、彼女の夫となるなど、色々な愛の形が楽しめる作品です。
広大な土地、インディアンの生き方
ネイティブアメリカンの生活は、資料や本などで目にするものの、実際の彼らの暮らし方や儀式などには直接触れることはあまりありません。
この作品では、彼らがどうやって生きているのか、どんな暮らしをしているのか、決まり事や風習なども目にすることが出来ます。
何もないとはまさにこのことで、砂地と川、所々に草が生えているだけで、余計なものは目に入らない大自然そのものです。
遠くの方まで見渡せる場所に立つ砦は、戦いに疲れ果てたダンバー中将の希望の任地そのものでした。
スー族は、ダコタ族やラコタ族、ナコタ族の総称で、果敢で勇猛な部族としても知られています。1876年にはカスター将軍の部隊を全滅させました
コマンチェ族は、バッファロー狩りを生業とする好戦的な奪略部族で、第二次世界大戦では、英語を部族後に変えて暗号者として戦場に出た者もいます。
元々コマンチェ族は、ショショーニ族から派生した部族です。
本作ではスー族という設定でありながらも、コマンチェ族の一面も描かれています。
作中ではダンバー中将が、バッファローの皮と舌だけを狩り、あとは放置していく白人の行いに心を痛めているシーンがありました。
白人は、バッファローの毛皮を剥ぎ、舌を切り取っただけであとは死骸を放置するのに対し、スー族は命を頂く事への敬意を払って狩りを行っています。
スー族が白人を敵対視するのも、当初ダンバー中将を警戒していたのも、こういった白人の行いや残酷さも原因のひとつにあるのかもしれませんね。
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