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【ボヘミアン・ラプソディ】ラミ・マレックが魅せるフレディ・マーキュリーの光と影。

1991年にHIVによる肺炎でこの世を去ったクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーを描いたこの映画では、クイーンの誕生から1985年のライヴ・エイド出演までが描かれている。顔も体型も似ていないラミ・マレックはフレディ・マーキュリーを見事に体現し、この年のアカデミー賞主演男優賞を獲得した。

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あらすじ

空港で働いている移民のフレディ[本名ファルーク・バルサラ](ラミ・マレック)は両親と妹の4人暮らし。

夜な夜な遊びに出かけるため厳格な父とは折り合いが悪い。

お気に入りのバンドのライブにやってきたフレディはそこで気になる女性を見かける。

流行りのショップ“BIBA”の店員だという彼女と言葉を交わしたあと、フレディはバンドのボーカルがやめたことを知り代わりに自分はどうかとメンバーに売り込んだ。

フレディはBIBAを訪れ、先日話した女性メアリー・オースティン(ルーシー・ボーイントン)と仲良くなりコーディネートやメイクをしてもらうようになる。

初ライブの日、新加入のベース、ジョン・ディーコン(ジョゼフ・マゼロ)とフレディ、そして前から一緒にやっているハンサムなドラムのロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)を紹介するギターのブライアン・メイ(グウィリム・リー)。

メアリーも見守る中、歌詞を間違えながらもフレディはバンドのリード・シンガーとして独特のパフォーマンスを行なった。

一年後、学生バンドとして人気の出てきた彼らは、ジョンの車を売った金でアルバム制作をすることに。

フレディの意向でバンド名もクイーンに変えた。

メアリーとつき合うようになっていたフレディは、彼女の聾唖ろうあの父も招待したホームパーティの席で、クイーンに興味をもったEMIの大物マネージャーからのオファーが舞い込みメンバーたちは歓喜する。

≡聾唖≡

聴覚障害者のこと

エルトン・ジョンのマネージャーでもあるジョン・リード(エイダン・ギレン)に認められたクイーンは、正式にデビューし人気者となっていく。

そんな中、メアリーに指輪を渡して永遠の愛を誓うフレディ。

するとそこにメンバーが乱入し、アメリカツアーが決まったことを告げるのだった。

フレディは、長きにわたるツアー中に離れ離れのメアリーに頻繁に電話するが、男性からの視線を意識している自分がいることに気づき始める。

ツアーを成功させイギリスに戻ってきたクイーンはEMIの重役レイ・フォスター(マイク・マイヤーズ)、弁護士のジム・ビーチ(トム・ホランダー)、ジョン・リードたちと会い次回作について話し合う。

*ジムはフレディにマイアミ・ビーチと名付けられる

「キラー・クイーン」のような曲がほしいというレイに対しフレディたちは同じことは二度やらないと反発し、オペラのようなアルバムを作ると宣言する。

そして、予定をオーバーしてアルバム「オペラ座の夜」が完成した。

リード曲として彼らが示した「ボヘミアン・ラプソディ」は6分と長尺で、レイはラジオで流してもらえないと別の曲を推すがそれを拒絶。

ゲリラ的にラジオで流したが、マスコミに酷評されてしまう。

しかし、結果的にアルバムはヒットしクイーンはまたツアーで世界を回ることになる。

メアリーと離れているうちにフレディは、次第に現場マネージャーであるポール・プレンター(アレン・リーチ)と深い関係になっていく。

ツアーを終えたフレディがメアリーに自分がバイセクシャルだと告げると、メアリーは気づいていたといってお互い愛し合いながらも距離をとるようになる。

フレディは引っ越し、メアリーもすぐ隣りに住むが直接会うことは減り会話は電話でするようになった。

他のメンバーたちは結婚して子どもができ、フレディは孤独感を深めていく。

フレディはポールとともにパーティを開くがメアリーは来ず、メンバーたちもノリの違いからすぐ帰ってしまう。

宴のあと、フレディは片付けをしていたスタッフのひとりにちょっかいを出し怒らせてしまう。

必死に謝りながら彼と仲良くなりたいと思ったフレディはビールをすすめた。

すると、その男性ジム・ハットン(アーロン・マカスター)は「本当の君を見つけたらまた会おう」とキスをして去っていった。

メンバーたちはスタジオでフレディを待っていた。

待ちきれなかったブライアンは、ツアーで感じた観客との一体感を曲に反映させようと足踏みを始めるが、現れたフレディとギクシャクしながらも「ウィ・ウィル・ロック・ユー」を完成させ、それは新たなヒット曲となる。

そんな中、フレディをソロデビューさせる話が持ち上がる。

メアリーに新しい恋人ができたことを知りイラ立っていたフレディは、バンド内に不満があることを匂わせながらソロの話をしてきたリードに腹を立てその場で解任してしまう。

スタジオで次回作を検討しているメンバーたちからリードの解任をとがめられるが、酔っていたフレディは意に介さずマイアミをマネージャーにする。

クラブで踊れるような音楽を提案するフレディにロジャーは「クイーンじゃない!」と抵抗しケンカになるが、ジョンの鳴らすベースの音にブライアンが反応し、そのイントロのリフが印象的な楽曲「地獄へ道づれ」が出来上がった。

アルバム発表後、開かれた記者会見ではフレディのセクシャリティなどについて質問が集中。

その後、発売された「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」のミュージックビデオでの女装がアメリカで問題視され放送禁止になるなど受難がつづく。

そのタイミングでフレディは高額でソロ契約したことをメンバーに告げ、彼らとの溝が決定的になってしまう。

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【ボヘミアン・ラプソディ】ネタバレ

フレディは、ミュンヘンでソロアルバム制作に集中していた。

傍にいたポールは、メアリーの電話をフレディに取り次がず、マイアミからのチャリティーコンサート(ライブエイド)オファーの件も意図的に伝えなかった。

ポールはたくさんのゲイを常にはべらせ、フレディは酒とドラッグにまみれ次第にやつれていく。

ある晩、心配したメアリーがロンドンからやってくる。

フレディは「君が必要だ」とすがるが、メアリーは既にパートナーの子どもを身ごもっていた。

ショックを受けたフレディの態度にメアリーは失望し去ろうとする。

祝福の言葉をかけるため追いかけてきたフレディに対してメアリーは「みんなあなたを愛してる。私やバンドの皆はあなたの家族。家に戻って」と言って帰っていく。

フレディはライブエイドのことを隠していたポールをクビにし、二度とその顔を見せるなと追い出した。

ロンドンに戻ったフレディは、ポールによる暴露インタビューを虚ろな目でみていた。

マイアミに電話しクイーンに戻りたいと伝えると、「3人は怒っている」と言いつつもマイアミは4人で会えるようセッティングしてくれた。

マイアミの部屋に全員が揃いフレディは「君らが必要だ」と心から謝ると、3人は形ばかりの相談をしてフレディを受け入れた。

条件は今後すべての楽曲はクイーン名義にし、金もクレジットも均等にするというものだった。

そしてフレディはライブエイドへの出演を熱望する。でなければ一生後悔すると。

フレディには時間がなかった。エイズに冒されていたのだ。

ライブに向けて4人は練習したが、演奏は完璧だが肝心のフレディの声がでない。

フレディは練習を切り上げ、メンバーに自分がエイズであると告白する。

ショックを受けるメンバーに、フレディは当分の間は秘密にしてほしいと頼み、最高のパフォーマンスを約束て4人は肩を組んだ。

その後、フレディはロンドン中を探し回りジム・ハットンを探し出した。

ライブエイド当日、フレディは改めて友人となったジムを連れ実家を訪れる。

家族にあいさつしすぐ会場へ向かおうとする息子は父の教えである“善き思い 善き言葉 善き行い”を口にする。

父子はようやく打ち解け抱き合うのだった。

会場に到着しパートナーのジム、大切なメアリーとその恋人、そしてマネージャーのマイアミが見守る中、メンバーとともにフレディはステージへと上っていく。

そして伝説のライブがいま始まる……。

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フレディ・マーキュリー役:ラミ・マレック

エジプト系のアメリカ人であるラミ・マレック。

【ナイトミュージアム】シリーズで演じた博物館の展示物・エジプト王アクメンラーの印象が強い。

テレビドラマでも活躍していた彼が、映画で初めてつかんだ大役がこのフレディ・マーキュリー役だった。

2010年頃から企画が持ち上がっていたこの映画は、監督やキャストが二転三転し、フレディ役が決まったのは2016年秋。

そこからマレックはフレディの喋り方を習得し、出っ歯の顔を表現するため義歯をつくり、モーショントレーナーについて動きを研究したという。

歌唱自体はフレディ本人や別のシンガーのものが主だが、ライブシーンでの独特のパフォーマンスは本人の動きを見事に再現していてフレディより身体が小さいにも関わらず、まるで本物かと錯覚してしまうほどだ。

加えてメアリーに対する愛情表現や孤独を感じたときの見開いた眼、差別やイヤなことを言われたときのバツの悪い表情など、抜群な演技力でフレディ・マーキュリーの光と闇を浮かび上がらせる。

そして第91回アカデミー賞最優秀主演男優賞を獲得した授賞式はアダム・ランバートをボーカルに迎えたクイーンのライブで幕を開け、主演男優賞発表の瞬間ラミ・マレックは後方の席にいたブライアン・メイとロジャー・テイラーを指差してからステージへ向かったという。

このときスピーチでラミは、「マイノリティの人に勇気を与えるこの映画に非常に共感し自分自身の物語でもある」と言い、共演したメアリー役ルーシー・ボーイントンに心奪われたと述べている。

2021年現在結婚はしていないが、恋人として交際は続いているようだ。

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おすすめポイント

クィーンのメンバーの再現度

フレディ・マーキュリーの再現度は先に述べたとおりだが、それ以外のメンバーのビジュアルも期待以上だった。

ギタリスト、ブライアン・メイを演じたグウィリム・リーはイギリスの俳優。

フワフワのアフロヘアと高い鼻は本人そっくりで、天文物理学者でもあるメイの知的で冷静沈着なイメージぴったりだった。

ベーシスト、ジョン・ディーコン役ジョゼフ・マゼロはアメリカの俳優。

主演のラミ・マレックとは2010年のテレビドラマで共演している。

劇中でもメンバーのケンカを止めるなど温厚な人物で、普通に電気工事でもしていそうな風情がよく似ている。

ドラマーで女性人気の高いロジャー・テイラーを演じたのはイギリスの俳優、ベン・ハーディだ。

本物のロジャーのまとう退廃的な雰囲気をちょっと健全にしたようなキュートさがあり、チャーミングでやんちゃな動きで華やかさがある。

ちなみにライブエイドの発案者、ボブ・ゲルドフ役のダーモット・マーフィーのビジュアルも、本人より多少若くて可愛らしいが口からアゴのラインやヒゲの青さ具合がいい感じに似ている。

圧巻のライブシーン

1985年7月13日、イギリスのウェンブリー・スタジアム(とアメリカのJFKスタジアム)で行われた20世紀最大のチャリティーコンサート。

各参加者の持ち時間は20分だったが、クイーンだけは6曲を披露した。

映画では「ボヘミアン・ラプソディ」(短縮版)、「RADIO GA GA」、「ハマー・トゥ・フォール」、「伝説のチャンピオン」の様子が流れるが、実際は「愛という名の欲望」、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」(短縮版)も演奏された。

そのときのウェンブリー・スタジアムは2002年に建て替えられてしまったため、空軍基地内にセットをつくって撮影されたという。

当時のファッションに身を包んだ多くのエキストラや関係者に見守られ、闘病中にも関わらず圧巻のパフォーマンスをみせたフレディ・マーキュリー。

ラミ・マレックの演技も魂のこもった迫力あるものになっている。

まさに観客と一体となったライブ会場の興奮を体験していただきたい。

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まとめ

ライブが終わり、その後のフレディの軌跡が紹介されているバックには「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が流れている。

“いまはどうか止めないでくれ”

それはエイズによって死期が迫るフレディの叫びのように聞こえる。

そしてクレジットのバックで流れるのは1991年発表の「ショウ・マスト・ゴー・オン

病が進行し体調も悪い中、ブライアンがつくったこの曲を“命ある限りショーを続けなくては”と自らを奮い立たせるかのように歌ったという。

この映画【ボヘミアン・ラプソディ】を通してフレディ・マーキュリーの、そしてクイーンというバンドの生き方をぜひ感じてほしい。

©2018 Twentieth Century Fox