【ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~】ネタバレと解説。平和に見える田舎町には女たちの裏の顔があった。

【ブロー・ザ・マン・ダウン】あらすじネタバレと解説。

アメリカ・メイン州の港町イースター・コーヴで、とある姉妹が起こした殺人事件。

この事件をきっかけに浮かびあがってきたのは、町に住む女たちの秘密でした。

女たちには裏の顔があった!? 映画【ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~】見どころと感想をお伝えします。

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【ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~】あらすじ

アメリカ北東部メイン州にある港町イースター・コーヴ。

メアリーは、女手ひとつで育ててくれた母親が亡くなった後、姉プリシラの住む実家へと帰郷します。

葬儀で母の友人たちが思い出話に花が咲く中、姉妹は母親が家を担保に借金していたことを知りました。

母親が切り盛りしていた魚屋が、経営難に陥っていた事を知らなかった2人はショックを受けてしまいます。

大学進学を希望していたメアリーは町を出ていくと言い、実家を大切にしていたプリシラと口論となり、家を飛び出してしまいました。

メアリーは、立ち寄った酒場でゴースキーという男と出会い意気投合。

ゴースキーの車をメアリーが運転して、2人は夜中のドライブを楽しみます。

しかし、ゴースキーと話すうちに危ない男なのではないかと思い始めたメアリーは、動揺してハンドル操作を誤り、看板にぶつけてしまいました。

とりあえず誰かに見つかる前にその場を離れた2人でしたが、メアリーは車を停めた際、トランクに血が付着していることに気づき更に動揺してしまいます。

遂にはゴースキーの首を銛で刺し、レンガで頭を殴って死なせてしまったのです。

血まみれで帰宅したメアリーを見たプリシラは、事情を聞いて警察に通報しようとしますが、結局2人で死体を処分することに。

そしてこの事件が、町の闇を明かす引き金となっていくのです。

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【ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~】見どころ

殺人事件が殺人事件へ

メアリーの殺人事件を中心に繰り広げられるドラマかと思いきや、少し違う展開になっていきました。

ゴースキーの遺体を魚をさばく包丁で切断し、クーラーボックスに入れて海に沈めた2人。

その後、遺体が見つかったと警察が出動する騒ぎとなるのですが、その遺体はゴースキーのものではなく、売春宿で働いていた女性アレクシスでした。

一見全く関係ない2つの殺人事件のように思わせておいて、実は2人が繋がっていたと徐々に明かされていくことになるのです。

町でのエニッドの役目

イースター・コーヴで売春宿を営んでいるエニッド

かつて町では、男たちが女を連れ込んで治安が悪化した時期がありました。

そこで男社会に対抗し、女性たちの立場を保つため、エニッドらが売春宿を作ったのです。

どうやらこの件に、プリシラとメアリーの母親も深く関わっていたような事をエニッドは匂わせていました。

しかし、2人の母親だけではく、表立っては分からないようにしているものの、町全体の女たちが多かれ少なかれ関係していることが伺えます。

最終的にエニッドが、ひとりでこの役を背負わされて運営することになり、エニッドはそのために自分の人生が大きく変わった恨みのようなものを抱いているようです。

度々、「ミセス(既婚)じゃなくてミス(未婚)よ!」と、いちいちこだわっていたことからも彼女の苦しみが伺えました。

余韻を残すラスト

アレクシスを殺害したのは実はゴースキーだった、という事は途中で判明しますが、ゴースキーの死体は見つからないまま。

同級生だった警察官に、なんとなく疑われていたものの逮捕までには至りません。

そして、物語がこのまま終わるのか?と思われたラストシーン。

プリシラとメアリーが、今後の事を話しつつ道で会うおばさん達に挨拶しながら歩いていると、庭先でクーラーボックスを洗っているひとりのおばさんを目にします。

なんとそのクーラーボックスは、2人がゴースキーの死体を入れて海に沈めたものだったのです。

そして、2人にニッコリと笑いかけるおばさんのシーンで物語は終わります。

この女性たちは、2人がゴースキーの殺害に関わっていることを知っていたのかどうなのかは明らかにされていません。

しかし、その前に出会ったおばさん達が、みな”ブロー・ザ・マン・ダウン”を口ずさんでいたのです。

その歌の内容から、私たちは何があったか知ってるよ、知ってるうえであなた達を守るわよ、といった空気を感じました。

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【ミニ情報】

船乗りの歌”Blow the man down”

タイトルにもなっている”Blow the man down(そいつをぶっ倒せ)”は、冒頭で男が力強く歌っていた歌。

この歌は水夫たちの”しごと歌”で、錨を捲きあげたり、ロープを引いたりしながら歌われていたそうです。

歌は仕事を手助けするばかりではなく、水夫たちに心理的は解放感も与えていました。

昔の水夫たちの生活は、粗末な食べものや安い賃金、船長の作った掟が絶対で、少しでも逆らえばたちまち鞭打ちの刑が待っています。

水夫たちは、そんな不平を冗談めかして、自分たちの歌の中で言うしかなかったということです。

なお、「Way – hey, blow the man down」と「Give me some time to blow the man down」以外の歌詞は、地方によって違った歌い方をされているようです。

存在感がすごかったマーゴ・マーティンデイル

脇役ながら強烈な存在感を放っていエニッド役を演じたマーゴ・マーティンデイル。

大学卒業後、舞台経験を積んだのちにテレビ映画でデビューしました。

映画やドラマでコンスタントに活躍しているマーゴは、ドラマ【JUSTIFIED 俺の正義】(2010~2014)でプライムタイム・エミー賞を受賞、ドラマ【ジ・アメリカンズ】(2013~2018)でもプライムタイム・エミー賞のゲスト女優賞を受賞するなど、多くの映画やドラマで爪痕を残しています。

今作でも、売春宿の貫禄あるおかみさん役でいい味だしていました。

私生活では、1986年に結婚し一児の母でもあるようです。

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【ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~】感想

冒頭で、銛で突き刺すという大胆な殺害場面で、ここから一気にサスペンス的要素が入ってくるのかと思いましたが、ゴースキー殺害は単なる前座

それからじわじわと明らかになっていく町の歴史。

女性たちが結束している様子では、単純な解釈でもいいし、深読みしようと思えばいくらでも深読みできる余地が残されていて、色々な楽しみができる映画でした。

一度だけではなく、見るたびに新しい発見、新しい考えが浮かんでくるかも知れません。

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