映画【愛なき森で叫べ】あらすじ。
その男は女性ばかりを騙す”村田”という天才詐欺師。
翻弄される女性たちは本当の愛を信じているのか?それとも嘘を信じているのか?
Netflixオリジナル映画【愛なき森で叫べ 】の監督は鬼才・園子温(その しおん)。
実際に起きた事件をベースに描いたサスペンススリラーです。
日本が生んだ鬼才・園子温監督
園子温監督は、国内外の多彩な映画を紹介する映画祭 ”ぴあフィルムフェスティバル”で注目され、2002年公開の【自殺サークル】で一躍注目された人物。
その後も、4時間にも渡る超大作【愛のむきだし】(2009)や【冷たい熱帯魚】【2011)【ヒミズ】(2012)などの話題作を手掛け、カルト映画の鬼才と呼ばれるようになりました。
全世界で絶賛された【冷たい熱帯魚】は、1993年に発生した埼玉愛犬家連続殺人事件をベースに、人間の秘めた狂気と極限の愛を描いたサスペンス映画です。
【愛なき森で叫べ 】あらすじ
自主映画を製作する若者や悲しみを抱える女性たちだけでなく、その家族の人生にまで入り込み、思いのままに彼らを操る詐欺師。そのゆがんだ欲望は尽きることがない。
その日、テレビでは連続殺人事件のニュースが流れていました。
愛知県から上京してきた家出少年のシン(満島真之介)は路上で歌い、その日暮らしを送っていましたが、突然若者たちに声をかけられて自主映画の撮影に参加することになります。
彼らは映画製作の為に、知人の妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)に出演してくれるよう依頼しましたが、美津子は高校時代にクラスメイトの死に直面した事件をいつまでも引きずっており、出演を拒否したのです。
そんなある日、引きこもりがちの美津子に1本の電話がかかってきます。
「10年前に借りた50円を返したい」という、村田と名乗る不思議な男からの電話でした。
美津子はその申し出に怪しさを感じながらも、その男に会いに行くことに……。
村田丈(椎名桔平)は、粋な背広に高級スポーツカーを乗り回す派手な男で、彼女に対して好意を示し、美津子も紳士的な村田に徐々に惹かれていきます。
しかし実は、村田は女性を騙して食い物にする冷酷な詐欺師だったのです。
その後、シンたちは妙子の姉が村田に騙された事を知ります。
村田の本性を知ったシンたちは、逆に村田を主人公にした映画を撮り始めることにしたのです。
ところが、彼らの撮影は殺人事件を想起させ、物語は思わぬ方向へと展開していく事に……。
さらに、ラストではどんでん返しの結末が待っていたのです。
【愛なき森で叫べ 】見どころ
実話ベースの緊張感
本作は日本で起きた最悪な凶悪事件であった「北九州連続監禁殺人事件」が、ベースになっています。
この事件は2002年に発覚し、犯人は一家を含む7人を殺害した犯罪史上稀に見る凶悪犯罪で”鬼畜の所業”と非難されるほどの犯罪事件でした。
本作は実話をモチーフとした内容だけに、後半からはリアルな展開と緊張感に満ち溢れています。
圧倒的なテンション
孤独を抱えた若者たちの心を巧妙な言葉で満たしながら洗脳し、やがて狂気の世界へと埋没していく。
そんな恐るべき集団心理を、園監督は壮絶な暴力と愛を交えながら、圧倒的なテンションの高さで一気に描き切っていきます 。
ドラマはトータルでおよそ2時間半。
しかし、そんな長尺を全く感じさせない展開はさすがとしか言いようがありません。
見事な、狂気の群像劇
本作では自己陶酔型の詐欺師・村田を演じる椎名桔平を筆頭に、日南響子と鎌滝えりなど個性派役者陣のあえて過剰に取り作ったような演技で、狂気の群像劇を存分に盛り上げてくれます。
俳優たちの全員が適役で、それぞれの熱演・怪演・競演が素晴らしく見ごたえがある作品に仕上がっています。
【愛なき森で叫べ 】感想・評価
絶妙にサイコチックな演技
詐欺師の村田はとんでもない極悪人なのですが、見栄を張る割には気が小さく妙にとぼけていて憎めないところもあります。
椎名桔平はそんな村田丈という男をパワフル且つ、本物のサイコパスを感じさせるほどのリアルな演技を見せつけてくれました。
日本アカデミー賞主演男優賞ノミネートも納得です。
Netflixならではの作品
全世界で多くの会員数を誇るNetflixは、広告スポンサーの規制を受けずに会員の視聴料で運営されています。
それ故に視聴者から作品の質も問われるため、注目のクリエーターや有名監督も積極的に導入しオリジナルドラマの製作に力を注いでいます。
本作もかなり身の毛もよだつような過激なシーンもありますが、表現の規制をあえて設けないNetflixだからこそ実現した作品と言えるでしょう。
そしてラスト。タイトルの意味とは?
愛憎の渦にもまれた美津子は、森の中で最期を迎えます。
美津子は「亡くなったクラスメートも家族も、村田も最初から愛していない・・・憎かった」と叫びました。
自分には本当の愛は無かったと叫んだラストから【愛なき森で叫べ】。
単純なようで深く、驚くほどサイコで悲劇的な結末の作品でした。
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