【ザ·サイレンス 闇のハンター】音なき世界の極限なる恐怖。

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【ザ・サイレンス-闇のハンター-】コラム。本作は、2019年に公開されたアメリカとドイツ合作のホラー映画。声さえ出せない静寂の世界で生き延びようとする家族と、音だけを追う未知の怪生命体との死闘を描いた物語。

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【ザ·サイレンス 闇のハンター】あらすじ

ある日突然、未知の怪生命体が世の中の全ての音を飲み込み、音を出す生命体を攻撃し世界は大混乱に陥りました。

9歳の時に事故で聴力を失った少女アリー(キーナン·シプカ)は、父ヒュー(スタンリー·トゥッチ)と母ケリー(ミランダ·オットー)、弟のジュード(カイル·ハリソン·ブライトコフ)と祖母のリン(ケイト·トロッター)、父親の友人のグレン(ジョン·コーベット)と危険な都市を離れ、静かに会話が出来る彼らだけの方法で生き残り、最後の死闘を繰り広げることに……。

恐怖が聞こえた瞬間、巨大な災いが始まる―――――

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【ザ·サイレンス 闇のハンター】の原作

【ザ·サイレンス 闇のハンター】は、ニューヨークタイムズのベストセラー作家であり、4回の英国幻想文学賞受賞、ブラム·ストーカー賞と同時に刊行物優秀賞受賞に輝いたティム·レボンの小説【The Silence】を映画化したもの。

まるで、現実的に目の前に繰り広げられるかのように、生き生きと描き出した彼の言葉で完成された小説は、映画など多様な映像のクリエイティブが、映像として具現したがる作品の一つでもあります。

世界最高のベストセラー作家スティーヴン·キングが、平凡な日常を一気に恐怖に変えるスタイルだとすれば、ティム·レボンは人間が生きる新しい世界、そして世の中で新しく登場する存在で、SFとホラーを行き来しながら、サスペンス溢れるジャンルで、読者の心を掴み取るスタイルだと言えます。

【The Silence】を出版した当時、絶対に音を出せない世の中という新鮮な設定と、本を閉じるまで息を出すことさえ出来ない程の圧倒的な没入感で読者を興奮させ、沈黙に対する強烈なメッセージを伝えました。

しっかりとした原作を基に誕生した【ザ·サイレンス 闇のハンター】は、スケールが異なる圧倒的な災害恐怖の中で、日常になってしまった携帯電話のアラーム音など、私達を24時間取り囲んでいる”音”も、簡単に崩れかねない社会の断面に対する鋭い視線も隠さないことでしょう。

本作は、無限な想像力と恐怖心を刺激した小説【The Silence】と、ホラー映画のレジェンド【アナベル 死霊館の人形】(2014)のジョン・R・レオネッティ監督の優れた演出が出会って完成した、歴代級の災難を迎えた人類の姿が描かれています。

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監督の演出と俳優達の演技力

監督

本作で監督を務めたジョン・R・レオネッティは、【ピラニア3D】(2010)、【インシディアス】(2011)、【インシディアス 第2章】(2013)、【死霊館】(2013)では撮影を担当。

【モータルコンバット2】(1997)で初監督を務め、以降【バタフライ・エフェクト2】(2006)【アナベル 死霊館の人形】(2014)や【7 WISH/セブン·ウィッシュ】(2017)を世に送り出しています。

キーナン·シプカ

主演のキーナン·シプカ(Kiernan Shipka)は、1999年生れのアメリカ出身の女優。

2007年からTVドラマ【マッドメン】にサリー·ドレイパー役でレギュラー出演し、2006年に共演者と共に全米映画俳優組合賞アンサンブル賞を受賞しました。

代表作は【マーシャル博士の恐竜ランド】(2009)、【キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争】(2010)、【フェブラリィ-悪霊館-】(2015)、【シークレット・チルドレン 禁じられた力】(2015)など。

Netflixで配信中のドラマ【サブリナ:ダーク・アドベンチャー】(2018-)では主人公サブリナ役を演じています。

また、女優のエマ·ワトソンに似た外見から<第2のエマ·ワトソン>というニックネームを付けられています。

キーナンは本作で、音が消えてしまった世界唯一の希望として浮上した主人公であり、幼い頃の事故で聴覚を除いた他の五感が発達した少女アリー役を演じています。

彼女は、本能的に危険を察知し、人類の声を追う脅威的な存在から家族を守る最も強い人物に成長していくアリー役を成功させるため、専担コーチから手話を学ぶなど演技に心血を注いだようです。

映画の没入感を高める音のない演技を完璧に披露したキーナン·シプカ。

今後、世界で最も注目を浴びる1人になるに違いないでしょう。

スタンリー·トゥッチ

父親のヒュー·アンドリュース役には、1960年生れの米国出身の俳優兼映画監督のスタンリー·トゥッチ(Stanley Tucci)。

ニューヨーク州立大学演技学科を卒業し、1985年に映画【女と男の名誉】でデビューして以降、【ターミナル】(2004)、【プラダを着た悪魔】(2006)、【バーレスク】(2010)、【キャプテン·アメリカ/ザ·ファースト·アベンジャー】(2011)、【ハンガー·ゲーム】(2012)シリーズ、【ジャックと天空の巨人】(2013)、【トランスフォーマー】(2014)シリーズ、【美女と野獣】(2017)など、多くのヒット作に出演しています。

スタンリーは、脇役ながらも印象深い名演技で、誰もが一度見たらずっと記憶に残る、そんな神秘的な雰囲気を漂わせています。

本作では名優と呼ばれるほどの安定感ある演技で「実際にパニックに陥っている」かのようでした。

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【ザ·サイレンス】のコンセプト

【ザ·サイレンス 闇のハンター】は、絶対音を立ててはいけない世界をテーマにしています。

音を立てると攻撃を受けるというのは、【クワイエット·プレイス】(2018)と類似点があり、主人公の娘が聴覚障がいを持つという設定も似ていますが、怪生命体と時間帯設定といった相違点があります。

【クワイエット·プレイス】では、音を出す人類を攻撃する怪生命体について、外界から来た怪生命体程度という説明しかしていませんし、災害発生後の世界を描いています。

怪生命体の描写としては【クワイエット·プレイス】の怪生命体は目がなく、長い腕で4足歩行をしており、攻撃する姿は、【エイリアン】(1979)や、【プレデター】(1987)を連想させるものでした。

一方で、本作の怪生命体も目がありませんが、見た目はコウモリに近く、彼らが人間などを攻撃する場面や、群れとなって木の枝に座っている場面は、【鳥】(1963)と非常に似ていることから、他の惑星から来た生命体ではなく、数十万年前から続いた神話の中の存在を作られたのでしょう。

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怪生命体

地球の中で、想像も出来ない怪生命体達が住んでいるという地球共同説から、この映画の怪生命体達は誕生しました。

【MEG ザ·モンスター】(2018)が、深海に住んでいたサメが出現しましたが、【ザ·サイレンス 闇のハンター】は、地下の洞窟に住んでいた怪生命体が地上に上がって来て地球を占領しました。

地球の奥深い洞窟の中で生きていた為、目は退化して消え、聴覚だけで動く巨大なコウモリ達が科学者によって封印が解かれ、人類を襲撃することになります。

怪生命体は、視覚と空間感が無能に近いものの、聴力は非常に発達して小さな音にもすぐ反応し、コウモリや鳥のように素早く探し出し、人間だけでなく動物や機械までも攻撃します。

目が退化した姿や狩り、卵まで生む怪物の姿は、気味が悪くもインパクトがありました。

なお、この怪生命体は非常に強力で人間本来の力では対抗出来ません。

ただ、映画【サラマンダー】(2003)では、火を噴く巨大な竜が地下から飛び出して地球を焦土化させましたが、この映画の巨大な怪生命体達はそれ程の戦闘力を備えていません。

音だけで動く彼らは目がないことが短所なので、作中ではシュレッダーの音に反応して攻撃し自ら滅びてしまうシーンから、人は怪生命体にはない知恵を使って倒すことも可能だと居ことが分かります。

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映画が伝える恐怖と真の恐怖

本作は、人類の平凡な日常が正体の分からない脅威的な存在によって、一瞬災いに変わる状況の中で起こる恐怖を描いています。

街中の音楽や携帯電話のアラームのような音に満ちた世の中。

作中で流れる緊急ニュース速報やSNSを通じた警告メッセージは、音が消えた世の中がどれ程恐ろしいもので、それに耐え切れるか、という緊迫感を伝えています。

これは、災害通知を送信される現代人にも慣れた現象で、観客に十分な共感を与える事で現実的な恐怖を味わせるでしょう。

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極限の現実恐怖を与える

【ザ·サイレンス 闇のハンター】は、全ての音が消えてしまった世の中、悲鳴さえ上げられない恐怖の中で、唯一生き残った人類の死闘を描いたホラー映画です。

始まりから結末まで、音を出せば攻撃される人々の混沌と生存のもがきに焦点を当てています。

映画が音を出してはいけないという物語の背景は、BGMはもとより映像も全体的にグレートーンで表現され、恐怖感と緊張感のバランスが絶妙です。

更に、現実的なホラー映画であると同時に、生き残る為に闘いながらもお互いを思い合う家族愛も描かれています。

音のない大災害の真っ只中に置かれた人類の姿を映した【ザ・サイレンス-闇のハンター-】。

聴覚的な緊張感を最高値に引き上げると共に、完璧なビジュアルを具現化した視覚的臨場感のリアルな映像は、きっとあなたに極限の現実恐怖を与えてくれるでしょう。

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