【ティル・デス】レビュー。ラグジュアリーな絶頂から残忍なアクションへと変わる極限スリラー。

©2021 Til Productions, Inc. All Rights Reserved.

映画【ティル・デス】は、2022年2月11日公開のアメリカのホラースリラー映画。ロマンティックな結婚記念日の翌日に、人里離れた孤立した別荘で自分と手錠を繋いだまま自殺してしまった夫の死体と共に、見知らぬ侵入者2人組と死闘を繰り広げる妻の姿を描いています。

公開年/製作国 2022年 アメリカ
原題:Till Death
配給:クロックワークス
監督:S.K.デール

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【ティル・デス】あらすじ

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夫マーク(オーエン・マッケン)との結婚生活に不満を持っていたエマ(ミーガン・フォックス)は、夫と面識のあるトム(アムル・アミーン)と不倫関係を持っていました。

しかし、マークとの結婚記念日の前日にトムと別れることに……。

マーク自身も夫婦仲が疎かだったことを認め、エマとマークは幸せな夫婦の時間をもう一度過ごすため、二人だけの思い出が詰まった湖畔の別荘に旅行に行きました。

そこで、マークは特別なイベントを用意し、エマにダイヤモンドのネックレスとバラの花束をプレゼントして、ロマンチックな結婚記念日を過ごします。

夫婦仲を取り戻そうと努力するマークの姿に、エマも自分の心を変えようと決心しました。

その夜、久しぶりに愛を分かち合いながら、ロマンチックなひと晩を過ごしたエマとマーク。

翌日、目覚めたエマはベッドに座っているマークを見て朝の挨拶をしますが、すぐに自分の手首にはめられた手錠を見つけました。

ところが、マークはエマと軽い挨拶を交わした後、彼女の目の前で自殺してしまったのです。

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ありそうでなかった緊張感溢れるスリラー

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Rotten Tomatoの鮮度指数93%を誇る【ティル・デス】は、雪原上の静かで穏やかな人里離れた別荘、マークがエマにプレゼントしたダイヤモンドのネックレスや美しいバラの花などの美しい描写から物語が始まります。

しかし、彼らの幸せそうな結婚記念日パーティーのロマンチックな雰囲気が一夜にして血まみれとなった事件現場に変わります。

ここからは一瞬も目が離せない押し寄せるスリル感と緊張感の中でストーリーが展開。

出口もなく外部との連絡も途絶え、更に見知らぬ侵入者という極限状態は、緊張感を呼び寄せ 観る者の目をくぎ付けにしました。

また、キャラクター自体がより立体的で、アクションとサスペンス要素もよく構成されており、【RUN/ラン】(2021)のように、孤立した空間で死闘を描いたかくれんぼジャンルを上手く生かしています。

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現実味のある演出

夫とのロマンチックな結婚記念日を、人里離れた別荘で過ごした次の日の朝、夫が自分の目の前で死んでから、映画は取り返しのつかない混沌と恐怖に包まれます。

妻と自分の知り合いとの不倫関係に怒りと憎しみが募った夫の凄絶な復讐シナリオ、映画の臨場感や現実的な恐怖も相まって、リアリティを感じられる作品でした。

また、夫の自殺にどんな秘密が隠されていたのか、その衝撃的な真相やどんでん返しも期待され、最後まで目を離せません。

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ミーガン・フォックスの熱演

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ミーガン・フォックスは、初ヒロインを務めた【トランスフォーマー】(2007)で一気に観客の目を釘付けにし、その後の【ミュータント・タートルズ】シリーズや【ジェニファーズ・ボディ】(2009)などの作品を通じ、特有のカリスマ性でハリウッドスターとしての地位を固めました。

これまで着実に演技力を磨いてきたミーガン・フォックスの演技力が【ティル・デス】で再び注目されており、話題を呼んでいます。

【トランスフォーマー】(2007)でセクシーな唇と魅力的な瞳、シックな微笑みで男心を狙撃した彼女が、この映画では血まみれになりつつ、様々な道具を振り回しながら走り回るボーイッシュな魅力も見せてくれました。

​特に、真冬に雪原の真ん中で孤立された別荘で繰り広げられる凄まじい死闘シーンや、凍りついた湖の上を必死に這い上がるシーンなど、骨身を惜しまぬ演技により彼女の人生最高の作品が誕生したといっても過言ではありません。

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夫婦愛を描いた映画

映画【ティル・デス】は、単なる脱出ストーリーの映画ではありませんでした。

物語は、妻の不倫の事実を知った夫がその復讐のために自殺したうえで、妻の死を計画した夫から逃げ切る妻に焦点を当てています。

【ティル・デス】の原題は、“Till death”(死が我らを分かつまで)で、結婚誓約文に登場します。

不倫した妻に裏切られたと憤怒した夫の暴走した復讐計画は、”生きる時も死ぬ時も一緒にいる”と伝えられているようで、考えるだけでもゾッとする愛情の表現でした。

愛を誓い合った夫婦とは”どんな事があっても永遠に一緒に歩む人生のパートナー”だと、改めて思い知らされる映画でした。

「ティル・デス」オフィシャルサイト
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