建物(穴)の構造とルール
ピット(通称:穴)の構造は、高層マンションのように縦に連なり、中央には長方形の大きな穴が空いています。これは食事を載せたプラットフォームが通るための空間で、1作目では主人公ゴレンが最下層の333階に辿り着きました。各部屋は壁や床が全面コンクリート打ちっぱなしの殺風景な空間で、鏡付きの洗面台とトイレ、1人1台のベッドが用意されています。
部屋にそれ以外の設備はなく、ドアや窓もありません。壁には照明と緑と赤に光る正方形のランプがありますが、これについての説明はなく、何を意味しているのかはわかっていません。ただ、消灯時は赤いランプが点灯し、食事時には緑のランプが点灯します。
なお、プラットフォームには人間が乗ることも可能で、1作目で行方不明の息子を捜す女性はプラットフォームに乗って穴を自由に移動し、息子を捜しまわっています。ただし、下に降りていくプラットフォームが緩やかなのに対し、上に向かう際のプラットフォームはとんでもないスピードで上昇するため、無事に上へ辿り着けるのかは不明です。
そして、穴にはいくつかのルールがあります。
- 1ヶ月で部屋替え(上層や下層に部屋替えが行われるが、その基準は不明。)
- 1人1つ好きなものを持ち込んでいる(本や刃物など。)
- 食事を部屋にストックしようとすると部屋の温度が変化し、部屋の者が死ぬまで上がり続けるか下がり続ける
- 部屋の移動は可能(下に降りたり、上にのぼる。)
- 定められた期間が経過すれば認定書を貰えて外に出られる
- 穴にいる者たちは自ら望んで来ている
- 16才以下の子供は存在しない
この1作目のルールが2作目でも引き継がれているのかはわかりませんが、2作目の予告編から1作目との違いが見られました。それは、上階から下階に対して1人前だけ食べるように伝言していたことで、これはまさに1作目で主人公ゴレンが望んだ人の在り方そのものでした。1作目では定着しなかった”他者への思いやり”が、2作目では定着しつつあるのかもしれません。
だとすれば、穴の人間は飢えることなく、一定期間を過ごして外に出ることが可能になります。このように穴の構造は至ってシンプルで、皆が他者への思いやりを示せば誰かが苦しむことはありません。しかし、少しでも悪意を持った者がいるとそれも叶わないというのが何とも皮肉で、それもまた人間というものを物語っています。ゴレンが成し遂げた全員に食事を行き届かせることが定着しつつあるのなら、別の人間が穴に関する情報を共有していたとしても不思議ではなく、今まで謎に包まれていた穴の存在意義などについてもわかってくるかもしれません。