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【帰ってきたムッソリーニ】あの独裁者が現代に復活!笑ってると征服されるかも!?

©2017 INDIANA PRODUCTION S.P.A., 3 MARYS ENTERTAINMENT S.R.L.

【帰って来たムッソリーニ】は、ドイツの作家ティムール・ヴェルメシュの【帰って来たヒトラー】から着想を得たムッソリーニ版のブラックコメディ。現代のイタリアで誰もが知るあの男が70年の時を経て甦った。人々は”あの男”のソックリさんかと思いきや……。

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あらすじ

場所はローマ。

魔術の門(La Porta Magica)の前で、カナレッティー(フランク・マターニ)が子供達を使ってドキュメンタリー映画を撮影していると、突然子供達の前にムッソリーニ(マッシモ・ポポリッツィオ)が出現した。

その後、キオスクの店員に助けられたムッソリーニは、今が2017年4月28日金曜日である事を知る一方で、カナレッティーはTV局を解雇されてしまう。

しかし、自分が撮影した動画をチェックしていたカナレッティーは、その中にムッソリーニが写っている事を発見しTV局に掛け合った。

TV局、MYTVではカティア(ステファニア・ロッカ)がムッソリーニの起用にGOサインを出し、カナレッティーはムッソリーニを説得し、自身の起死回生をかけ店のライトバンでムッソリーニとイタリア市民にインタビューする旅に出かける。

ところが、ムッソリーニは旅の途中で出会った婦人の飼い犬を拳銃で射殺してしまった。

旅は一応成功しムッソリーニは人気者となるが、飼い犬射殺の件で危地に陥る。

カナレッティーは、彼が撮影した動画を注意深く観察し、ムッソリーニが魔術の門から現れた事に気付き本物のムッソリーニであると確信。

更に、カナレッティーの恋人フランチェスカの祖母は認知症を患っているものの、ムッソリーニのことだけはしっかり覚えていて本人で間違いないと言い出した。

その後、ムッソリーニは動物愛護団体の暴漢に襲われカティアに介抱されたが、実はこの襲撃事件はカティアによって仕組まれたものだったのだ。

カティアは、ムッソリーニが射殺した犬の飼い主と和解する内容の番組「I forgive you」に引っ張り出し、2人は和解して番組は大成功を収めた。

しかし、そこにカナレッティーが現れ……。

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 どこが違う?

【帰ってきたヒトラー】のネタバレ注意!

現代に出現した、かつての独裁者を周りはコメディアンだと信じ、起死回生を図るTV局の社員が独裁者と旅をする。

右翼団体を訪ね、旅の途中でまとわり付いた犬を射殺。

後でそれが問題となって、という流れは【帰ってきたヒトラー】と同一。

なぜならば、【帰ってきたムッソリーニ】は【帰ってきたヒトラー】にちゃんと版権使用料を払って製作された映画だからだ。

【帰ってきたヒトラー】ではヒトラーが自殺したとされる(諸説あり)地下壕付近に出現したのに対して、【帰ってきたムッソリーニ】は、ムッソリーニが処刑後に愛人クラレ・ペタッチと共に吊るされたミラノではなくローマに出現した事。

【帰ってきたヒトラー】では主にインターネットをヒトラーが駆使していたが、ムッソリーニはスマホを使用しているのは時代の流れか?

【帰ってきたヒトラー】と同様に、シーンによっては映画の撮影であることは伏せられたままインタビューが行われている。(大量にボカシが入っているシーンがあるのはそのため)

インタビューでは、ヨーロッパ各国は義務であるかのように移民を受け入れているが、国民の本心では移民受け入れに反対なのが見え隠れし、ムッソリーニを使って上手くイタリア国民に本音を語らせているところは成功といえるだろう。

また、ムッソリーニはヒトラーのように全否定されている人物ではないものの、明らかにブーイングをしている人物もシーンに写り込んでいて、人によって判断が分かれる人物像なのがわかる。

なお、ラストへの流れが【帰ってきたヒトラー】とは決定的に異なる。

【帰ってきたヒトラー】では、ヒトラーが追い詰められるが実はそれは撮影シーンで、真実を知るザヴァツキは精神異常者とされて精神病の病棟に隔離されてしまうというブラックなオチ。

一方、【帰ってきたムッソリーニ】では、真実を知るカナレッティーは結局取り押さえられるが、野心家のカティアの方がよりクローズアップされているように思える。

ムッソリーニが蘇ってもなおヒトラーに代わる野心家に利用されているというオチの方がかなりブラックでは?

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ムッソリーニとは?映画に至るまでの流れ。

1943年にイタリアにとって不利は戦況になり、イタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ三世はムッソリーニを逮捕し幽閉した。

枢軸国側だったイタリア軍はドイツと共に旧ソ連に侵攻していたが、連合国と停戦してしまう。

それに怒ったドイツはイタリアに車両の提供を拒否したため、イタリア軍は徒歩で旧ソ連から帰国する羽目に。

帰国途中で脱落者も出たが、その悲劇を描いたのが【ひまわり】

幽閉されていたムッソリーニをオットー・スコルツェニー率いるドイツ軍のコマンド部隊がグライダーで救出。

映画でムッソリーニはローマに出現後、しばらくドイツ軍(Wehrmacht/ヴェアマハト)の作戦で助かったと信じている。

ドイツ軍によって救出されたムッソリーニは、イタリア社会共和国を設立して終戦まで国政の指揮を取るが、ムッソリーニと愛人クラレ・ペタッチはパルチザンによって逮捕後処刑され、遺体はミラノのロレート広場で吊るされ晒された。

なお、ローマ市街では現在もムッソリーニの業績が見て取れる、例えば映画の序盤に映し出される巨大なアスリートの彫像群の建つオリンピックスタジアムがそれだ。

また、イタリアではムッソリーニはヒトラーのようには否定されていないので、孫娘アレッサンドラ・ムッソリーニは国会議員を務めている。

しかしながら、ナチス式敬礼の元となったローマ軍団式の敬礼もイタリアでは禁止されているのが映画で見て取れる。

ナチス式敬礼と鉤十字はドイツとオーストリアでは公共の場での使用は禁じられている。

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